【感想・ネタバレ】なぜ人は穴があると覗いてしまうのか 人を“その気”にさせる仕掛学入門のレビュー

あらすじ

「ゴミはゴミ箱に!」の貼り紙より、バスケットゴール付きゴミ箱を置くほうが、街の美化には効果的。
「見えないからこそ、穴の中を覗きたい」という好奇心に働きかけて、覗き穴を使った仕掛けを作ると、自然と人は集まってくる。
ユーモアがあって、つい“その気”になってしまう仕掛けは、人を動かす万能な方法。
「仕掛学」という世界初の学問分野を築き上げた著者が、街中で見つけた「これぞ」という仕掛け47種を楽しく解説。
誰でも仕掛けのアイデアが見つかる6つのコツを伝授する。

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Posted by ブクログ

■ナッジと仕掛けの大きな違いは、ナッジは「したいからするわけではない」のに対し、仕掛けは「したい」という欲求があるから行動する点。
 ナッジの基本は人の意思決定のクセ(認知バイアス)を利用すること。ナッジは認知バイアスなど人間の意思決定の傾向を踏まえ、意識されることなく行動を促し、より望ましい選択へと導く手法。
 仕掛けは自発的な行動選択を促すこと。
■仕掛けを3秒で理解してもらうには、どんなに多くても12文字以内に収める必要がある。効果的な仕掛けとは「文字はせいぜい10文字程度に収めながら、直感的にビジュアルで理解できるもの」ということになる。
■仕掛学における新規性と親近性の役割について
 新規性とは今まで見たことがなく珍しいもので「何だろう」と興味をそそられるもの。
 親近性とは今までに経験したことがあるものや、初めて見たものでも使い方が容易に想像できるものなどよく知っているもの。
 親近性しかない場合は「どうやって使うのかな」と理解するのに時間がかかり面倒と感じて途中でやめてしまう人も多い。
 仕掛けは新規性で好奇心を刺激するだけでなく、親近性で引き込む仕組みが効果を発揮する。
 新規性は親近性のあるもの同士の組み合わせで生まれる。そこで仕掛けを作るには、まず過去の経験や体験から遊び心を刺激するような親近性のあるものを探す。そして、それらを課題解決の仕掛けになるように組み合わせることで、効果的な「そそる仕掛け」が生まれる。仕掛けとは一見ゼロから「1」を作り出すクリエイティブな試みのようだが実は精巧な組み合わせの技だということがわかる。大事なのはクリエイティビティ(創造性)ではなく、親近性のあるもののブリコラージュ(寄せ集めて組み立て直すこと)的発想ということ。
■プロチャスカの行動変容ステージモデル
・「無関心期」:行動変容に全く関心がない段階
 どのように関心を持ってもらうかが重要。
・「関心期」:行動変容を考え始める段階
 いかにモチベーションを保ちつつ、行動を継続してもらうかが主眼となる。 
・「準備期」:行動変容を決意して準備をしている段階
・「実行期」:実際に行動を変え始めてから6か月以内の段階
 人の行動は6ヶ月間続くと継続しやすくなる。
・「維持期」:新しい行動を6か月以上継続している段階
■行動の習慣化に必要な期間は66日間
 実行期から維持期への移行には飽きる前に習慣化できるかどうかがカギとなる。プロチャスカの理論では実行期から維持期に移行するまでの期間は6か月とされているが、2009年にロンドン大学で行われた研究によると、習慣化までに要する期間は習慣の難易度によって異なり平均66日間としている。
 継続に結びつく可能性があるのは、例えばトライするたびに達成感があったり反応が変わる意外性があったりするような仕掛け。仕掛けは「ちょっとしたいたずら」や「遊び心」を旨とする。手の込んだ複雑な仕掛けよりも仕掛けられた側が気軽に試して楽しめるようなシンプルなものこそ長続きすると考える。
■行動が習慣化するということは「システム1」から「システム2」に切り替わるということ。つまり仕掛けで行動を変化させるには、仕掛けの効果が持続している間にシステム2からシステム1に切り替わることが必要。
■習慣化を目指す仕掛けを作るときは、繰り返しやってもらえるように報酬の与え方を工夫する。
 仕掛けでは金銭的報酬を使わないが、これは、金銭が目的になると行動自体の魅力が薄れ、内発的動機が失われてしまうから。
 「アンダーマイニング効果」とは、もともと楽しさや興味で行っていた行動に対して金銭などの外的報酬が与えられると、目的が報酬に移ってしまい、報酬をもらえないとやる気が出なくなるというもの。楽しさや興味という「内発的動機」を外的報酬が弱めるということ。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
プロローグ 「仕掛学」って知ってますか?
第1章   AIの限界から生まれた「仕掛学」
第2章   ユーモアがなければ「仕掛け」じゃない
第3章   日常は仕掛けであふれている
第4章   6つのコツで仕掛けのアイデアを形にする

<内容>
ヒトに自然に行動を促すことを企む。ただし、公平性・誘引性・目的の二重性がなければダメ。これが「仕掛学」である。実例が豊富に載っているが、典型的なのが、ゴミ箱にバスケットゴールが付いている。男子の小便器に「的」が貼ってある、など。著者は上記の定義の他に、ユーモアを絡めようという。ティッシュ配りをマジックハンドでおこなう、とか。本の後半は著者が見つけた「仕掛け」を載せていく。人間の行動を心理学的に分析しつつ、嫌な気持ちにせずに、行動を促すことができれば、世の中ハッピーなんだろうね。学校の授業でも仕掛けられればいいな。

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2025年11月21日

Posted by ブクログ

「仕掛学」を読んで、もう10年以上が経つのかな。
話の内容も面白かったのですが、
論の立て方も非常にすっきりとしていて、
「こんな風に、おもしろいことを人に伝えればいいんだ」
と影響をうけたのを覚えています。
けっこういろんな人に勧めてきました。

その後の私は、
行動経済学や認知バイアス、
応用行動分析などが好きになり、
「仕掛で人の行動にポジティブな影響を与えるには?」
をずっと考えているように思います。

本書で面白かったのは、
終盤に挙げられている様々な仕掛けの実例と解説。
大学の講義の中で
「身近な中からしかけを100個みつけてみよう」
みたいなこともされているということ。
すぐ自分でも、身近な中での仕掛けを探してみてます。
また、著者が提唱される「仕掛け」の定義に沿って
ポイントをつけられた上で、
どんな意義があるかを見開きで数十個、
丁寧に解説されていますが、これも面白い。

「立ち止まり、薔薇の香りを嗅ぎましょう」

この言葉に集約される、
時々立ち止まって
身近な生活の中の魅力を見つけようという営み。
大切にしたいと考えた本になりました。

だけど初めての方には、
やっぱり最初の『仕掛学』か『子育て仕掛学』を
お勧めするかなー。
面白いですよ。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

「仕掛け」によって、「ついやってしまう」と「社会課題の解決」の相乗効果を生み出そうという考え方。その通り、正論は正しいが解決しないけれど、仕掛けの力で誰もが楽しく社会課題の解決に向かうことができる。そのエレメントをひも解いていく、いまの時代だからこそ必要な学問(視点)だろう。
前著『仕掛け学』が非常に面白かったのだが、焼き増しに見えてしまって残念。

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2025年11月23日

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