【感想・ネタバレ】新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたことのレビュー

あらすじ

共同通信社が配信するウェブ「47NEWS」でオンライン記事を作成し、これまで300万以上のPVを数々叩き出してきた著者が、アナログの紙面とはまったく異なるデジタル時代の文章術を指南する。これは報道記者だけではなく、オンラインで文章を発表するあらゆる書き手にとって有用なノウハウであり、記事事例をふんだんに使って解説する。また、これまでの試行錯誤と結果を出していくプロセスを伝えながら、ネット時代における新聞をはじめとしたジャーナリズムの生き残り方までを考察していく一冊。

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Posted by ブクログ

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新聞の濃度高めで追記的なニュース記事は特殊な文体であることに気付き、どうすればネット記事(特にYahoo!ニュース)の中で埋もれずに読んでもらえるように出来たか、の経験談。キーワードは「共感」。実際の記事例も多く挙げられており理解しやすい。
当方は新聞記者ではないのでその文体、つまり最初の段落が記事要約になっている文体で書くことはまず無い。だが他のコツには面白いものもあった。
第3章「デジタル記事の書き方」からコツを列挙してみると:
・ストーリー形式で時間順に書く
・接続詞(特に順接も)や指示語を多用する
・複数の表現がある言葉に悩んだらGoogleトレンドで選ぶ
・(新聞記事的コツだが)最初の段落の末尾には本文への「匂わせ」を入れる
・主語が修飾で長くなるときは文を分ける
・決まり文句は使うな

この本の最後の最後に、共感主体の文体だと新聞的文体より読まれやすいが、読者の感情を煽る「恐怖」の社会を生み出してしまうのではないか、との言。ニュースが(見かけ上)無料になったこの世界、意味ある記事をいかに読んでもらえるようにするか、記者たちの苦悩は今後も続く。

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2025年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても具体的かつ実践的で面白かった。

仕事上、広報業務をする中で、ウェブサイトにあげる記事を書く。

まあ、ほぼほぼ読まれないのは分かっている…

誰に向けて何を届けようとしているのか、という点がとても大事なのはわかる半面、

だからと言って、めちゃ読まれることを狙ってこれまでの形を崩してでも届ける、というようなことをすることを求められているわけではない…

というようなことが、

この著者が、新聞の紙面記事とウェブメディア上での記事の性質の違いなどを話されていて、

なるほど!と、普段なんとなくやり過ごしてきたこの点について、理解の仕方を知れた気がした。

著者がこれまでの経験でいろいろと試行錯誤して得た、読まれやすいウェブ記事のポイントがいくつかあって、紹介されている。これは実践的で興味深いのですが、

考えさせられたのが、

あくまでやりすぎない、ということが大事だということ。

読まれているのか、その記事の価値を図るうえで、ページビューが数として一つの指標になる一方、

PV至上主義には警鐘を鳴らす。

読者、視聴者の感情を煽ったり、

誤解を招きかねないタイトルでクリックを誘ったり、

そうしたら確かにPVは増えるかもしれない。

でも新聞社という信頼性ある組織という立場からも、

また私の所属するような一企業や組織の立場からも、

あくまで信頼性があっての広報であり、事業の実施がある。

ウェブ空間を感情の世界、と著者は読んでいるけれど、

まさにそうだと気づき、

同時に、著者はウェブメディアはどうすべきかを問う。

多角的視点を取り入れること、どこまで自制するのか、ということ、…

つまり、この本のテーマでもある中で、「読みやすさ」はどこまで追求するものなのか」ということ。

そもそも著者がこれを探究し始めたのは、

自身が新聞社で記者として勤務する中で、

デジタルメディアの担当になり、

紙面に掲載するために新聞社で蓄積され受け継がれてきた記事執筆のスキルと枠組みがどうもうまく機能しない、ということを知り、

じゃあどうやってウェブ記事をもっと読んでもらえるように書いたらいいのか、ということになった。

とはいっても、

簡潔にまとめられた紙媒体の新聞の文章はそれはそれで紙面での文章としては最適化されていて、記者の要約スキルは、もっと読みにくい研究論文とか、そもそも一般車向けに書かれてはいない文章だけれども、それに比べたら断然「読みやすい」ということでもあるのだけれど、

ウェブ上の読者の間では、新聞記事そのままの文章だと、まあ、「読みにくい」に入る、ということについて少し話していた。

で、その新聞社による記事の中でも、「読みやすい」新聞記事の文章があり、

さらに読みやすいのが、週刊誌などの記事の文章で、

さらに読みやすいのが、ネット上の文章、これはそもそも記事というよりマーケティング、広告になっていく、と…

そしてほぼ文章ではないぐらいの見やすさ?のものがSNS…

と考えると、

そもそも、感情の戦いには参戦すべきではないのかもしれない。

どういう目的で、

どのレベルで読者を増やすか、

それを明確にすることなしに、

ただPVが増えるようなものを出そうとしたら、

完全に方向性間違ってしまうと、あらためて気づいた。

大事なのは正しい理解が広がること。高まること。

なかなか一目で確認できることではないけれど、

それを確認し続ける姿勢は忘れてはいけないなーと思った。

そう、読者ファースト、と書かれていますが、

理想の読者をどう描くか、それはかなり大事だと思ったり。

読者を育成するという課題は、誰に託されているのだろう。

「読みやすい」を求めるがあまり、読者のリテラシーの低下を招いてしまわないか。

扇動したら取り返しのつかないことが起こることも歴史の教訓である中、

バズらせることは全く目的ではないということでもあり、

バランスって本当に難しいし、これこそ今とても大事な話なんじゃないかと、

思い起こさせられたお話でした。その点でとても面白かった。

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2025年03月11日

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