あらすじ
「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終るだろう」 レヴィ=ストロース「悲しき熱帯」の最終章に出てくる有名な言葉です。それでもヒトはこの世に生まれ、生き、病み、老い、死ぬ。それでもヒトそれぞれの生きざまは胸を打つ。巨匠いがらしみきおが贈る入魂の人生絵巻!
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Posted by ブクログ
強烈な読後感がある。
どちらかというと厭世気味。もちろん生きることの美しさや小さな奇跡も描かれているが、この短編集の特異さは、救いようがない生老病死の業をそのまま描くような話が点在しているところにある。
それらが持つ生の苦しみが、他の希望を残す話さえも覆ってしまう重さがある。
鬱気味のときは読んではダメだが、元気なときは読むべき作品。
Posted by ブクログ
山田風太郎の「人間臨終図鑑」にヒントを得て、いがらしみきおが、架空の無名の20人の一生を8ページで描く。
「私が生まれる前に、私と会うこともなく死んでしまった人は、いったい何人ぐらいいるのだろうと思ったことがあります。これもまた調べてみると、大体1080億人らしい。」
「その1000億人には1000億人の人生があったわけで、私の人生を『1』と考えると、とんでもないことです。」
架空だからこそ、たった8ページに何を選びどう描くか、いがらしみきおの視点が明確になり、いがらしみきおのリアリティが出現する。
いがらみきおという人間の一生図鑑だと思って読んだ。