【感想・ネタバレ】責任のレビュー

あらすじ

雪の深夜の当直中、刑事の松野徹は不審車両に遭遇し職務質問する。運転手の藤池光彦は急発進、徹は追跡するが車は交差点に突っ込み、光彦と通りかかった車の家族四人が死亡する大惨事となる。警察への批判が強まりかけたとき、光彦が事故直前に強盗致傷事件を起こしていたと判明、非難は遺族に集中した。冤罪を疑う光彦の両親から再捜査を嘆願された徹は、自責の念に誘われるように引き受けてしまう。新事実など出てきようがない、はずだったが――。

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Posted by ブクログ

選考委員のどなたかが書いていましたが、私も特に前半が引き込まれて没頭されられました。後半も殺人教唆や主人公の殺害は他に決着方法はなかったのかなとも思いましたが、よく考えると被害者の複雑な心理や犯罪者の悪質さを表すためには必要だったと思います。新人の方の小説とは思えないすごい完成度だと思います。冒頭から引き込まれて最後まで一気に読んでしまいました。また追いかけなければならない作家の方を見つけられてとっても良かったです。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

横溝正史ミステリー・ホラー大賞を受賞した23歳の作者で、読みやすく、久しぶりに一気に読みました。
この作品も鈴木保奈美さんのTV番組で紹介されて、手に取ったものです。

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2024年12月29日

Posted by ブクログ

横溝正史ミステリー&ホラー大賞だけあり、大変内容が濃く読みやすく思いがけない展開に惹きつけられた。

前半での思いがけない結末に、この後この物語が何処に行ってしまうのか?
そんな思いで後半を読み進めたが、軽率な娘の行動かと思ったところこれが事件を大きく展開させる。
松野徹刑事にとって12年前の事件の責任を、あまりに真摯に向き合う姿に思わず落涙してしまった。
心に沁みる小説だった。

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2024年11月14日

Posted by ブクログ

横溝正史ミステリー&ホラー大賞優秀賞受賞作です。
刑事の松野が追いかけた逃走車が事故を起こし巻き込まれた車の四人が命を落とした。 自責の念に駆られる松野の前に、容疑者の遺族が現れ再調査を懇願される。現役東大生作家の作品で新人の方の小説とは思えないすごい完成度だと思う。冒頭から引き込まれて最後まで一気に読んでしまいました。2部構成の1部目で事件や謎のほとんどが解き明かされたように思えるので、どのようになるのかと思ったら、予想外の盛り上げ方でした。

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

この作品はなんと東大法学部在学中の作者が執筆されたのだと知り、とても興味深く手に取った。
冒頭からとてもスリリングで、先が気になり読む手が止まらず、、、

お話は想像していた方向とは違う展開、驚きの結末。面白く読み進められました。

警察官を身内に持つのは大変だろうな〜とかそんな人とは余程の覚悟がないと結婚できないな〜とか作品とは関係ないことを思ってしまった。
くどいようだが、この作者が法学部の学生でありながらの執筆に感動。また専門的な用語を多用使するでもなく、凡人の私にさえ楽しめてしまうこんな力作、今後にかなり期待する!

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2025年04月07日

Posted by ブクログ

新人作家さんとは思えない破綻のない展開で一気に読んだ。巻末の選考委員の先生方がいろいろ書いてるけど、デビュー作だし、単なるミステリーと違った気持ちのこもった次作に期待です。まあ整理したら200ページくらいにまとまったと思いますが。

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2025年01月26日

Posted by ブクログ

第44回横溝正史ミステリーホラー大賞優秀賞受賞作。

雪の夜、職務質問から逃げた不審者の乗る車を追跡した結果他の車両を巻き込む大事故に発展、5人を死なせてしまった刑事の松野徹。警察への批判が高まる中、逃げた男・藤池光彦が事故直前に強盗致傷事件を起こしていたことが判明し風向きが変わる。
12年後、光彦の冤罪を疑う家族から再調査を依頼された松野は、いまだに抱える自責の念から引き受けてしまう。
冤罪はあり得ず、新事実など何も出てきようがない、はずだった……


面白かった。
ホラーの要素は一切なく、ミステリ要素のみ。文章は端正で読みやすく、主人公の造形もよく、読み出すとどっぷりはまった。
光彦は冤罪なのか、そうで無いとしたら何故また罪を犯したのか、と掴みはバッチリ。組織の論理に潰されそうになりながらの調査、そして明らかになる事件の裏にあった真相。

後半はガラリと目線が変わり、どうなった?と思う間もなく突然の展開。ここでこうなるか?と思いながらその後さらに明らかになる真実の姿。もう、二転三転でした。
ただ、真実の展開は意外で、ここは好き嫌いが分かれるところ。ただ、一つの事件の周辺で起こる関係者へのいわれのない差別や中傷への作者の思いを描くために必然の展開だったのかもと理解した。
タイトルの「責任」は、「責」だったのを改題したというが、責任に加えて自責の念、他者からの責めという意味も含めて「責(せめ)」の方が良かったのではと感じた。

それにしても、この作品に限らず刑事がよく正式な捜査でなく一人で動くことがまかり通っているけど、現実でそんなことはできるんだろうか。そんなに暇じゃないと思うんだけど…

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2024年12月02日

Posted by ブクログ

刑事の松野徹が、2010年不審車両に遭遇し、職務質問中に運転手の藤池が急発進した後、家族4人が乗る車と衝突し死亡する大事故となった。
追跡した警察への批判が強まりかけたとき、藤池が強盗致傷事件を起こしていたと判明するが…。

それから2022年の現在、藤池の墓碑の前に居た松野が、藤池の父の稔と会う。
藤池の両親から再捜査を懇願される松野は、自責の念に誘われるように引き受けるが…。

新事実など出てくるはずもないと一人で動いたていた松野が、暴きだした真相とは…。

松野の抱える葛藤と真実を知ろうとする行動にページを捲る手が止まらなくなる。
警察内での様子も隠蔽か…と思ったが、松野の娘・莉帆の強さと父を思う気持ちが真実まで辿りついたのかもしれない。


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2024年10月25日

Posted by ブクログ

ミステリを含んだ警察小説で有りまして、これまた素晴らしい作品でした。
ある刑事が重荷を背負っており、過去の事件を洗い直すことになり、事件の真相に辿り着く過程が非常に綺麗で凄く良かったです。

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2024年10月16日

Posted by ブクログ

何か今一つ物足りない。だから横溝正史賞も大賞ではなく優秀賞止まりだったんだろうなあ。登場人物の魅力も警察組織の描き方もプロットも、面白くないわけではなく、途中で読むのを止めたくなるわけでもないが、すべて今一つの印象。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

2001年生まれの新人作家で横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作。新人作家さんにしては構成も良く読みやすかったと思うが、ストーリーが淡々と進んでいき印象に残りにくい気がした。今後の活躍に期待したい!

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

刑事の徹は12年間ずっと気に病んでいることがあった。職質した不審車両が逃亡の末、家族4人を巻き込み事故死したのだ。逃亡した男は近くの家で強盗をした帰りだった。
12年後、その男の家族から息子の事件をもういちど調べてほしいと依頼を受ける。

真相が明らかになったことで新たな犯罪者が出てきてしまうのだが、徹をふくめ、多くの人の苦しみに一段落ついたのかと思うと、これで良かったんだと素直に思える。
とくに光彦への心象は180度変わった。


この作品には加害者家族の苦しみ、そして事故を起こしてしまった警察や刑事たちの苦しみは描かれているが、なぜか巻き込まれて死んだ家族の話はほぼ出てこない。そのせいで徹の罪悪感がすべて加害者家族に向いているように感じてしまうのだが、これはうまい誘導だと思う。

徹へは最初から最後まで嫌悪感しかなかった。
依頼を受けたのは自分なのにグチグチ言い訳ばかり。「お前は悪くない」と言われるためだけに愚痴ってるのがまる分かり。
事故があった当初も、同乗していた水脇は現実を見てあれこれ気を回していたのに、徹は12年前も現在も自分のことしか考えていない。
ずっとイライラしっぱなしだったから、青柿さんがガツンと言ってくれたときは、めちゃくちゃスッキリした。青柿さんマジでかっこいいです!

終始たんたんとした語り口だったので、心情に訴えかけるような文章だったらもっと良かったのにと思う。

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

過去の罪の念に苛まれる刑事が、責任感から再び調査を行うが… 刑事の職人気質を描いた警察小説 #責任

■あらすじ
刑事である徹は、かつて不審車両の職務質問をしている際に逃げられ、その結果大事故が発生してしまった。その後逃げた光彦は、直前に強盗傷害事件をおこしていたことが判明する。

徹は自らの過失のせいで光彦や巻き込まれた家族が亡くなってしまったと思い、自責の念に苛まれていた。ある日、光彦の家族から事件の再調査を依頼され…

■きっと読みたくなるレビュー
刑事の職人気質が描かれた痺れる警察小説です。

事件の被害者、加害者、刑事、関係する家族など、ひとりひとりに焦点を当てながら物語は進行していく。ほんの少しの歪みによって影響が増していき、不幸がどんどん広がっていって、やるせない気持ちでいっぱいになります。

主人公の刑事、徹の葛藤が痛いほどわかる… 警察官も警察である前に、ひとりの人間ですよ。たぶん真面目な人ほど、こんな心境になってしまうんだよなぁ。私なんか小ずるいから、こんなにも真っ直ぐには生きられない。しかし正義ってのは、どちらの方向から見るかで変わってくるものだし、どこまで貫いていいかの基準も難しいんですよね。

加害者家族の悲痛な叫びも胸の奥に突き刺さってくる、きっと当事者にならないとわからない感覚なんすよ。自分の一番大切な人を守るためには、まずは自分自身が責任ある行動をしなければなりませんね。

さて本書、後半から少し展開が変わってくる。この警察小説の物語のなかで、さらに人間関係が深まって描かれるんです。タイトルの通り「責任」の取り方に対しても、どの方向から見れば筋が通っているのか分からなくなる。私は自分が一番大切な人に対して責任を取りたいと思うけど、それだとやっぱり卑怯者なのでしょうか。

入り組んだプロットを丁寧に綴られているし、特に人間の心情が力強く描けている作品です。これからの作品にも期待しています!

■私とこの物語の対話
警察官、学校の先生、お医者さんなど、他人の人生に直接的に関わるような職業って、ホント大変だと思うんすよ。時には人には触れられたくない部分にも、土足で足を踏み入れなければならない。どれだけ心を無にして職務にあたっても、過去の痣がずっと残り続けることもあるでしょう。

冷静でありながらも、責任感と職人魂は忘れない。 やり甲斐のある職業だとは思いつつ、とてもじゃないが自分には全うする自信がないなぁ

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2024年11月25日

Posted by ブクログ

多少の粗さはあるものの、読ませる警察小説。作者の描きたかったことは充分伝わったが、話の筋自体は単純。登場人物のキャラが立っているとは思えず、その分淡々と話が進んでいく。
始まりと終わりをオーバーラップさせる持っていき方はなかなか上手いと思う。この作者の警察小説の第二弾に期待。

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2024年11月24日

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