あらすじ
脳はどう心を生み出すのか?
数学、物理学、脳科学を横断しながら、脳と心の仕組みを解き明かす過程でたどり着いたのは「カオス理論」だった。
天気のように、気温・湿度や風など、わずかな条件の違いが最終的に大きな変化を生むカオス的運動。
この予測不能ながらも規則的な動きが、実は私たちの脳内でも起きている。
1000億個もの脳細胞の集まりが心を生み出す秘密は、一見バラバラに思える細胞たちの動きの中に潜む、秩序を創り出す力にある。
数学者が数式を一切使わずに「心の正体」に迫った知的興奮の一冊。
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Posted by ブクログ
神経細胞の集合体として物理的に存在する「脳」、そして実体はないにも関わらず、自分の中にある「心」。
多分、脳が心を生み出していると思われるが、それはどのように為されているのだろう?
という、人間存在の根本的な問いに迫る著作。
だが、はじめに断っておくとまさしく人知を超えた問いに近いため、本書でもこんな考え方もあると思うし、それを裏付ける根拠も多少はあるから、秘密の迷宮のホンの一部はわかるかも。
というスタンスである。
それでもそれを解明しようとし、それらしきモデルを考えられたのは稀有な天才のなせる業でしょう。
興味深いのは著者は医学者でも生物学者でもなく。数学者であること。
専門はカオス理論。
何かしらの規則性を有しながら、特定不能なカオス系を観察することは、さながら摩訶不思議なブラックボックスに何かを入れて、出てきた何かを取り出して、そのブラックスの性質を調べるというもの。
確かに脳という人知を超えた複雑さを持つものを観察するには合理的に思える。
そして脳と心の関係は物理学と数学の関係にも当てはまるという視点も面白かった。
内容は非常に興味深く、脇道にそれた話も面白かったが、本筋がぼやけてしまった感があり、理解が追い付かなかった。
しかしながらヒトとは何なのかを洞察する上で面白いテーゼを提起してくれたと思う。