【感想・ネタバレ】魔法を描くひとのレビュー

あらすじ

「私の人生の主は私。何ものにも、簡単に委ねてやるもんか」
20世紀初頭にアメリカで創業し、世界中から愛されるアニメーション会社となったスタジオ・ウォレス社。1937年、レベッカは類稀な画力でウォレス社に入社を認められたものの男性ばかりの社内で実力を評価されない日々が続く。それでも仲間と協力し作品創りに励むが、第2次大戦の影が忍び寄ってくる……。
時を隔てた現在、ウォレス日本支社で働く契約社員の真琴は、偶然見つけたデザイン画から、素晴らしい才能を持ちながら歴史から忘れ去られた「彼女」たちの人生を知る――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一応別名にしているが、ディズニーで働く女性たちの2つの時間軸の物語。

一つは20世紀初頭、ディズニー勃興期にアニメータやイラストレイターとして働いたレベッカとその仲間達が、女性ゆえの地位的差別や、世界恐慌第二次世界大戦などの激動の中で働き生きた物語。

もう一つはコロナ期つまり現代日本の契約社員真琴が、展覧会の企画に携わる中でディズニー勃興期に活躍した女性たち(つまり一つ目の物語)を知ることになり、その世界を探る物語。

いつ仕事がなくなるか、いつ首になるか、分からないなか、男性や正社員より安い給料で単純労働を優先的にさせられる、能力ある女性たちの苦闘。男である俺が読んでも本当の辛さは分かったものではないのだろうけど。

才能と努力でのし上がっていく姿は美しく正しい。それが大いに分かっているのに、何故が調子のよさとか口先三寸とかで成功したり、親の七光りでなんとかなっているヤツらもいて、そういう連中の居所を作るために才能と努力のヤツが座る席が足りなくなる。

普通によくある話…で済ませていたから、席には無能しかいなくなって、どうにもこうにも暮らしにくい世の中になってしまった…今の日本は、いやアメリカもロシアもイスラエルも、世界中が劣化して行ってる原因の一つはそういうことなのかも知れないな。

白雪姫の肌を日焼けさせるとか、そんな事じゃないと思うよ、多分。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

20世紀初頭に創業した世界的なアニメーション会社であるスタジオ・ウォレス社。60年前に日本で開催した展覧会の展示品が発見され、新しい展覧会が行われることが決まった。日本支社の契約社員の西真琴は展示品の希望リストを作成するためアーカイブを確認していて魅力的なデザイン画を見つける。そこにはM.S.HERSEAのサインがあり…。
1930年代後半から40年代に活躍したスタジオ・ウォレスの名もなき女性アニメーターたち。現代の真琴の視点と、激動の時代を生きるレベッカの視点でM.S.HERSEAの正体、人生が明かされていく。

よく内容を知らずに手に取ったので女性アニメーターを描いた本だと読み始めて知った。ディズニーがモデルなのは間違いなく、著者も実際ディズニージャパンで働いていた人らしい。私はそこで詳しいわけではないのでどの作品がモデルなのかなとかはあまりわからなかったが、好きな人だとそういう視点でも楽しめるのかもしれない。
女性蔑視、ストライキ、第一次世界大戦と激動の時代と周囲に翻弄されながらも理想のアニメーションを作りたいと描き続けるレベッカたち。名前が残ることもなく、やりたくもないプロパガンダ作品を作らされ、戦後は仕事を奪われる。いつ仕事がなくなるか怯える不安定な契約社員である真琴の状況と、この時代の女性の苦境がそれぞれ描かれている。リストラに怯えつつ、抗うこともできない真琴がM.S.HERSEAを発見し人生を知ることで、上司や社員の女性と理解し合い、抗おうと変わっていく姿もよかった。

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2025年04月29日

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