あらすじ
従軍する聖職者、帝国海軍の艦内神社、聖書の一節を示す銃の刻印──。なぜ戦争は宗教を求め、宗教もまた武器や戦いのイメージを用いるのか。宗教学と戦争研究の交錯点から「平和」の意味を問う人文学の新たな試み。
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Posted by ブクログ
軍事と宗教を扱った本で、一章で軍事の中にある宗教的な物、二章で軍で活躍する宗教家などの人、三章で軍で求められる精神や士気、四章で昭和日本軍の精神主義的傾向、五章で宗教の軍事的側面について、豊富なエピソードをもとに述べている。
洋の東西を問わず宗教的なモチーフが武器にあしらわれ、現代の自衛隊においても艦内神社がありお祓いがされる。弾除けの聖書については聖職者からの批判もあった。
米軍のチャプレン科、語り継がれる4人のチャプレン、原爆とチャプレン。日本の陣僧。
機関銃を即座に採用しなかった軍人たち。重装歩兵として従軍していたソクラテス、プラトンのラケスで示された勇気が何であるか実はわかっていない。
大正の反軍的な世相のもとにあった軍の満州事変で社会的地位が変化する。ただ、大正次代に軍人が抱いたルサンチマンや予算が如何ともならない中で精神主義に傾いた。イーハトーブと満洲国は日蓮に源流を発する同じ思想の別の表れとする宮下隆二の指摘。