あらすじ
第37回小説すばる新人賞受賞作。
霧の町チェリータウンのモットーは「壊れていないなら直すな」。
酒場を経営する町一番の人気者である父スタンリー、部屋にこもりっきりの兄エディ、そして5年前に家を出て行った母。13歳になるソフィアは町から一度も出たことがなく、独りぼっちでうつむいて生きてきた。
ある日、お向かいに住む無口な老人ミスター・ブラックの家に、風変わりな人物がやってくる。自称「毎週生まれ変わる」ナタリー・クローバーは、夏休みの間だけブラックの元に預けられるという。
町長はナタリーが変なことをしでかさないよう、ソフィアに見張り役を頼む。人の目を気にせず自由気ままに町を歩き回り、自分だけの町の地図を作っていくナタリー。やがてソフィアは、長い間押し殺してきた自分の願いに気づいて――。
孤独を抱えた二つの心が奏でる〈ひと夏の、永遠の物語〉。まばゆくきらめく、エバーグリーンな青春小説が誕生!
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Posted by ブクログ
初めての作家さんの小説でした。作者の須藤さんは、私と同年代ということでたいへん驚きました。
①互いを支え合えるような友だちの大切さを知りました。
私自身、人付き合いが得意な方ではないのですが、本作を読んで、ナタリーとソフィアのようなそんな唯一無二の友人がほしいなと思いました。
②ナタリーを見て、周りに囚われることなく、『自由に生きる』ということの大切さを学びました。
私も、自分のなりたい自分に生まれ変われるように、少しずつ努力をしていこうと思える。
本作は、読んで明日からの毎日を生きるための勇気を教えもらえるような大切にしたいと1冊でした。
また、夏に読んでみたい1冊です!
今後の須藤さんの作品を楽しみにしています!
Posted by ブクログ
舞台が外国だから、というわけではなく
読んでいて海外の児童文学を思い出しました。
私が幼い頃に読んだ海外児童文学の作品の主人公たちは、みな何かを恐れていて、けどその恐れに向き合っていて強く生きている。
受け身で終わらず、自分からどんどん踏み出していく、国内の物語と比べるとちょっと激しい内容の物語でした。
今作で言うと、主人公のソフィアは父親を恐れている。けれどそこで終わらず、最終的にはナタリーを守るために立ち向かう。街を出る選択をする。そんなところが海外の作品を思い浮かべました。
うまく言葉にできないのですが、外国の作品と言われてもそうなんだと納得してしまうような物語でした。
死を決めたソフィアと毎週生まれ変わるナタリー・クローバー。2人の邂逅がソフィアの人生を大きく変えていく。
父親と対峙したことで、エディやノアとの関係もまた変化し、母親との関係も変化するのでしょう。
ナタリー・クローバーはソフィアにとって幸運を運ぶ四つ葉のような存在だったのだと、読み終えて気がつきました。
とても面白かったです!