あらすじ
北海道釧路市にある、日本で唯一野生の猛禽類を保護・治療する施設、それが「猛禽類医学研究所」。
自動車や列車との衝突事故、風力発電の風車への巻き込まれ事故、そして狩猟につかわれる鉛弾での鉛中毒などにより、多くの野生の猛禽類に被害が出ています。彼らの命を守るべく立ち上がったのが、獣医師である著者。猛禽類医学研究所の立ち上げ、仲間の獣医師やスタッフ、関係者との出会い、そして保護活動と前例のない治療……。鳥たちとのドタバタな日常を送りながら、いますべての人に伝えたい「本当の共生」とは?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
夏休み、那須での登山の帰りに寄った那須動物王国で、久しぶりにバードショーを観覧。
数々の猛禽類が大空に羽ばたく姿に魅力された。
ワシやタカなどの猛禽類ってカッコいい!
という単純な理由で読み始めたところ、齊藤先生が猛禽類を始めたとした野生動物の保護活動で、素晴らしい実績を残されていることを知る。
恥ずかしながら、(猫を飼っているのに!)本書を読む前まで野生動物の死に対して人間が救済することの意義を全く理解できていなかった…
野生動物が死ぬのを一々保護なんて、金の無駄
くらいに思っていた自分をボコボコにしてやりたいくらいだ。
齊藤先生が保護されているのは、人間が作った環境によって傷ついた動物達であり、しかも多くは希少種。
猛禽類が生態系のトップであることもイマイチ理解していなかったわけで…
生態系の外にでている人間が、どれだけ勝手なことをして生態系を崩しているのか。
この辺を理解できると、人間の業に対する危機感も芽生えてくる。
感電や電車、風力発電への衝突、誤飲、鉛中毒など人間の生活を豊かにする環境によって、野鳥の死が増えている。
人間の健康、動物の健康、自然環境や生態系の健康をひとつの健康としてまとめる「ワンヘルス」という考え方も知らなかった。
齊藤先生が素晴らしいのは、ただ保護して治療するのではなく、野生に戻すための様々な工夫。
以前、ボルネオに行った時オランウータンの保護活動を知ったけれど、野生に返すことが難しいと聞いた。
齊藤先生とチームの皆さんの知恵と努力には頭が下がる思いだ。
齊藤先生が活動されているのは、釧路湿原野生生物保護センター。
釧路湿原といえば、今話題のメガソーラー建設。
あの忌まわしき開発という名の破壊行為に、齊藤先生も心を痛めるとともに阻止するための活動をしていらっしゃるだろう…とSNSを覗くとやはりその通り。
釧路湿原は猛禽類だけだなく湿原固有の様々な野生動物の住処となっているはず。
しかも、湿原は破壊されると森林より回復に時間がかかると聞く。
一日も早く破壊行為が中止になることを願わずにはいられない。
Posted by ブクログ
希少猛禽類の保護活動から得られた知見を予防に活かす活動に敬服
鉛汚染の問題はジビエや土壌を通して人間にも影響がありそうであり、より注目してしかるべき
Posted by ブクログ
野生動物との共生は環境問題でもあり、深く考えさせられます。
取り急ぎ自分ができる事の第一歩は、猛禽類医学研究所のSNSのイイねボタンを押す事から。
活動の様子が広く伝わり、多くの人の考えるきっかけになればと願います。
Posted by ブクログ
2024年出版。猛禽類を専門とする獣医師にして、環境・人類を含めた「ワンヘルス」を目指し実践し続ける筆者。本としては少し珍しい構成という印象。目標と、対する問題点の本質や関係性を考察し、仮説と実証・実践を積み上げ続け、国や多くの人の行動変化まで起こしていく筆者は掛け値なし凄いと感じた。
Posted by ブクログ
前の本より読みやすかったのですが、猛禽類はいろいろなところで感電とかで
亡くなるのですね…人の営みを最小限にして、他の動物たちに迷惑をかけないように生きてゆきたいと思いました。
Posted by ブクログ
診察して必要があれば手術
看病してリハビリ 放鳥まで
物言わぬ鳥ですし 野生ですし
その上猛禽類ですから
一筋縄ではいかぬ大変さ
ちょっとした油断でこっちが大けがですかね
それでも鳥たちを守りたいという
気持ちが伝わります
自然に優しいとされる風力発電でも
鳥には優しくない・・難しいですね
Posted by ブクログ
テレビで齊藤慶輔先生の特番を見てから、ずっと応援してきました。
この本では人が食物連鎖から外れ、野生動物に対する無意識の殺略を行っていることへの警告、また直接殺略に関わっていない人間に対しても野生からの声を聴け!と教えてくれます。