あらすじ
大学生の琴葉は、飲み会の後にお持ち帰りされそうになっていたところを助けてくれたシマくんにひとめぼれする。すげないシマくんに振り向いてもらうため、彼が傾倒している「本当に障る話」の調査を手伝う琴葉だが、どうやら琴葉は霊や怪異を寄せる体質らしく、いつも命の危険があるような危険な目に遭ってしまう。
その度に大いに反省し、もうやめようと思うのだが、シマくんの素晴らしく良い声で誘われるとどうしても誘いを断ることが出来ないのだった――。ホラー小説界最注目の才能が放つ新感覚のエモーショナル・ホラー!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
幽霊にあいたい男の子のために
心霊現象に体当たりしていく女の子の話
なんですが、怪談の怖さもゾゾっとするものが
多かったり、不思議な話も多かったり。
謎のシマくんとシマくんが大好きな琴葉ちゃんの
関係がずっと続くのかなと思いきやのラストに
脳がぐちゃぐちゃにされました。
このラストのための布石でお話が構成されていたなら
天才だ……と身震いします。
おもしろかったので、他の作品も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
とてつもなく声が良くて幽霊に会いたい謎の男性「シマくん」の気を引くために、主人公の女子大生は幽霊が出ると噂の現場に送り込まれて、後から報告をさせられたり、何度も危険な目に遭わされる。
途中の妻を探す話や、砂の家の話から、主人公が「そっちの世界」に引き摺り込まれやすい体質だと気づいていたけれど、まさかシマくん自体が怪談だとは思わなかった。
ちょうど私も主人公のように優しいけど恋愛対象に見てくれない相手を追いかけてモヤモヤしたり、相手に合わせて無理したりしていたので、感情移入しすぎてしまったかも。
わたしも危険を承知で、シマくんを探したい。
Posted by ブクログ
痛い。読んでいる間ずっと胸が。一人称小説の旨みがこれでもかというほどに出ていて、だから本当に苦しかった。琴葉の、後悔と反省の数秒後には真逆のことを考えているところとか、そういう浮いちゃって降りられない感情と衝動がず〜っと剥き出しなもんだからまあ読むのが辛くて。
でも旨みでもあるんですよねこれって。
全ての怖い出来事が折目正しくきちんとシマくんと琴葉の行先を示唆し続けていて、読み終わってからああ本当に、ゆっくりと喪失していく話だったんだなと寂しくてやるせない気持ちになる。
それはそれとして一々ちゃんと怖くてお得でもある。
他者から見て本物かどうかってさ、関係ないよね。だってシマくんと過ごした日々はどう足掻いても心の底から楽しくて怖くて寂しくて愛おしかったんだから。
それはそれとして、ここまで家庭環境が対極だとほぼ確実にお互い辛いからその男はやめときなよ、琴葉....
Posted by ブクログ
とにかくシマくんの影と掴めなさに翻弄されっぱしでホラーラブとはこのことか〜となった。アニメとか実写も期待出来そうな作品だしこれは是非メディアミックスされて欲しいなと思いました。京王線聖地巡礼もしたいしね。ラストはパラレルワールド的な感じで、いなくなったんじゃなくて琴葉とシマくんが別々の世界に飛んじゃった感じなのかなあと解釈したけれど、シマくんの存在を信じていたいが故のこじつけかもしれない。また琴葉とシマくんの人生が交わることを願って、どうかこの作品が多くの人に読まれますように!
Posted by ブクログ
前情報なしでいっっっっっちばん好きなタイプの男女お出しされて終わった。最悪。最高。シマ琴あってよかった〜、あったよね?
本当に、永遠になりたかった女と永遠になれなかった男の組み合わせが大好きすぎるし、カクヨムの後日談読んで更にその気持ち強まった。人間が愛のために身を滅ぼし幻影を追いすがるときにまろびでる煌めきを致死量だけ浴びれてよかったー!
京王線沿いに住んでた頃を思い出せて懐かしい気持ちにもなったし、あれから色んな街に移り住んだけど、やっぱりいい所だったな〜また住みたいな〜と改めて思えた。京王線沿いに出てくるヤバい怪異の話なのに。あと琴葉ちゃんは地方住みではあったけどたぶん本人が考えるより都会っ子だと思います。特に好きだったのは調布、つつじヶ丘、仙川のエピソードかな。咎人の雛パートもあったし(ないよ)
なんか世界観を他の著作と共有してるタイプの作品ぽいのでシマくん探すために読むしかないな〜。みんなはシマくんのCV誰で想像した? 私は櫻〇孝宏。
Posted by ブクログ
他著の怪異より面白かった。出会いが軽くシマさんの呼び出しにもほいほい着いてくるしどこに住んでるのか素性もわからないのに信頼してる。この娘もしかして幽霊?とか思いながら次々と起こる怪異現象にも遭遇しながらもシマさんの絶妙な助けにきゅんきゅんしている。
どうしてシマさんが幽霊に遭遇したいのか理由が後半明らかになり、明らかになった所でシマさんは行方不明になる。
最後のシマさんを探す琴葉のシマさん情報の呼びかけに不気味さより悲哀を感じる。
Posted by ブクログ
こう言う持って行き方するのか…… 面白かったです。是非読んでほしいです。とても面白い本なんです。表紙を外してほしいです。驚くはずです。
それともう一つ、小説投稿サイト「カクヨム」で芦花公園氏を検索してください。そうしたら、後日談を読むことができます。是非読んで下さい。
Posted by ブクログ
京王線沿線を題材にした恋愛小説。純愛と捉えるか妄想と捉えるか。恋愛というのは、赤の他人から見たらホラーにもなり得るのだと思えた。
シマくんは京王線のどこかに今も存在しているのだろう。
Posted by ブクログ
怪異の怖さよりもぶっ飛んだ狂い方の方が強めに出ていたが、それに対しての最終話とエピローグの切なさがなんとも‥。オチとしては今流行りのモキュメンタリーとかのオチに近いけれど、主人公かわいいなぁと思ってしまった。
とりあえず大家さんの人の話聞かない具合が1番恐怖。
Posted by ブクログ
幾つかのエピソードの中で、個人的にずっと後を引くのは思い出せなくなる系の怪異。焼肉を食べに行ったはずなのに、食べたかどうかすらも思い出せない。本を勧められて購入したのに、ずっとその本の事ばかり考えてしまうのに思い出せない。こういう怪異は精神にじわじわと刺激を与えてくる。何とも後味の悪い怪異譚の中で、琴葉とシマのもどかしい距離感に私もトキメキを禁じえなかったのだが、斜め上のラストでその高揚感も一気に、絶望に変わる。好きだ、とても。
Posted by ブクログ
ラブストーリーというにはホラー過ぎて、怪談というには人怖過ぎて、、、
もう色んな意味で怖いです。
主人公の琴葉のシマくんへの想いも、怪談に絡む人々の人の暗い部分が、読めば読むほど深い闇のようで、何が何だかわからなくなる感じに背筋が凍る。
グロはないのに、怪談もとりわけ恐ろしい話ではないのに、ライトな感じで重く暗く怖い。
まさに芦花公園の小説。他のホラー小説とは次元の違う怖さ。
最終章・カクヨムの後日談では、他作の登場人物もカメオで登場で芦花公園ファンにはたまらない。
Posted by ブクログ
芦花公園さんのホラー描写はべったりじっとりしていて、たとえば腕に落ちてしまった抜け毛のほの痒さとか、石鹸を入れたトレイを持ち上げたときのぬめっとした感じに似ています。ですが、今作はなぜか読後感にさわやかさすら感じます。各ストーリーは「新耳袋」のような雰囲気だし、ラストは佐々木シリーズと同じようにべったり……としていますが、なぜか読み終わるとスッキリしています。
余談ですが、私は小説を読むときに「実写化したらどうなるんだろう?」とキャストを当てこみながら読む癖があります。これはもう、今作にあたってはまんまとしてやられた感じです。作中にリアルな俳優の名前がたくさん出てくるのも、ちょっとやられた感じ。
Posted by ブクログ
女子大生の遠藤琴葉は危ないところを若い男性・シマくんに助けられる。幽霊に会いたいというシマくんに呼び出された琴葉は怪異に遭遇。見える人だった琴葉は、『調布』『つつじヶ丘』『千歳烏山』『仙川』『桜上水』『明大前』『笹塚』『新宿』と京王線沿線で不可解な出来事に遭遇する…。
最後まで読んだけれど、不思議な話だった。人怖…な感じでもなく、いわゆる心霊的な怖い話でもなく、不思議。恋するシマくんのために怖い目に遭う琴葉。ホラーではあるんだと思うけど、とりあえず『ウォーリーをさがせ』のくだりは急に面白くなってしまった。私何読んでたんだっけってなった。
Posted by ブクログ
自分の住んでいる京王線近隣が出てきて面白かったが、怪異そのものはあまり怖くなくオチに向けたフラグっぽい。最後のオチは少し意表を突かれたが、もう少し意外性か恐怖性などが欲しかった。
Posted by ブクログ
京王線の駅付近にある怪談を巡る話
この話を誰かに伝えなければ呪われるというような怪談は手抜き。話の中身で勝負すべし。
主人公の妄想かもしれないとすると、ここまで話を引張る必然性を欲してしまう。
Posted by ブクログ
連作短編集。
たまにはホラーぽいものをと読んでみたんだけど…確かに怪談とか「七不思議」的なお話ばかり。誰にでも起こり得る訳じゃなくて、ある場所に行かないと遭遇しないタイプなので、夜でも読めそうです(笑)
しかしなぁ…オチがなぁ…
Posted by ブクログ
面食い大学生琴葉が一目惚れした相手は「本当に障る話」を愛するヤバい男だった。幸か不幸か琴葉は怪異を引き寄せる体質。ずるずると生活が侵食されていく——。
私は、禍話や洒落怖に親しんで育ってきたため、昨今のホラーコンテンツの隆盛を心から喜んでいる一人だ。
本作は、そんな怪異好きにはたまらない連作短編集である。
主人公・琴葉が一目惚れし、やがて振り回されることになる相手・シマくんは、「幽霊に会いたい」と言って“本当に障る話”を集めている男だ。彼自身が十二分に怪しい、得体の知れなさをまとう存在である。
琴葉は、そんな彼に“怪異を引き寄せるエサ”として利用される。自分への恋愛感情が彼にはないことを承知しながらも、その抗いがたい魅力の前につい断りきれず、幾度となく怪異にひどい目に遭わされる。
そして、シマくんは毎度絶妙なタイミングで、琴葉を現実世界へと引き戻しにくる。ここまでは、付かず離れずのバディものと思わせておいて、ラストの展開は衝撃的の一言だ。
安全圏から怪異を観測していたはずの読者の視点が、気づけば小説世界と地続きになっているような演出には、心憎さすら覚える。
各章に登場する怪異もまた秀逸で、たとえば“タルパ式怪異”のように、意図の読めない不気味な手触りがあり、それがなんともたまらない魅力となっている。
Posted by ブクログ
知っている土地が舞台の話ってなかなかない読書体験で、情景がリアルに頭に浮かんでくる。章立てで、路線図的には、千歳烏山と仙川の順番が逆になっているのには意味があるのかなと思って読み進めたけれど、特に意味はなかったのかな。ホラー小説って触れ込みだったと思うけれど、直前に読んだ『近畿地方のある場所について』と比べると、ホラー度は低め。ただ「つつじヶ丘」の章は怖かった。一番面白かった本として『姑獲鳥の夏』が挙げられて流石です。『世界でいちばん透きとおった物語』でも名前挙げられてたよね。さて、物語のラストはどうなっちゃったんだろう?いまいちよく分からず。
Posted by ブクログ
それぞれの話は短くまとまってて読みやすいけどオチがあまり好みではなかった。
シマくんの褒め描写が多いのは恋愛でごまかしてたけど怪しかった。不倫されてぐちゃぐちゃに腐った田中さん(仮)回が好き。焼肉についていってバニラアイスすすめてかわいいし祓われても諦めなくてすごい。大切な人を失う恐怖から生まれる怪異が主題なのかな。
Posted by ブクログ
恋は盲目、という怖さ…?
ほぼ恋愛小説だった。でも芦花公園先生なのでしっかりちぐはぐ、歪んでいる。
そういえば今作は、人外な美形は出てこなかったな(蕩けるような美声の持ち主は出てきた)。
台詞が多く各怪異(ヒト)の怖さもライトなので、気軽に読める。ていうかノリが若い(?)。キャラクター全員、足元ふわふわしてる。
琴葉ちゃんに苛々しつつ、彼女の素直すぎるところは嫌いじゃなかった。
シマくん自体が怪異なのかな、と予想して読み進めたけど、なんともいえないラスト。彼は本当に存在したのか、それとも…。色々と考えてしまうね。
地雷臭がすごいので好きにはなれなかったが、私も結局、シマくんは居てほしい。なんとなく。
シマくんは、います!
Posted by ブクログ
『漫才以外のことする芸人なんてカスだからね』
『カスの人間のくせに金だけ持っている。人を馬鹿にして笑いを取ってるだけだろ』
シマくんのこの言葉を見て、私は引越し挨拶に持参するタオルの熨斗書きと同名の芸人を思い浮かべました。
シマくんはもちろん別の人のことを言ってますけどね。
おもろいけど。
多分次の佐々木事務所シリーズの前日談みたいな感じでした。
千鳥烏山の内容がその後のストーリーの伏線になっているのですが、芦花先生にしては珍しく登場人物の一面とその裏側みたいな部分の表現が薄めで、作劇としても立体感が感じにくかったです。個人的には新宿編とエピローグの新宿編をもっと引き延ばして、あの人だけが居なくなった世界とそれに対する主人公の狂気っぷり、ズレをガッツリ表現して欲しかったですが、それは次回の佐々木事務所シリーズでのお楽しみ…というコトで。