あらすじ
時空に跳ばされたキシリアが目覚めたのは10年後の世界、一年戦争開戦直後のグラナダだった。その見た目も23歳になっていた。聞けば、記憶のないこの10年、キシリアは引きこもって、遊び歩いていたという。致命的な遅れを取り戻さなければならない――知恵とコネをフル稼働し、まんまとジオン軍に潜り込んだキシリアは、軍の組織図をいじって編成に突撃部隊を組み込む 。そして予算をぶんどり、自由に使える土地をコロニーとグラナダに確保すると、まったく進んでいないモビルスーツやモビルアーマーの開発を命じ、遅遅として正しく進んでいなかったガンダム正史を強引に動かすのだった。やがて一年戦争は最終局面へ。正史を守るため、ジャブロー、テキサスコロニー、ソロモン、ア・バオア・クーを辻褄合わせのために飛び回るキシリアの運命はいかに! やはりシャアの手で最期を迎えてしまうのか? ガンダム×悪役令嬢のパラレル・ファンタジー、終結!
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Posted by ブクログ
下巻はパワーダウンというか、上巻で衝撃を受けたのは緩和されちゃったから、新キャラでてこ入れしても、ちょっと惰性って感じがあったなあ。
まあ、エンディングはこれまでのキャラの言動からして妥当なので好みですが。
もしかして、これは作家の先生が言うところの
「キャラが勝手に動き出しちゃって、予定していたストーリーと変わっちゃいました」
の脳内シミュレーションだったのだろうか?とは思いましたw
Posted by ブクログ
築地俊彦著『二十四歳職業OL、転生先でキシリアやってます 下』は、異世界転生という軽妙な設定の奥に、原典たる宇宙世紀の重層的な歴史観を巧みに織り込み、独自の緊張感を醸し出した意欲作である。平凡なOLがジオン公国の冷徹な女傑キシリアへと転生する物語は、一見するとパロディやコメディに寄った娯楽に見えるが、その実、運命を知る者だけが背負う孤独と選択の重みを鮮烈に描き出している。下巻では、上巻で撒かれた歴史改変の種が一気に芽吹き、主人公が自らの知識と信念を武器に、宇宙世紀という巨大な因果へ挑む姿が印象的だ。ガンダムという壮大な物語に対する深い愛情と、歴史を動かす意思を持つ者の覚悟が随所に滲み、笑いの裏に確かな苦味と気高さを感じさせる。原作ファンはもちろん、転生ものの枠を超えた人間ドラマとしても心に響く、豊饒かつ重厚な読後感を残す一冊である。