あらすじ
どうして、わたしなんかを選んだの?
行き場もなく夜の街をさまよっていた家出少女チル。ある夜、路地裏に突如降ってきた黄金の髪を持つ美しい男。その口が発したのは――「うまれかわりを、のぞまれますか?」「我が王よ」
かくして、チルは異世界に取り込まれる。破れたマントを胸に抱えて迷い込んだのは、かつて豊かな織物の国と呼ばれた動乱の国リスターン。
一度はすべてを諦めた無力な少女は、荒廃した国を救い、王となり得るのか。少女文学の旗手が贈る、ドラマチックロマンファンタジー。
『ミミズクと夜の王』から17年。こんな紅玉いづきを、待っていた!!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
現代で家庭に居場所がなく夜の街で過ごすことを選んだ少女が、聖獣クリキュラに異国の王として選ばれ異世界で冒険をする話。
冒険の中で主人公チルが自身の内面と向き合い、出会った人々の優しさに触れながら母親への未練を断ち切り「自分の生き方を選ぶ」強さを見せてくれる。
見所はマニージェ、ビージャンとの出会い、隠れ里の人々との温かい交流。
現代社会では自身の親も含めて大人を信用できなかったチルだが、マニージェとビージャンが過酷な状況に置かれながらもチルを庇護すべき対象として扱っていたことにチルが気づき二人を信頼していく。
マニージェがチルの前世(=現代社会)での生き方を誇りを持って戦う戦士だった、と言及しありのままを認めてくれたことがチルの精神的支柱になっているのだろうと感じた。
また、子供に対する言及でマニージェが「私の」子だと言い切ったのが斬新に感じられた。自分の体、生き方は自分のものであるとチルが大きく感銘を受けたシーンであり、肉体的な制約があるはずのマニージェがチルのため、国のために聖獣を探し出そうと文字通り体を張ってくれたことも強い信頼感へ繋がっていると思った。
ビージャンも不器用ながら優しさの溢れる男であり、初対面時こそチルは戸惑っていたものの言動の意図を正しくくみ取れるようになってからはビージャンに対しても信頼を寄せている描写がある。
隠れ里の人たちがマントを奪われた後もチルをいたわり迷子の子供として愛情を向けてくれるシーンは、投げやりな生き方をしてきたチルが自己を肯定できるようになるきっかけをくれたと感じた。
織師たちに乞われてチルが残っていたおさげを自らハサミで切り落とすシーンが後半にあるのだが、過去との決別を表しているようで印象に強く残った。
※長髪=無意識ながらも母親の期待に応えようとする自分
前世で刹那的に死を望んだチルだが、裏返せば強い生への執着があり、現状に絶望したからこそ死を望んだ……というのが個人的な解釈。
しかし、最終的にセーラー服の上からマントを纏うことで前世での生き方を否定したりなかったことにするのではなく「自らが選び取ってきた生き方」であると過去を受け入れた上で王になることを決意するのが良い。
※セーラー服=前世での自分
Posted by ブクログ
他作品のようなファンタジーの世界を期待していたので
(表紙の女の子がセーラー服姿ではあるけれど)、始ま
りが現代の日本だったのでガッカリした。
でもすぐにファンタジーの世界へ連れて行かれた。
母とは上手くいかず、父からの養育費は止まり、気持ち
だけでなく実質的にも苦しくなってきた女の子が、悩み
や苦しみを抱えたまま、王として”異国”へ。
その世界で自分を見つめ、気持ちに向き合い、答えを
見つけようとしている姿がリアルで良かった。
国の繁栄と存続がかかっているのにも関わらず、チルに
選ぶ自由を与えてくれたリスターンの人々が素敵だった。
特にビージャン。さすがマニージェが選んだ男!
強いだけじゃなく、優しくて懐が深い。
そして美しいクリキュラ!復活して本当に良かった。
そのクリキュラでさえチルに選択の自由をくれた。
チルを選んだ理由もいい。
理屈じゃない事は案外多いかもしれない。
コミックでも読んでみたい。
Posted by ブクログ
夜の街を彷徨っていた少女が呼ばれたのは、
織物に魔術を宿す国リスターン。
彼女が呼ばれたのは、生まれた国を捨てて
異国の地の王になると決める強さを持っていたから、そう思いました。
主人公チルの周りの人々も魅力的。
チルを支え守る強い女性マニージェや、
マニージェと相反する思考を持ちながらも国を守ろうとするビージャン。
周りの人物の活躍にも目を見張ります。
個人的にはマニージェの産んだ子が気になります…!
チルはどんな王になるのでしょうか。
続きが読みたいです。