あらすじ
サリンは人を殺傷する以外に使い道がありません――。1995年3月20日午前8時ごろ、宗教団体・オウム真理教によって、都内地下鉄の車両に猛毒ガス・サリンが散布された。苦しみのあまりにもだえる人々で現場は騒然、最終的な死傷者は約6500人にのぼった。警察官、自衛官、医師、そして実行犯の母親たち……。教団と対峙し続けた弁護士が、数多の証言に耳を傾ける。地下鉄サリン事件のリアルを描く、緊迫のノンフィクション!
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Posted by ブクログ
同じような時間帯に日比谷線の北千住から上野まで乗車していたので、記憶に残っています。事件に至るまでの経緯、当事者、家族など、忘れかけていた記憶がよみがえりました。
サリンの解毒剤を新幹線を利用して集めた話も覚えています。
人の心の隙間に入り込み、信じ込ませて、お金も心も奪い、集団災害を起こす…
事実が時系列に詳細に調査されていて、貴重なノンフィクションであると思います。
Posted by ブクログ
サリン事件はリアルタイムでテレビで見たものの、地下鉄サリン事件と松本サリン事件の区別がきちんとついていなかったし、それ以外にもサリンが使われていたこと、サリン以上に危険な薬品を使った事件があったことも知らないという無知っぷり。
あれから30年が経つこれを機に勉強してみようと手に取ったのがこの一冊。
実際にあの事件を経験した人、関係者、起こした側の肉親、被害者を支えた人たちの「生の声」というのは予想以上に臨場感があって生々しく、衝撃を覚えながら読ませていただいた。
何より驚いたのは、サリンの影響の大きさ、そして後遺症の長さ。
第三者としては、当時の事件だけを見て知った機になりがちだが、実際にはその後何十年もトラウマや後遺症に悩まされている人たち、そしてそれを支えるために尽力されている方たちがいるということを知ることができて、本当に良かったと感じた。
あの事件はまだ終わっていないし、風化させてはいけないと思えたから。
他にも裁判に関わった弁護士の方、坂本弁護士一家の件にも言及があり、本当に多種多様の関係者の「生の声」を収録した凄い内容の本だったと思う。
文庫化を機に是非たくさんの方に読んで知っていただきたいと強く感じた。
Posted by ブクログ
木村晋介『サリン それぞれの証』角川文庫。
本作は長年に亘りオウム真理教と対峙してきた弁護士の木村晋介が、多くの人びとの証言から地下鉄サリン事件の真実に迫ったノンフィクションである。
木村晋介と言えば椎名誠や沢野ひとしと同級生で、その関係からこれまでエッセイしか読んだことが無かった。10年以上前になるが、マイクル・コナリーの『リンカーン弁護士 真鍮の評決』を読んだ時に解説が木村晋介だったことに驚き、そのことをTwitterで呟いたところ、『本の雑誌』の中で木村晋介が取り上げてくれたという嬉しい思い出もある。
自分がオウム真理教の存在を認識したのは、ミステリー雑誌の『月刊 ムー』で取り上げた麻原彰晃の空中浮遊写真を掲載した記事だった。写真を見た時には座禅を組んだ状態で足の力で飛び上がった瞬間を撮らえたインチキ写真であろうと思った。
そんなオウム真理教がカルト宗教団体となり、1989年に坂本弁護士一家殺害事件、1994年に松本サリン事件、1995年に仮屋事件といった凶悪事件を起こし、1995年、ついに地下鉄サリン事件を起こしたことには驚いた。地下鉄サリン事件からは30年が経過するが、このような無差別テロは二度と起きて欲しくはないと思う。
さて、本作。読んでみると、地下鉄サリン事件の被害者はもとより、警察官、自衛官、医師、実行犯の母親、被害者のケアを行うPKO職員など多くの関係者から生々しい証言を集め、事件の詳細を詳らかに解き明かそうとしていることに驚いた。
さらにはオウム真理教の神秘体験の謎のについても科学的にアプローチしている。
最初はヨガサークルに過ぎなかった団体がオウム神仙の会となり、さらにはオウム真理教となると次第にカルト化していく。
何故、1989年に起きた坂本弁護士一家の失踪時に現場に残されたオウム真理教のバッチや血痕に着眼しなかったのか。これは明らかに神奈川県警の落ち度である。もしも、坂本弁護士一家失踪がオウム真理教による拉致と殺人であったことが明らかになっていれば、その後に起きた松本サリン事件、仮屋事件、地下鉄サリン事件を防ぐことが出来たと思う。
1994年の松本サリン事件も第一通報者を犯人と決め付け、オウム真理教へと目を向けなかった長野県警もかなりの間抜けである。もっともオウム真理教には公安警察が張り付いていたのだから、一連の凶悪犯罪を早期に暴けなかったことは愚かとしか言いようがない。
本体価格880円
★★★★★
Posted by ブクログ
途中までは時系列の説明や、被害者や元信者、死刑囚の親、医師や警察、自衛隊、消防士など様々な証言で分かりやすかったが、
断章の途中から専門っぽいことが出てきて、難しかった
Posted by ブクログ
被害者だけでなく、死刑囚の母親にまでインタビューをしており、なかなか聞けない話が読めると思って購入。興味深い内容だった。
どちらの死刑囚の親も、謝罪の言葉は口にしているものの「あの子がそんなことをするはずはない」「オウムに出会っていなければ」と、どこか他人事にしているように思えた。
覚醒方法についても筆者の体験も織り交ぜながら記述されており、社会情勢の変化によって不安になった心に漬け込む力がオウムは長けていたのだなと感じた。
すぐに答えを出すものを信じるのは慎重にならなければいけない。経験の積み重ねで自らの人生の答えを見つけていきたい。
Posted by ブクログ
事件から30年にあたるとSNSで話題にあがっていたタイミングで本書と出会った。
当時は幼いため事件の騒ぎは記憶にあるが、実際の事件に詳しくなかったため新たな発見があった。被害者だけでなく加害者家族、弁護士など各視点からのインタビューで多角的に知ることができる。
2025年3月20日に放映された「1995~地下鉄サリン事件30年 救命現場の声~」とは一部違う証言もあったので、他の関連書籍も読んで、教団自体の背景もしりたくなった