【感想・ネタバレ】八月の博物館のレビュー

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博物館の楽しみ方

mac
2022年09月30日

一部ご紹介します。
・博物館の歴史とは、見せ方の歴史に他ならない。いかに人に心地よく見せるか。いかに効果的に、わかりやすく、楽しく、面白く見せるか。いかにびっくりさせるか。一つの絵から、興味がわき、いろんなことが繋がる。この目に見えない繋がりが面白さを惹き起こす秘訣。
繋がりを示すのが見せ方。美...続きを読む術品や遺物は世界でただ一つしかなくても、見せ方は人の数だけある。博物館も、学問も、小説も面白いと思えるのはそのためだ。
・物語を作る者は、一冊ごとに博士になるくらい調べなければならない。
・これまでたくさんの美術品や遺物が歴史の中で失われてきた。火事や地震、洪水。戦争や爆弾テロ。そうでなくても時間がたつと自然に物は壊れていく。絵は色褪せる。素材はひび割れる。どんなにすばらしいものも時間には勝てない。いつの時代でも復元の作業は困難なものだ。
もし、その失われたものが昔のミュージアムに展示されていたらどうだろう?
・人間というものは曖昧なものである。誰かに何かを伝えようとするとき、自分の記憶だけでは不十分なのだ。正確に言わなければならない部分を疎かにしたら、人に信用されないだろう。
自分の空想を書くときでさえ、過去の遺産から完全に自由になるわけではない。それ故、一文字書く毎に、昔の記憶を辿り、自分の記憶が曖昧な時には、誰かの記憶を利用する必要がある。
本を読み、旅行に出かけ、写真や絵を見たり音楽を聴いたりする。
・かつて博物学とは、目に見えるものすべてを分類し、それらに名前をつけることだった。
世界を文字で分類することだった。だが一方で、博物学者は言葉にならない情熱や感動、驚異を、絵や展示によって表そうとした。芸術家も然り。文字とそうでないものがせめぎ合う狭間、それがミュージアム。
・知りたいという欲求、確かめたいという欲求、表現したいという欲求。そのすべてがミュージアムにある。この世にある全ての物語は、ミュージアム。
・友達や家族と一緒に見ている時が、一番楽しいものだ。好きな人と一緒に、感想を話し合いながら、ときにはカフェで休んだり、ミュージアムショップで買い物したりしながら、くつろいだ気分で見て回るのが一番だ。

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