【感想・ネタバレ】あやかし手製本編纂館 あなたの想い、紡ぎますのレビュー

あらすじ

母親や職場の人間関係に疲弊しながら生きてきた仲里壱花は、新月の夜に佇む手製本編纂館をたまたま見つける。手製本の魅力に惹かれる壱花は、編纂館に来る客人たちが実はあやかしであることを知り驚くが、壱花の写真の腕を見込んだ編纂館館長の月無恭介に手製本制作の協力を求められることに。この編纂館は、手製本作りを通して今も現世に息づくあやかしたちの心に向き合い、その抱えた<負の気>を浄化する不思議な役目を果たしていたのだ。一見軽薄そうな恭介の真摯な姿勢やひたむきに生きるあやかしたちに、壱花もまた自分自身の人生を重ね、遠ざけていた問題と向き合うようになるのだが、あるとき、恭介自身胸に秘めていた家族との確執により編纂館存続の危機に見舞われることに……。はたして編纂館の運命やいかに!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『世界で一冊だけの本、紡ぎませんか』
そんな素敵な案内文句と新月の夜に誘われた者が辿り着ける手製本編纂館の物語。
お客様は基本的にはあやかしで、最初の話もあやかしのための手製本が編まれるが、中には人間のお客様も。
主人公の壱花も人間ながら新月の夜に辿り着けたものの一人。
本職は別に持ちながら、ある才能を見込まれて、この編纂館を手伝うことに。

前述の通り、あやかしのお客様だけではなく、人間のお客様のエピソードもあったのが、バランス取れていてよかった。
壱花も本職に就きながら、編纂館を手伝うある意味二重生活。
どちらかに偏らないというバランスがよかったなと。
てっきり本職を辞めて、編纂館の方に専念するのかなと思っていたので。

またあやかしの場合でも、有名な某幽霊族のお話だと恐怖の対象として描かれる牛鬼のエピソードが、あんな心温まるお話になろうとは思いもせず、予想をいい意味で裏切ってくるところも心にくいと言いますか。
このお話、風景も綺麗なんですよね。
たまらなかったです。

キャラクターも魅力的。
個人的にはメインキャラより伊緒莉さんやかまじろうなどサブキャラの方が推しでした。
伊緒莉さん、頼れる「お姉さん」と見せかけて、時折滲み出る「ぬらりひょん」感のギャップがたまらない。
かまじろうは、かまいたちながら癒し枠。
それでいて、仕事は有能、時には大きくなって戦えるし拘束だってしちゃう万能キャラ。
3匹セットの筈だから、他2匹はかまたろう(もしくは、かまいちろう)とかまさぶろうかもと勝手な想像も捗ると言う。

壱花は編纂館でのお仕事よりも母親との確執の方が気になりまして。
どういう着地をするのかなと思ったら……成程という。
編纂館のみんなが母親の所業をビシッと指摘してくれたことは頼もしかった。
完全には縁を断たなかったあたり、彼女の優しさが見えたかなあ。
甘さ、なのかもしれないけれど。
ちゃんと分かり合える日が来て欲しいなとは思うけれども、難しいかなあ。

そして、ヒーローはというと、読み終えてみると……ヘタレの一言が出てきてしまうという。
美しい字を書くし、力もあるのに、どうしてこうなった!
女性との交流が奔放だった割に、的確に自分のツボを突いてくる壱花に母親対策として「恋人役」を最初に言い出しちゃったため、最後までその先に進めないというヘタレ。
ただ実家のゴタゴタをどうにかしない限りは、彼は本当の意味では先に進めないのかもしれない。
今回のお兄さんの動きが不気味だったので……あそこで手を引くのかと。
解決していない点がこのようにまだあるので、続きが読みたいですね。
せめて、かまじろうの、推しのかまじろうの癒し話をぜひ!(まず、そこなのか)

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2024年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一見軽そうな恭介と、母親にしばられている主人公が協力して、手製本を作る話。お互い家族にしばられていてなかなか辛い思いを強いられてきていた感がすごいです。現在進行形でまだまだ悩まされそうですが、引き続き自分の道を進んでもらいたいですね。
主人公は生い立ちのせいなのか感情の機微に敏感で、これだけの情報でわかるんだなぁと個人的には思ってしまいました。
シリーズ化したら、またあの家族とも対峙しなければならないと思うと気が重いですね。
とりあえずかまじろうが癒しです。

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2025年07月19日

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