【感想・ネタバレ】夜警ども聞こえるかのレビュー

あらすじ

フリマアプリで購入した一台の中古のボイスレコーダー。
そこには、九州の■■■大学での夜間自主警備、通称「夜警」を行う学生たちによって語られたと思われる、たくさんの怪談音声データが残されていた。
本書はそれらのデータと、ボイスレコーダーにまつわる一連の出来事をまとめた記録である。

この本が無事出版されることを祈ります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

結末、分かりそうで分からん。
元々考察しないと分からん話が苦手な上に、育児疲れと寝不足重なってて頭も回らん中で、自分なりに解釈したので残しとく。

読んでいて、最大の謎である「みゆき」って誰やねんってところだけど。考え方は2通りかなと。

まず、1通り目。
思うに、そもそも油絵研究会では誰も死んでいなかった。「みゆきちゃんの首が絞められるという、絞殺『未遂』事件」なわけだから。だから、そもそも「みゆき」の幽霊が出ること自体がおかしい。
そこでポイントが次の文なのではないか。
「名付けというのはすなわち、対象の霊的な実存を確定することだと考えられてきました」
「物事の因果が収まる円環の病棟に、空室があるとしよう。誰が使った部屋なのか、何に使われた部屋なのか、誰も知らない。(中略)
しかし病棟の外からは、カーテンのかかったその部屋の窓を、数千、数万の瞳が熱心に見つめている。(中略)
やがて、因果の余白にも等しいこの病室に、変化があった。(中略)
そうして、何もないはずのその部屋に、何かが生まれる。」
つまり、「油絵研究会の部室で、みゆきちゃんという子の首が絞められた」という事実があって、「そこでみゆきちゃんという子が締め殺された」と事件の詳細を知らない学生たちによって尾鰭がついて噂として流された。その結果、「油絵研究会にみゆきちゃんの幽霊が出る」という更なる尾鰭がついて、それが事実として認識されるようになった。そうして、何もないはずのその部屋に「みゆきちゃん」が生まれてしまったのではないか。
だから、この場合の「みゆきちゃん」は野口美雪でも森田美由紀でもない、嘘から出た真の「みゆき」。

2通り目は、物語の構造そのものに関わるから、かなりややこしい。
「このレコーダーと文書が、紛れもなくモキュメンタリーであった、という事実」とある通り、そもそもKQ大学、そのサークル棟、夜警をはじめとするボイスレコーダーの内容は、全て里見の創作物だった。
「油絵の好きだった」里見は精神病棟に入っており、その個室が「日当たりの悪い、奥から二番目の個室」。
油絵研究会に現れる「みゆき」は里見由貴(さと「みゆき」)なのではないか。
また、ボイスレコーダー内のプロットと題されたテキスト「私」も、「電話」の【皮肉屋文庫・注】で示唆しているとおり里見自身なのではないか。
整理すると、
幽霊「みゆき」 = 里見
プロットと題されたテキストの「私」= 里見
野口美雪 = 里見の創作物
先に挙げた「このレコーダーと文書が…」の「文書」が「森田弟」のメッセージも含まれているのなら、森田美由紀も森田弟も里見の創作物ということになる。
だから、ボイスレコーダーをフリマに出品したのが里見自身で、森田弟が最終的にフォローしていたアカウントがそのフリマのアカウントだけだったというのは、それを示唆しているのではないか。
ただ、そうとするならば説明がつかないというか、解釈のしようがない穴も出てくるのだが…。
ところで、「電話」の【皮肉屋文庫・注】の中盤から、モキュメンタリーについての講釈が述べられており、その末部に「再生終了」の文字がある。ラストの「一九九九年七月一六日」では、里見が考えたモキュメンタリーの脚本がボツにされているシーン。「まどろっこしいね。謎の資料だの音声だの、実は書き手が違っただの(以下略)」
この「書き手が違う」というのは、読者が皮肉屋文庫氏が書いたものと思いきや、実は里見が書いていた…とも解釈出来ないか。
もしかして、最初から最後までの 皮肉屋文庫氏やY氏、Iさんの全てのやり取り自体もボイスレコーダーに収録されたもので、それらひっくるめて里見の創作だった…というのは考え過ぎだろうか。

長々考察してみたけど、「読者であるあなたは、ただ余白を見つめるだけでいい。(中略)だから、地に足の着いた考察はいらない。こうであったら面白いのに、そう願うだけでいい。」とある。
結局のところ、好きに解釈してなと丸投げされてるだけのような気もする。こっちとしては「何やねんそれ」と感じるし、無責任な話やけど。

あとさ、作中に唐突に出てきた「西園寺くん」って誰やねん。

0
2025年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったです。
ボイスレコーダーに入ってたどこか違和感がある怪談。
読み進めていくうちに違和感の正体がはっきりしてくるのですが、結末に空白を持たせてる感じが好きでした。
怪談の内容もどれも怖くて最高でした。
個人的には『帯』がベストです

0
2025年02月07日

ネタバレ 購入済み

表紙のインパクトで購入。
うーん、まっったく意味がわからなったです、難しい。
でも終始不穏な不気味な空気は漂ってます。不穏な感じはするけれど、とてつもなく怖いわけでもないです。

0
2025年02月25日

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