【感想・ネタバレ】歌集 Dance with the invisiblesのレビュー

あらすじ

予測不能の睦月都ワールドへの招待。角川短歌賞受賞作家による、短歌新時代の到来を予感させる歌集。第68回現代歌人協会賞、第25回現代短歌新人賞を受賞した『Dance with the invisibles』の電子版。

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Posted by ブクログ

2017年「十七月の娘たち」で
第63回角川短歌賞受賞されています。

この歌集は私にはもったいないものでした。
角川短歌の川野里子さんとの対談で何が書いてあるのかなんとなくわかったのですが、やっぱり難しい。

出てくるのは、女の子、いもうと、母、猫。
甘くて、女の子のつける香水と砂糖菓子の香りが漂ってくるような歌集だと思いました。
装丁もとっても素敵で、この歌集にぴったりはまっています。

連作というところに意味があるらしいので、単独で短歌を載せてもしょうがないのかもしれませんが、意味がなんとなく掴めたもので素敵だと思ったものを載せます。



<婚なさず子なさずをれば一日がシロツメクサ
 のやうな涼しさ>

<わが飼へる苺ぞろりとくづほれてますすべも
 なし春の星夜に>

<そこらぢゆう木香薔薇が咲いている 夜なの
 に子どもの声がしてゐる>

<花に雨かすめるやうなしづけさの母と妹 朝
 のおしやべり>

<風薫る五月の夜の屋根の上に猫やはらかに歩
 みゆくなり>

<もんしろ蝶 光の路地にあらはれてみるみる
 燃ゆるまひるなるかも>

<お母さんわたし幸せなのと何度言つても聞こ
 えぬ母よ 銀杏ふる日の>

<妹が帰らぬ夜のひとつあり真珠のやうに寂し
 かりけり>

<最後にみたあなたのなみだの一粒を記憶はう
 つくしくしてしまふ>

<その日からいまも降りつづく白い雨 あなた
 が姉妹都市になる夢>

<雨音のまどろみのなかを抱きよせて猫とは毎
 朝届く花束>

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2024年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

独特の詩的で美しい世界を持つ歌集。緑色のレトロで外国っぽい装丁も世界観を引き立てている感じ。印象的なモチーフは女の子同士の同性愛、猫、木蓮、角砂糖、いもうとと母など。静かだけれどどこか遠くから甘いにおいがしているような感じで、この歌集の世界にすっかり魅了されてしまった。

どの春も過去形になる 春だった ターンで広がる風とスカート

低気圧近づく夜もそこにゐてスワンボートはすこし俯く

かりゅーど、と異国語めいて 狩人よ冬の森には必ず愛を

後半のうっすら生活を感じる歌もいいのだけど、前半の情景を詠んだ歌の方が好きなものが多かった。
しんとした夜に一人で読んでいたい歌集。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

2024年の現代短歌新人賞を受賞された睦月都さんの歌集を読んだ。装丁もかなり美しく、付箋は水色一色でそろえてみた。お気に入りの歌を四首選んでみた。

・われにある二十の鱗すなわち爪やはらかに研ぎゐるゆふべ
・もんしろ蝶 光の路地にあらはれてみるみる燃ゆるまひるなるかも
・五時の鐘鳴りておどろく 帰らなくてはいけない家があった気がして
・散るといふよりも壊れてゆきながら体力で立つ桜みてゐる

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2025年08月12日

Posted by ブクログ

「意味として言語化・論理化される手前の印象や雰囲気、手触りといったものをコントロールするのが本当に巧み(染野太朗)」←これにつきる

歌集として楽しめたが、栞分の染野太朗の言語化が的を得すぎていて驚き、もはや怖い

すこしづつひとりに慣れるやうに風、小雨はらみて吹きつけるなり

↑のような、現象が意味を持つまでの間の移ろいを伝えるのが凄く上手いなと思いながら読んでいた。字余りによるリズムのとりにくさと古典仮名遣いが作者の世界観に入り込むのに少しハードルを上げているように感じた。

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2025年04月17日

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