あらすじ
グレイト・ラピス王国は、宝石の精に愛された国と言われており、国中から様々な宝石の原石が採れ、それらを輸出して栄えている。大切な人に宝石で作られた指輪を贈る文化があるこの国では、ルベルが経営するクラリス宝石店で指輪を作りたいという人は絶えない。しかしルベルは人前に顔を出さず、顧客とのやり取りは伝書鳩を通じた手紙だけ。クラリス宝石店は、店舗すらどこにあるかすら明かしていない。ある日、山を降りて買い物をしていると、怪しい商店に騙されそうになったところをゼノに助けられる。しかしゼノは宝石に対して、嫌悪感を抱いているようで…?
【電子特別版】一条珠綾先生の書き下ろしショートストーリー「ルベルが風邪を引いた日」を電子版だけに特別収録!
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Posted by ブクログ
妖精に愛された人間が持つ赤い目を持つルベル。
宝石商を営むけれど一人で森の中で暮らし手紙でのみ依頼を受けて、と何故そんな孤独で生きているのかが謎だったけれどまさか「人を愛する」と石吐病を患って死ぬ事になるとは何とも悲しいと切なくなりました。
なのに出会って好きになってしまった相手、ゼー。
出会いから暫くはゼーのルベルへの態度が冷たさを感じる程でルベルが落ち込んでしまうのには胸が痛みましたがゼーの宝石嫌いの理由を知り、わだかまりをとくことが出来距離が縮まっていくのが凄く良かったです。
けれどルベルはゼーに恋し石吐病を発症してしまい、けれどゼーに負担をかけたくないと耐える姿には胸が締め付けられ。
一方ゼーもルベルへと態度が変わってしまいそれにも苦しむルベルには涙がじわりと。
けれど実は石吐病には想いが通じ合えば助かると言う展開がありお互いに気持ちを伝え合えたのは本当に良かったです。
それからの2人がとにかく甘々ラブラブで幸せなのが読んでいて心温まります。
死んだと思っていた父親が生きていた事には驚いたけれど幸せに生きているとわかったのはホッとしました。
特典ペーパーでのゼーの気持ち、次回は報われますようにと(笑)
釈然としない
クラリス家の遺伝性の奇病『石吐病』の設定に、人間(飼い主)に恋をして延々卵を産み続けて衰弱してしまうインコの話を思い出しました。恋が命を削ってしまうだなんて、切ないですね。
愛を尊び、家族を大切にするお国柄という世界で、クラリス家の人々は子孫を残すために愛のない結婚を繰り返すしかないの?
愛のない結婚をしても共に生きるうちに愛が芽生えたら?
どちらにしても酷な設定であることに変わりなく、これは恐らく『人魚姫』的な解決法があるのだろうな...と思いました。
ですが、ルベルの父は石を吐いて亡くなったというし、ルベルもまたゼーを想うようになって石を吐いてしまいます。たとえ命を削っても恋を知ることができたのは幸せだと言うルベルが切ないです。
そしてルベルを想いながらも事情を知るが故に想いを伝えずにいた幼馴染みのウルス、ルベルを想いながらその命を守るために想いを返さないでほしいと願うゼー。若者たちの想いがものすごく切なくて、最後に奇跡が用意されていることを期待して読み進めたのですが...。
確かにハピエンにはなりました。
ですがものすごく釈然としません。
ルベル父が取った行動、全く意味がなくないですか?そしてウルス父もなぜそれを止めないの?
彼らのせいでルベルが無駄に辛い思いをしたように思えてなりません。
冒頭のルベルのお仕事シーンやリリーさんのネックレスのエピソードが素敵だっただけに、子供世代を苦しめた父親たちの行動が残念です。
表紙とイラストがとても美しいので、そこは文句無しに眼福です。