【感想・ネタバレ】「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュのレビュー

あらすじ

国内外に喧伝される「日本らしさ」はどのように生まれたのか。その起源は、ロシアの映画監督・エイゼンシュテインが編み出した「モンタージュ理論」にあった。「モンタージュ」の語は映画のみならず、写真、広告、雑誌、まんがによって戦時下の日本で流行しプロパガンダのツールとして作り手と受け手に浸透した。戦時下のメディア理論と文化工作を研究するまんが原作者・批評家が、芸術理論がさまざまな文化と融合し、ファシズム的な表現に変容していくさまを分析。「創られた日本文化論」の正体を明らかにする。

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Posted by ブクログ

 大塚英志氏の集大成と言える内容で、新書とは思えないボリュームである。著者が追い続けていた「手塚治虫」と「柳田国男」の手法や表現の文脈が、一つの歴史的背景に収束する。本書はその特異点的「エイゼンシュテインのモンタージュ論」が、戦時下の日本でどのように「歪み」を生み、空虚な日本を形成したかを主題として説き、その大きな流れが戦後マンガの礎となった事を指摘する。
 固有名詞や人物が多く登場する本書だが、平易な文章であるので読みやすい。そして何より私が感じるのは、大塚氏の本流はやはり「戦後マンガ」の文脈を理解し、後世に伝えていきたい、ということであり、それはマンガに対する「愛」である。そして、その愛すべきマンガがどのように形成されていったかを自認することで、表現とは毒に薬にもなりえることを忘れてはいけない、ということを伝える。
 「プロパガンダ」とは、プリミティブなものとして我々に届いてしまう。だがそれは人に感動を届ける手法にもなり得るのだ。

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2026年05月15日

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