あらすじ
「口入れ屋は商売だけど、口出しするのは性分なんで」
若き女主人と元花魁が、人にからまる糸を解く!
著者好評の江戸人情話、最新作!
二十七にして三度目の奉公先から暇を取ったおれんは、昔馴染みの口入れ屋を訪ねた。帳場には見慣れぬ小娘。
口入れ屋の主人と言えば、酸いも甘いも噛み分けた食えない年寄りが相場である。ただの留守番に違いない――が。
「あたしは先代時三の孫で、貫と申します。二年前にこの店を継ぎまして、今年二十二になります」
それぞれの奉公先を辞めた経緯を語らせるお貫に反発して、おれんは店を飛び出す。別の口入れ屋に断わられ、通りで再会した元の主人には不義理をなじられ、疲れ果てて戻った部屋には、お貫が待ちかまえていた……。
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Posted by ブクログ
久々面白い時代物、いろんな目線で物語が進んで、どう解決するの?と先がわからず楽しませてもらいました。
自分目線だけではダメだと反省しながら読ませてもらいました。
Posted by ブクログ
江戸時代のお話
普段手に取らない本のジャンルだけど新聞で紹介されていて読んでみました。
水戸黄門のような、非常にいい意味で予定調和な安心感がある。
人間関係が希薄になってきてる現代で、相手を思っての口出しはもっと蔓延ったらいいのに!
Posted by ブクログ
短編なので読みやすい。お貫のはっきりした物言いがなんとも爽快。美晴が素敵なので「吉原と外」も読んでみたい。けっこう考えさせられることも書かれていたりして、なかなか読みごたえがあった。
Posted by ブクログ
口入れ屋「やよいや」を継いだのは22歳の子娘だった。口入れ屋の主人は仕事を斡旋する商売だから経験豊かな年寄りが多い。なのに22歳と言う若さのお貫が年上の相談者を遣り込める痛快な話だ。
この時代は火事で全てを失ったり、両親を幼い頃に亡くしてしまったりと不幸な生い立ちな者が沢山いる。自分だけが不幸の塊だと感じている者は捻くれがちだし、大店で恵まれ育った者はそのありがたみがわからない。22歳という若さでも苦労を重ねてきたお貫だからこそ困っている人をほっとけず、ついつい口出ししてしまう。この若かさでピシャリとものを言うお貫の物言いを楽しんで貰いたい作品です。
Posted by ブクログ
口入屋「やよいや」の女主お貫。まだ若い彼女はまわりから世話好きな「口出し屋」と言われていた。そんな彼女の元に、今日も仕事を探して様々な人たちがやってくる。
出替りの時期を待てずに暇をとるまねを繰り返す女中、妾奉公を望むまだ若い女、気の利いた女中を探している隠居など、店を訪れる人は様々。
そんな人たちの希望を聞くようでお節介をするお貫。
酢いも甘いも噛み分けたような年寄りが営むのが普通の口入屋を、若い女性であるお貫が上手くこなしている。
とても小気味いい話ばかりで面白かった。