【感想・ネタバレ】物語をつくる神話 解剖図鑑のレビュー

あらすじ

日本をはじめ世界各地の神話を「テーマ」「モチーフ」「アイテム」に分類整理し、それぞれをいくつかの「型」に集約して、物語の構造や特徴などを分かりやすく図解しています。同時に民族・時代を超えた人類共通の価値観を解き明かしていきます。これにより、創作のアイデアをさまざまな神話から得ることができるはずです。

神話は何千年にも渡って伝え継がれてきました。その理由は、神話が単純明快であり、新たな物語を生み出す力があったから。これこそが「神話の生存戦略」であり、学ぶべきものかもしれません。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日本神話、北欧神話、ギリシャ神話に、エジプトの神話、キリスト教、ヘブライ語聖書、インドの神話…世界中の神話から、共通の型や発想を取り出して紹介している。貴種流離譚や異類婚姻譚など、物語の型として有名なものも、ハイヌウェレ型、バナナ型など起源を語る神話して民俗学などで聞くものも。ハイヌウェレ型って洪水からの近親婚による人類発生神話だと思ってたけど、死体化生の話だった。オオゲツヒメみたいな。
三種の神器や三貴神とか、三にまつわるもの多いと思ってたけどそれも類型化できて、第一機能神聖性(八咫の鏡、天照大神)、第二機能戦闘性(草薙剣、素戔嗚)、第三機能豊穣性(八尺瓊の勾玉、大国主…って月読じゃないんか)に分けられる。ケルトのダーナ親族に伝わる四宝も、スキタイの三宝も同様。
桃太郎のお供は申酉戌どれも南西方向、鬼は鬼門なので北東方向で、鬼に対抗するお供を連れているのとか面白い。崖の上のポニョは魚の子だが、ブリュンヒルデと呼ばれているその本名は北欧神話にある、恐れを知らぬものだけが乗り越えられる炎に囲まれて眠り続けジークフリートに目覚めさせられる女性と同じ。また、たくさんの妹たちがいて海神の子であることは海のニンフ・ネレイデスに似ている。
倒した敵の呪力を自分の力にするペルセウス(メデューサの首)や、ヘラクレス(メネアのライオンを鎧に)、素戔嗚(八岐大蛇の草薙剣)なども言われてみれば確かにたくさんある。
アメワカヒコが雉の鳴女を殺し、天に放った矢を射返されて死ぬ話は「ニムロッドの矢型」らしい。バベルの塔の上から天に矢を放ったニムロッドのように。こんなに離れているのに近い話を語る神話、面白い。

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2025年07月24日

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