【感想・ネタバレ】白狼様と神隠しの少女 約束の百年目、神使が迎えにきましたのレビュー

あらすじ

神野木家の下働きのまほろは強欲な当主一家に虐げられてきた。

ある日白皙の美貌の青年・狭霧が訪れる。
神使だという狭霧は「『石』を返せ」と迫るが、当主は狼狽するばかり。
しかも身代わりとしてまほろが差し出されてしまった。

百年前、神野木家には特別な霊石が貸し出された。
返さなければ破滅だと聞き、まほろは失われた霊石を捜すことに。

二人旅の中、狭霧の不器用な優しさや新しい出会いを通してまほろの孤独は癒えていく。
人間嫌いの狭霧ともやがて心を通わせるが、旅路の果てに思いがけない真実を知って――。

==登場人物==

まほろ
神野木家の下働き。
強欲な当主夫妻と一人娘に虐げられ、周囲の使用人からも見下されている。
捨て子の自分を拾ってもらった恩を返すため、懸命に働いている。

狭霧
神霊界の主に仕える神使。人間嫌い。
純真すぎるまほろのことは放っておけず、つい世話を焼いてしまう。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 大切な記憶を取り戻すための物語
 誰もが、誰かに愛されている

 米騒動、大地震。令和の様相と重なる大正に当てた物語なので、このときに読むからこそ伝わるものが多くあると思います。もちろんこれから100年先に振り返るときも、きっと人の心の癒しになることでしょう。

 厳しい状況の中で、誰かに向けられる強烈な悪意の中で、どうやって争いを癒すのか、己の心を守るのか、相手を赦すのか。きっとあなたのためになる何かがここにはあると信じています。






 ※
 以下、ネタバレを含みます。
 散文、時間の許す方のみお付き合い下さい。






・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・








 まほろさんの本名が、真に秀まれる道、ご両親の名から一つずつもらいうけたものというのは、激アツでした……。この時代のお医者さんはまだ、ロックフェラー医学の売国奴ではなかったのだなぁと。無限に湧き出す金銭を手にして、本当に、患者さんたちの幸福と健康のために全てを捧げるなんて、綺麗事を絵に描いたような人柄です。感服致しました。空想の物語で片付けるには惜しいほど、こういう日本人は、たしかにいたのだろうと感じさせる不思議な説得力を感じました。先祖の罪も、先祖の徳も、諸共に愛し、感謝します。

 まほろさんと狭霧さんのラブロマンスぶりも、どこか、「わたしの幸せな結婚」を思い出させるあまあまぶりでニヤニヤしました。どちらかというと、雨咲さんの前著・暁からすの嫁さがし の面影があると申しましょうか。筆者の作品を追い続けている読者皆さんにはたまらない胸キュンでしたことでしょう。笑 もちろん私もです。笑

 喜恵さんや良助くんの、失いたくないものを失い続けて、それでも自分を救おうとしてくれる人の善意に素直になっていく様子や、それに惹かれて自分を虐げる悪意に向き合って、己の心を守る覚悟をするまほろさんの成長譚も胸が熱かったです。特に、喜恵さんは、心救われて尚、悪意が完全になくなることはない、それでも少しでも人にとって、己にとって良かれと生きていくと認めている様子が、なおさら私にとっては素直に響きました。感動体験をしたからといって、簡単に人格が変わるようなら、誰も生き方を間違えたりはしませんから。己の欠点や他人の未熟さも含めて、思うようにならない苛立ちや悲しみも含めて、喜び恵みに感謝する尊い心が現れます。闇が濃いほど光はまばゆい。世界は相対、関係で出来ているので、悲しみや悪の役目もまた、必要だと私は思うのです。※カルロ・ロヴェッリ『Helgoland』参照

 それにしても、悪役の清々しいことよ。笑
 このあたりの成敗の爽快感は、なんだかんだ時代劇らしいノリも含められていて、赦し、改める機会は与えるけれど、心や命、信頼を侮辱した罪はきっちり支払わせるというあたり、けじめがあっていいと思います。罪を見てみぬふりをしているのではなく、友の必要悪を悟り、それでもこれを共に改めて行けるように手を尽くす。ニヤニヤと賄賂を受け取る相手と握手をしているだけではまるで友好など務まりません。C国と友好関係になりたい!と熱心な、永田町やワシントンの議員たちはどうにもそうしたニヤニヤが拭えませんものね。せめてウイグルチベット問題を言及した上で、友好を語ってもらいたいものです。




 まだまだ語りたいことはたくさんございますが、狭霧さんの萌えどころ、まほろさんのかわいいところ、ほかの胸キュン豊かな女性読者みなさんにお譲りして、つい政治的に見てしまうヤロウはこのあたりで退散仕ります。……御影くんとの喧嘩っぷりも面白かったなぁ……景明さんと雪車町みたいな※装甲悪鬼村正





 以下、脳内劇場配役です。
 細かな配役に関しては皆さんの自由にお任せ。
 主演のお二人のみ、ご案内いたします。



 狭霧:寺島拓篤さん   まほろ:佐藤聡美さん




 です。いわずもがな、ご夫婦!
 自信がない女の子を、不器用ながら見守り、共に歩む青年という様子がね、しかも時代劇となるとね、もう、ほんとこの2人、似合いすぎなのですよ。笑 湊斗景明さんと宇治松千夜さん! え?景明さんは石川ゆうすけさんでしょって?そこは魂のご兄弟ということでどうかひとつ。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

二人の旅路が微笑ましくて、優しい気持ちになれる作品でした。
まほろちゃんの純粋さが、出会う人たちの心を温かく包み込んでいく様子が印象的です。

二人の今後がとても気になるので、ぜひ後日談も読みたいです…!

1
2025年04月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヒロインが「ボロ」と呼ばれている作品をたまたま二作続けて読んだので、一瞬、アレッ??ってなりましたが、これはこれで、狭霧のツンデレっぷりがよきよき。富士見デビュー作以来に読んだ作者さんだけど、あの時はクソだなと思った記憶があるが、今回は楽しく読みました。

0
2025年10月16日

Posted by ブクログ

神使のヒーローと虐げられていたヒロインが霊石を探す旅に出る。二人で旅をする中で人間嫌いなヒーローが少しずつ変わっていきヒロインが様々な人々と出会い感情を知っていく微笑ましい話。今後の二人が気になるところ。

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2025年09月07日

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