あらすじ
大利賢師は器用さだけで生きてきた男だ。それは文明が崩壊しても変わらない。 ある日地球に降り注いだ魔法の隕石群は、地球から全ての電気を奪った。 電気に支えられていた高度な社会はたちまち崩壊。未曾有の大混乱が起きる世界を尻目に、大利は独りのんびりと隕石の一つを削り出し魔法の杖を作り上げた。 ――そう、人類は電気を失ったが、代わりに魔法を手に入れたのだ。 そして大利は知らなかった。 電子機器が使えなくなった崩壊世界で、精密機械並の工作ができる自分の器用さが世界を救う力になる事を。 西に人間不信の魔女がいれば、器用さで閉ざされた心を開き。 東に命懸けで世界を救う研究をする可愛いオコジョがいれば、器用さで助けてやり。 ガラクタだって魔法の杖に加工できる。 なぜなら器用だから。 これは、崩壊世界で繰り広げられる魔女や魔法使いの英雄譚――ではない。 コミュ障で奥多摩に引きこもったド器用な青年が魔法杖職人となり、東京の片隅から全世界を揺るがしていく、生涯の記録。【電子限定!書き下ろし特典つき】
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Posted by ブクログ
地球に降り注いだ魔法の隕石群によって電気が結晶化。突如として崩壊してしまった現代社会において、器用なコミュ障主人公が魔法杖職人として活躍する。
崩壊後の世界は電気に変わって魔法のある世界になる。よくある転生した異世界に魔法があったという設定ではなく、現代日本から電気がなくなり、徐々に魔法が発展・浸透していくという過程が面白い。多くの魔力を有し、各エリアを統治する魔女たちも元はただの一般人。魔法の詠唱文も法則性が研究されている最中。誰もが手探りのなか、人々が少しずつ魔法の理を理解していき、魔法世界に適応していく。徐々にゲームのシステムを理解していくような楽しさがある。
最初は絶望のように映った結晶の雨も、最後には美しい恵みの雨というふうに表現される。人の強さを感じられるような物語だった。