【感想・ネタバレ】スターゲイザーのレビュー

あらすじ

コバルト短編小説新人賞&氷室冴子青春文学賞出身の著者が送る、
令和の青春×アイドル文学が、今ここに生まれる!

アイドル事務所のユニバースに所属するデビュー前の青年、通称「リトル」。
彼らはデビューに向けて、限られた時間の多くを費やしレッスンに励んでいた。
そんなある日、リトルたちが主役のイベント「サマーマジック」で最も活躍した一人を、デビュー間近のグループ「LAST OZ」に加えるという噂が流れだす。
この噂をきっかけに皆が熱を帯びていく中、リトルの一人である加地透は疑問を抱いていた。
“恋愛も学校生活も自分の身体も、全てを捧げないとデビューは叶わないのか?”

デビューに対して人一倍強い野心を抱いている持田、
わずか14歳にしてソロデビューを打診された遥歌、
誰よりもストイックで自分の見え方を計算し尽くした振る舞いをする葵、
芸能人一家の複雑な環境で育った問題児の蓮司、
デビューができる期限まで残り一年を切った若林、そして透。

デビューを目指すこと以外はすべてバラバラの6人が出会った時、
彼らの未来は大きく変わる――かもしれない。


【著者略歴】
佐原ひかり(さはら・ひかり)
1992年兵庫県生まれ。大阪大学文学部卒業。2017年「ままならないきみに」で第190回コバルト短編小説新人賞受賞。2019年「きみのゆくえに愛を手を」で第2回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞し、2021年、同作を改題、加筆した『ブラザーズ・ブラジャー』で本格デビュー。他の著書に『ペーパー・リリイ』『人間みたいに生きている』『鳥と港』、共著に『スカートのアンソロジー』『嘘があふれた世界で』がある。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

とても面白くて、一気読みしてしまいました!
中でもわたしは加地くんが1番気になる存在でした。
淡々とでも丁寧にお仕事をこなしていく様が、
たぶん売れているアイドルってこんな人なんだろうな…と思ったからです。
その上で、全てを捧げる必要はあるのか?という考えができる。盲目的にデビューを目指しているわけではない視野の広さがすごいです。
アイドルになった上で、長続きしている人は加地くんみたいな方なのでしょう…。
個人的には嵐の大野さんあたりがこんな方なのではないかと思いました。

お話の最中で、自分でメンバーを集めてグループを作ってみるという機会が与えられた彼ら。
自分を引き立ててくれる存在、でもなく
あの人についていけば自分もデビューできるはずでもない。
n.overのメンバーはこの人となら上手くできるだろうからグループを組もうという考え方な気がしました。他力本願ではなく、それぞれが努力してひとつにまとまってより良く魅せる、という考えなのかなと思いました。

それぞれいろいろな悩みを抱えつつ、でも自分のことだけじゃなく周りをみれる視野の広さ、見習いたいです。
アイドルになる前の人たちを知れたような気持ちもありますし、その裏で少年たちの葛藤や成長を見ることができ夢中になりました。

0
2025年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
ツイッターで面白いよと言われていたのを見かけて興味を持った気がする。
表紙の青年は作中の誰かなのかと最初は思ったが、特定の誰かではなくアイドルの彼であり、星に憧れる誰かなんだろうな。

どの話も泣いてしまった。良かった。
折り返しで登場人物の説明があり、その視点で話が進んでいくので読みやすかった。
ここに大地さんがいないってことは…と察してしまうが。

「サマーマジック」
透は透視点だと透本人のことがわからないという叙述トリックみがあって面白いし、外から見ると何を考えているかよくわからないキャラを最初の話にしたのが面白い。読者を共犯者にしている。読者は透のことがわかるが他のキャラはわからない。
誰かがデビューするらしいラスオズに追加されるかもという噂に多少は振り回される透。でも周りからはそうは見られてない。本人の努力の具合も本人が自覚していない、というのも面白い。
最後は大地に爪痕を残されて変わろうとするのが良かった。

「夢のように踊れない」
持田はよくいるというか、お調子者キャラで小市民的であり、ひがみも嫉妬も自尊心もあるという、誰しもが持つ卑小さが出ているキャラ。でも場の雰囲気を良くしたり、物おじしない所も出ていて面白い。
欠点が目立つ分良さが光る。
従妹の家で泣き出すまでのシーンが良かった。従妹へかける言葉も良かった。アイドルだ。

「愛は不可逆」
もっと性格が悪いキャラかと思ったらそこまでではなかった。蓮司への好意が良い。顔が良いと散々言われているが、それで危険な目に遭ってきたのはぼかされている。もっと擦れていてもおかしくない。
顔が良いって武器だから、もっと自覚しなよと思うがまだ子供だもんな。でも芸能人なんだからやっぱ自覚しなよと思う。

「楽園の魔法使い」
プロ意識高い人は見ていて気持ちいい。見下してる雰囲気はあんま感じなかった。見下したところでデメリットしかないから穏便にやりたいという賢いやり方をやろうとしつつまだ未熟さが出ているのが良かった。

「掌中の星」
若様が出て来てやっとわかる話。蓮司の意外と面倒見が良いというか、なし崩し的に付き合っちゃうところが良い。

「スターゲイザー」
てっきりスターゲイザーがグループ名になるかと思った。アイドルが星を見てちゃだめか。星になるんだから。
若様の役者としての演技の成り切り方や、アイドルを続けたかったというのが良かった。
諦めや限界と付き合い過ぎると妥協したくなるよな。
全然話に絡んでこなかった若様視点の話だと、若様にはわからなくても読者にはわかる話になっていて面白い。1話目の「サマーマジック」と逆の演出。

どの話も面白かったしキャラが良い。持田だってまあ良い子。環境次第で崩れそうだが。
蓮司が付き合っていたような人は主役にならない。なれないという残酷さ。そういうのも好きだからそういう話も読んでみたい。
主役のポテンシャルを持ってない奴が主役の話。だから主役になれないしウケないんだろうけど。シンプルにつまんないから主役になれない。難しい。

綺麗な話だった。

0
2025年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

デビュー前の男性アイドルたちの話がそれぞれの視点から語られていく。

本人が語り部の時には無気力系アイドルに感じた透が、他の語り部の時にはかなりの努力家で、かつ効率の良い練習ができてるメンバーだって分かる。

最後の若さまの話が一番感情揺さぶられた。
これから体と心がついていけるペースや方向でやっていける事務所になってほしいな。
緩やかに推してるグループと重なる部分があったし、色んなことを推しがちなオタクとしては推される対象が「できるだけ長く、自分の意思で活動できるようにするために」って考えてくれるのが凄く嬉しい。

若さまがアイドルの活動が好きだって気づいて、ずっと続けたいと漸く自分のやりたいことに目が向けられるようになったタイミングで夢が叶ったこと、鳥肌が立った。感想書いて読み返している今でも。

個人的推しは若さまと三笘プロ。

とりあえず若さま父は「あらためて!」

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラスト……えっ!?
これは、都合良く考えていいやつですか…?
自分もデビュー前の男性アイドルを応援していた時期があるので、胸を傷めながら読みました(苦笑)辛いからこそ輝くなんて言葉は、本当は好きじゃない。でも、その辛い経験が彼等を輝かせていくのは間違いない。全員幸せになってくれ。アイドルになってくれて、ありがとう。

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2025年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アイドル事務所でデビューを目指す練習生たちの物語。
人物紹介に出てくる子が順番に話の中心になる構成で、所属グループバラバラだけど?と思った謎は中盤辺りで繋がった。

私が推すとしたら多分加地透か三苫葵だろうかと思った。意外と若林優人の線もあるかもしれない。
最後の演出で6人のデビューを匂わす演出はデビュー前のアイドル推してる人には馴染み深いだろうなぁと思った。私はもっぱらグループコンでソロデビュー発表とか次の舞台発表とかで見たくらいの演出だけど。

本人がファンの反応見て喜ぶのも好きだけど、本人も知らず一緒に驚く場合もそれはそれでかなりいい時間になるだろうなぁと思う。

表紙のモデルは最初透だと思ったけど、若さまの線はあるだろうか?

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2025年04月04日

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