あらすじ
26歳の春、根岸は6年間勤めていた料理店を辞めた。長年お世話になったオーナー夫妻と板長、そして同僚たち。その全員の顔を根岸は未だに覚えられない。人の顔を認識できない脳機能障害の一種、相貌失認を抱える根岸は、もっと自分に向いている働き方を探し続けていた。そんな根岸が次の道として選んだのは「出張料理人」。出張料理人は依頼人の元へ出向いて料理をするため、不特定多数の客を迎える機会はなくなるからだ。幸運にも埼玉・与野でぴったりな物件にめぐり逢い、新しいスタートを切った根岸。そんな根岸の元へ、結婚記念日のサプライズメニューのオーダーが入る。張り切る根岸だったが、物件が地元で愛された名店の跡地だったことから、その名店の跡継ぎだと誤解されていて――。依頼人の心に寄り添いながら供されるおいしい料理たちと、駆け出し出張料理人の奮闘記!
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Posted by ブクログ
顔が認識できないという障害の存在は知っていたけれど、それが物語をとおしてより身近に感じられた。淡々と生涯を受け入れ、得意なことを活かせる場所で生きていこうとする主人公と、それを成り行きとはいえそばで見守る従兄弟の関係が温かい。お父さんとの関係にはモヤモヤしたものが残るけれど、すっきりとはいかないところが逆にリアリティがある気もするので納得。続きが気になる作品でした。
Posted by ブクログ
人の顔が認識できない「相貌失認」の料理人・根岸は、教授の父から「努力が足りないから顔が判らない」と、押さえつけられる人生を送っていた。6年勤めていた店を辞め、出張料理人としてリスタートする事に。
相貌失認のハンデを負いながらも、前向きにお客様の為に頑張ろうとする優しさがとても好感を持ちました。
従姉の芽未もとある事情で引きこもりになっていたけれど、根岸の人柄が芽未も前を向こうといい方向へ進んでくれてホッとしました。
居抜きで借りた前持ち主の「割烹おかやす」の後継人と勘違いされつつもその味を再現できる腕が凄いです。
芽未の引きこもりの理由、おかやすの突然の閉店など気になりましたが、割とそこら辺はアッサリ明かされてて拍子抜けな所もありましたが、料理がメインなのでいいのかもしれないですね。
周りが温かい人達で、ほっこりでした。
続編希望です。