あらすじ
認知科学の概念「プロジェクション」とは、自分の内的世界を外部の事物に重ね合わせるこころの働きのこと。プロジェクションには “推し”の存在に生きる意味を見出すようなポジティブな面がある一方で、霊感商法、オレオレ詐欺、陰謀論、ジェンダー規範など、他者によってこころを操られたり自分自身を無意識のうちに縛ったりすることでネガティブな問題を生じさせる面もある。実際には起きていないことや存在しないものを想像して現実に投射できるがゆえに生まれる「イマジナリー・ネガティブ」を認知科学の視点で考察する一冊。
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Posted by ブクログ
「認知科学の概念『プロジェクション』とは、自分の内的世界を外部の事物に重ね合わせるこころの働き」だそうです。
以前読んだ『「推し」の科学』はこのプロジェクションのポジティブな面について書かれていて、今回はプロジェクションのネガティブな面について書かれています。
霊感商法、オレオレ詐欺、陰謀論、事故物件などこの世の中はネガティブなプロジェクションに溢れていることを身近な具体例から紹介していて、おもしろくてわかりやい!
人からどう見られてるか、とかあの人は自分のことこう思ってるんじゃないか、とか母親だからこうでなければ、とかそういうことも全て無意識のプロジェクションであって、思いこみを捨てたら「あれ?全然そんなんじゃなかった」というこがいっぱいありそうで、とっても目の前がばあっと明るくなりました。
Posted by ブクログ
「いまここにない」ことを想像して、「今ここにある」現実へ投射するプロジェクション。この言葉は、初めて知りました。
目の前にある現実は、みんなにとって変わらないはずなのに、なぜ人によって違うのか。会話が噛み合わないとか意見が異なるのはなぜか。価値基準とか生きてきた背景、性格と言ってしまえばそれまでかもしれませんが。
オレオレ詐欺で高齢者が騙される背景に、社会で必要とされたいという気持ちが、人一倍つよく、それが身近な存在であれば、なおさら役に立ちたいという気持ちか、先に立ち。追い込まれた状況に置かれると視野が狭くなる。それを利用して、罠にかける。ホストや推しのアイドルなども、自分が助けないとみたいな気持ちが、正常な判断を歪ませる。ストーカーも歪んだプロジェクション。
情報が溢れる社会で、自分に都合の良い情報だけに触れて自分だけが正しいみたいなフィルターバブル。
戦争もですが、正しいことの価値観や考え方が曖昧になってきている世界で、極端な考え方を持つ人が増えるのは当たり前なんでしょうかね。
Posted by ブクログ
「世界を意味づけする心の働き」プロジェクションサイエンスについて、この本は自分にとっては3冊目です。世界観とはいわばサングラスをかけた状態で、かつ、そのことに気づいてない状態、とずっと理解してきましたが、著者はもっと進めて、「着ぐるみを着ている」状態、と表現していました。それが自然な状態なら、サングラス以上に着脱は容易ではないでしょう。少なくとも自分の世界観を、着ぐるみからサングラス程度につけ外しが楽な状況にしたいな、と思いました。
Posted by ブクログ
著者は愛知淑徳大学心理学部教授。プロジェクションのネガティブな部分にフォーカスして説明してくれる。
人間がいかにプロジェクションという認知によって、判断し生活しているかを理解する。このことを知っていることで、霊感商法や詐欺にも騙されないような、認知を得ることができる。
Posted by ブクログ
推しについて考えたくて読んだけど「霊感商法」「戦争」「ジェンダー」「ホスト」など自分にはあまり関わりのない世界で起こる認知について考えさせられた。自分が受け取った認知と現実が必ずしも一致しているとは限らない。時としてそれがポジティブにもネガティブにも向くから面白いなと思う。
「ネガティブ・ケイパビリティ」という「答えのない事態に耐える力」は必要な力だなと思った。簡単に解決できない宙ぶらりんの状態でももがきながら生きていくのは意外と難しいのかもしれない。
Posted by ブクログ
こころの闇の不思議さを知ることができました。
特殊作業や霊感商法等、分かっていても、実際の目の前にしたら、騙されてしまうんだろうなと思いました。