【感想・ネタバレ】沖縄戦 なぜ20万人が犠牲になったのかのレビュー

あらすじ

1945年3月末から約3か月間にわたり、米軍と激しい地上戦が繰り広げられた沖縄戦。軍民あわせ約20万人もの命が失われた。戦後、日本は平和憲法を制定したが、沖縄は米軍の軍事支配に委ねられ、日本に返還後、今なお多くの米軍基地が存在している。また、近隣国を仮想敵とし、全国で自衛隊基地の強靭化や南西諸島へのミサイル配備といった、戦争準備が進行中である。狭い国土の日本が戦場になるとどうなるのか? 80年前の悲劇から学び、その教訓を未来に生かすために、国土防衛戦の実相を第一人者が膨大な史料と最新の知見を駆使し編み上げた、沖縄戦史の決定版!

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Posted by ブクログ

 2025年5月3日に那覇市内で開かれたシンポジウムで、自由民主党に西田昌司議員が「ひめゆりの塔」を巡って暴言を吐き、沖縄県民を中心に批判は続いている。本書は、西田昌司議員が暴言を吐くことを予言していたのかと思われるほど、絶妙のタイミングである2025年4月22日に第1冊が発行され書店に並んだ。本書が多くの国民の手に渡り、西田昌司氏の暴言を暴き、沖縄戦の実相を深く、広く学びが深まっているものと思う。
 著者の林博史氏は、師である藤原彰氏の「飢え死にした英霊たち」も引用し、沖縄戦もまた餓えやマラリアによる戦病死が多かったことを検証する。ハワイなどに移民の経験をもつ日本人が沖縄戦の犠牲者を減らし、日本軍による沖縄県民への自決の強要が多かったことを検証する。著者が本書で一番伝えたかったことは、沖縄戦の中で生きようとした人たちのことである。国家の言うことに従っていれば死ぬしかない中で、自らの頭で考え行動し生きようとした沖縄の人からもっと学ぶ必要があると指摘するが、今の日本人にとって最も重要な指摘である。新書で350ページに加え、膨大な資料、エゴドキュメントを活用し、沖縄戦の準備から凄惨な沖縄戦、戦後の米軍支配と被害の歴史を縦横無尽に検証する。歴史を作るなどと言った歴史修正主義から事実の積み重ねによる歴史の史実を曇りなき眼で見定めたい。

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

「戦没者の犠牲の上に、平和な繁栄した日本があります」
「皆さんの死があったからこそ、今の平和があります」
・・・ これって本当かな?といつも思っている。

戦争なんかせずに平和な国になる道だって確実にあったはず。
たくさん死んで、殺して、そして敗けて、だから平和を希求するようになった、って不必要な失敗からの学びじゃない?

むしろ、何故戦争に進んでしまったか?何故こんなに多くの日本人と中国、韓国、北朝鮮、南アジア、アメリカ人を殺したのか?

これらの問を考えるためには、唯一の大規模地上戦である「沖縄戦」を社会、政治情勢に加え、個々人がどのような行為をし、どんな考えを持っていたか明らかにすべき。というのが本書。

唯一の原爆被爆国、そして大国になった敗戦国という被害者視点で毎年8月は報道されることが多い。
しかし、加害者としての事実や行為を起点とする反省がないとまた同じ加害者としての戦争に繋がるのではないかと、本書の悲惨な沖縄戦の記述から感じた。

冒頭の、「戦没者が今の平和をもたらしました。ありがとう」的な振り返りではなく、

「これほどの戦没者が何故発生してしまったのか?、何故こんなに残酷な加害を世界中にばら撒いたか?を事実を基に認識し、戦争を生き抜いた人々、残された人々、そして後世の人々が反省することで今の平和があります。」と言えるようになりたい。と思った。


以下本書で感じたこと。
・バッタバッタ死んでいく構造と人命軽視。
・軍人だけでなく民間人すらも、皇軍であり天皇の子として見る。そのため、民間人を守るという考えは一切ない。
・皇民化洗脳、絶望の地獄の中でも、生き抜こうとした人々。投降を促した人。
・恐怖と暴力、そして全体主義的な国への一体化の強制。
・今も基地問題を通じて続く植民地主義



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2025年09月28日

Posted by ブクログ

沖縄戦と表題されているが、軍事的な展開や趨勢ではなく、主に沖縄戦における戦没者(民間人)にフォーカスを当てて描いている。捕虜や生還者の話、慰安婦や朝鮮人、アメリカ兵の虐殺や戦争犯罪、沖縄出身者の当時の思考なども語られるが、文量として多いのは日本兵(日本軍)たちを原因とする死者たちの記録である。

書としては分厚い。300ページ以上ある。沖縄戦の記録としては暗澹たる気分になる。上記に書いたように、似たような構造での虐殺が延々と書かれているので、ミニマルな記録映画を見ているような印象。

ところどころで興味をそそる文章も出てくる。沖縄県出身の捕虜3000人ほどがなぜかハワイに移されたが、その理由は未だ不明であるとか。たぶん、ずっと不明なのだろうが、気になるところではある。

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2025年08月08日

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