【感想・ネタバレ】9月1日の朝へのレビュー

あらすじ

高永家の子供たちは四兄妹。中学の新米教師で正義感の強い長男、いわゆる美容男子である高三の次男、スカートを穿いて進学校に通う高一の三男、いちばん如才なく兄たちのことを観察している中二の末娘たちだ。父親は再婚しているけれど、離婚した「ママ」も気ままに子供たちに会いに来る。そんなフクザツな家庭で過ごす四兄妹が夏休みを経て、新学期の「9月1日」を迎えるまでを描いた青春家族小説。9月1日、それは学校に通う子どもたちにとって、とても大きな意味をもつ日――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

9月1日は、日本で子どもがいちばん多く命を絶ってしまう日。父親と、3人の「母親」(浮気して家を出た生みの母である「ママ」、離婚後子どもたちの世話をするためにやってきた父親の母である「かーさん」、継母の「玲子さん」)がいる高永家の4兄妹それぞれの夏休みを通した成長。
長男の善羽はマッチョな中学教師。次男の智親は高3で漠然と生きている。三男の武蔵は高1で自分の性別に揺らぎを覚え確かめようとしている。そして長女の民は中2で、自然体で生きてきたつもりだったが周りとの乖離を思い知らされる。

それぞれが自分なりの答えを見つけていくのだが、その過程の葛藤がリアル。民がSNSによって孤立させられていく様は胸が痛くなる。
とはいえ、彼らを見守る三人の母(と父)のおおらかさに、大人たるものこうあるべしと思わされる。世の多数派に属するであろう脳筋に近い善羽ですら、理解し難いながらも生徒や弟妹に寄り添おうとする姿勢がある。
そしてそれぞれに少ないながらもちゃんと話ができる友だちがいる。

この設定をご都合主義だとは思わない。
自分らしく生きていくためには、他人の自分らしさを受け入れることが大切なのだと知らされるから。
理解してほしいと願うだけでなく、自分が理解者となることを教えてくれる。

自殺してしまった中3の少女の、遺された家族の苦しみが描かれていることもこの作品には必要なことだったと思う。

ともかく、これは小学校高学年から高校生に広く読んでほしいと思う。

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

9月1日に自殺者が多い、に絡め高永一家の4人兄妹の視点から一章ずつ成り立っている小説。
次男智親くんは美容男子。彼の仲良しな女友達はリスカしてて…
長女民ちゃんは上手くいってると思ってた。しかしバスケ部の外しにはじまりどんどん手のひらが返されたようにいじめられ…
長男は学校の先生。同じ部活の生徒のお姉ちゃんが夏休み中に自殺して…
三男武蔵は偏差値の高い高校生。だけどスカートを履いて登校するようになって…
といろいろある兄弟。
一章の智親くんの話は苦なく読めたけど、民ちゃんにおこったできごとはとても悲しくてイライラした。それからの善羽兄ちゃんの学校の自殺。重苦しいのが続いて、4章の武蔵には理解者がたくさんいて、ともだちも家族も優しく救われた。
そこででてくる言葉の数々や、実母、継母からおばあちゃんまで愛情に溢れていて、読後は爽やかだった。

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2025年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終えて、智親いいやつ、、!
まずそう思いました。
彼が自分の兄弟だったら、最高の味方である。
周りのことをよく見て、気にかけて、でも鬱陶しくない。そっと見守ってくれて、困ったら助けてくれるヒーローのような存在。
智親の優しさが、他の兄弟へバトンのようにつながっていると感じました。
私もあまり学校が好きではないタイプだったので、中学生の頃にこの作品に出会えていたら。
もっと救われていたはずだ。そう思いました。
長期休み明けは、学校や職場にに行けなくなったり命を終わらせてしまう人が多い。そんな人たちの停止線なってくれればと願ってしまう作品でした。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025/05/25予約 2
なかなか複雑な家族。長男の善羽は中学校の教師、次男の智親と三男の武蔵は高校生、末っ子の民は女子中学生。あとお父さんと祖母のおかーさんと継母の玲子ちゃんの7人家族。時々ママ(産みの母)。勤務先の中学校の生徒が自死した善和、ある日突然いじめられる民、スカートをはく武蔵、美肌命の智親、4人がそれぞれの悩みを抱えたまま自分を見つめ生きていく。民の中学生になった頃、自分のキャラ変更したエピソードが印象的。置かれた場所で生き延びるため、自分を変えることってその時代にはあるよなあ、と思う。せっかくの4人兄弟、この先も仲良く過ごしてほしい。

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2025年09月17日

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