あらすじ
佐久間美保は小学生の息子・晴翔と夫の三人暮らし。ある日、晴翔が小学校のベランダから転落して骨折してしまう事件が発生する。
転落した理由を尋ねるも、晴翔はかたくなに口を閉ざしたまま。
もしかして、わが子はいじめを受けていたのではないか……? そう思った美保は独自に真相を探ろうとするが、自身も小学生時代にあるいじめを「目撃」しており……?
衝撃のラストに震撼する、「いじめ」問題に切り込む意欲作!
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Posted by ブクログ
親として感情を強く揺さぶられた本でした。
過去の自分の行いも蘇って本当に苦しかったです。
言い訳は後で何とでも出来ますが、やられた方からすれば本人の事情なんてどうでもいいーー、本当にその通りだと思います。
じゃあどうすれば良かったのか?
最近タコピーを観たばかりなので、同じ問いを自分に問いかけてしまいます。
今は子供が「デストロイヤー」になってしまわないよう、自分の中のデストロイヤーを抑えないと。取り急ぎ旦那への優しさでしょうか。
この思いもいつか風化してしまうのだろうけど。
人間っていう種からして形はどうあれ、イジメはなくならないから、今は無意識下の自分が怖いです。
Posted by ブクログ
扱われているのはいじめの問題、主人公佐久間美穂の息子がある日校舎の2階から飛び降りて大けがを負ってしまう。息子がいじめの被害者になっていると感じた美穂は息子や学校の教師たち、普段接触のない級友の父母たちに色々と聴いて回るが、仕事の忙しさもあって専念できずどうにも話が見えてこない。
美穂の子供時代にもいじめがあって、その記憶が息子の今と重なる。
読んでいて気持ちが重くなる、共働きで忙しさにかまけていたのは俺も同じ。そう、親の気持ちでこの本を読みだしたのだ俺は。そして、うちの子をきちんと愛して向き合って行けただろうかと思いを馳せていたら…
最後の10Pでとどめを刺された。あぁ、俺だってきっと加害者だったんだ。日本中俺みたいなやつはきっとたくさんいて、この本を読んでいたたまれなくなるんだろう。
いたたまれなくなった俺たちの行動が、少しずつでもいじめの現状を変えていけたら良いと思う。俺もその変えるための努力をしていこうと思う。
Posted by ブクログ
一気読みしました。
何か悪いことをしたとき、他人はそれをその人の性格によるものと捉えるが、自分はその時の状況によるものと考えるという言葉を思い出しました。
記憶は如何様にも変わる。
自分がやった側だったのに、やられた側が損してばかりはありえないだとか言っている美保に呆れましたが、自分にもそういうところがあるかもしれない。
Posted by ブクログ
共働き夫婦の一人息子、晴翔が学校で飛び降り大怪我する。現在の小学校のがんじがらめの個人情報取り扱い、陰湿ないじめの影にはスマホがあり、おおらかなのか鈍感なのか理解できない夫、さらに主人公の美保は、無自覚な自己中。文字から映像が見えるようリアルな描き方で何度も中断しながら、それでも読まずにはいられない、そんな作品。何より大切なわが子がいじめの被害者ではなく、まさかの加害者だった、想像を絶する辛さだろう。それが親子連鎖していた事に読者は驚くが、美保は自分が加害者だったとは思いもしない、記憶を改ざんして被害者だったことになっている。
最後の江梨のメールを理解できないのではないかと思った。そんな美保の為に嫌な思いをして真実を告げてくれる里香は思いやりのある人だ。
打ちのめされる読書体験。正直なところ、自分の人生のステージが現在は別地点であることに安堵した。
Posted by ブクログ
時間も遅かったのでキリのいいところまで軽く読もうと思ったけど、もうもう一気読みだった。
ずーっと、肺の辺りに重石を置かれたような、心臓をギュッと握り潰されてるような苦しい気持ち。でもページを捲る手が止まらない。
アケミのイジメのシーンもわかりやすく嫌な気持ちになったし、子供のトラブルでの親同士の話し合いのシーンも、もう重くて苦しくて。
でもね、なにより。この主人公、美保の、保身。自己中。利己的。その態度が苦しかった。
ハルトのことも、気にしてる風で、自分の都合のいいようにしか理解しない。
そんな人だもの、ああいう過去を持ってるよね。私は被害者だったの、都合よく記憶を改竄するよね。
あーもう苦しい。
でも。もしかしたら。
これを読む自分、過去の自分が美保だったかもしれないという恐怖。
自分の加虐性を都合よく書き換えて。
最後のメール。
内容も怖かったけど、本当の一番最後。
「返信無用」
不要ですらない。
本気で鳥肌立ちました。
Posted by ブクログ
自分にもトラウマがあるので、読んでてかなり辛くなったのだけど、引き込まれてどんどん読めました。ただのハッピーエンドではない、著者さんの伝えたいことがはっきり伝わってくる終わり方で、個人的には好みでした。
Posted by ブクログ
主人公の母親、美保。本当に嫌だ。
自分も被害者ぶって記憶改ざんしてて。私もいじめられていた、傍観者だった。でも仕方なかった。
自分の子はいじめなんてしない。したとしても誰かにやらされたんだ。自分勝手すぎる。
美保のお姉さんはすごく出来た人だと思う。だんなさんも。
私の娘も中学で嫌がらせを受けて、ストレスから体に異常が出て今も病院に通っている。けど加害者は高校生になったとたん、何事も無かったように話しかけてきたと聞いたときの許せなさを思い出した。
やった方は軽い気持ちでも、やられた方は一生許さない。
最後のメールを読んだあとも美保はきっと何も変わらないだろうと思う。