あらすじ
東北の寂れた街に一ヶ月間欠かさず、お菓子を供えてお詣りすると、30日目の夜、この世のものとは思えない快楽のなかで死を迎えることができる神社があるという。それを体験した男の日記がネットで拡散し、その神社は話題に。街には死を願う人たちが集まり、活気を取り戻すが……。「死神によって蘇った街」を舞台にした連作短編集。(解説/友井羊)
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Posted by ブクログ
東北の寂れた街・はるみ市にある神社。そこに三十日間欠かさずお参りすると、恍惚の中で死を迎えることができるという。その噂が広まり、街は活気を取り戻すことになるのだが……一見恐ろしいようであり、しかし穏やかな雰囲気も感じる物語です。
もしこういう神社があったら悪くないような気もします。三十日間という猶予があれば、考え直すことも充分に可能だし。自分を見つめなおすきっかけになるのでは、とも思ったり。だけど禍々しい雰囲気を感じてしまうのも事実。それで町おこしというのも、イメージが良いのか悪いのかよく分かりません。死に行く人を見続ける者の心の負担、というのもたしかにあるでしょうし。
ただ、この物語が描いているのは「死」よりもむしろ「生」なのではないかという気がしました。最後に死を選んだとしても、そこまでの生によってその人の人生が決まる。そしてそれを見た人の生にも繋がっていくような、案外と前向きな印象が得られます。総じて読み心地は穏やかでした。
だけど第一話、かなり危ういなあ……物語の全貌が見えないうちだったのですっと読んでしまっていましたが。あとになってみると一番恐ろしいパートだったかも。
Posted by ブクログ
30日間欠かさずお参りして甘い物を納めれば、この世のものとは思えない快楽の中で死ねるという曰く付きの神社のお話。
噂を信じて参拝する人たちの結末。
お参りをしていたはずなのに自殺した人の謎。
神社で出会った人たちの不思議な同居生活。
そして、その神社を調べるジャーナリストに、真実を隠そうとする人々など。
てっきり神社にお参りした人たちだけのお話だと思ったら、どんどん話が町の人たちや参拝者(この場合、自殺志願者と同意に近い)以外の人たちに広がっていったのには驚いた。
ミステリ仕立てだったり、民俗学仕立てだったり。
また、その「恩恵」で潤っていく町の人たちの葛藤、寧ろチャンスと捉えて調子に乗る人たちまで描かれているという。
不思議だったのは、参拝者に対しても、町の人たちに対しても、どちらかに肩入れせず、非常にフラットに描かれていた点。
片方に入れすぎない、どちらも受け入れてるし、一方で否定もしているような、そんな雰囲気。
解説にもあったが、絶妙なバランスで描かれているのだなと強く感じた。
Posted by ブクログ
最初はホラーと勘違いして手に取ったが、なかなか面白かった。演劇の少女たちが心配だったが、あれは祖母が代わりに亡くなったということなのかな?とあまり後味が良くなかった。また、ミステリー要素もあり、記者は騙されていたがそれも一つの結末なのだと、今までの様々な人からの体験を通して受け入れることができた。
悲しいことの多い、暗い雰囲気の本だったが、それを否定肯定するわけでもなく、現実をそのままにしておく描写はとても見事と思った。死神と呼ばれた少年は幸せになれるか、その未来は明るいものなのだろうか。YouTuberは無駄死にだったのが少し笑った。死んだだけじゃん……( ・∇・)