【感想・ネタバレ】野生のロボットのレビュー

あらすじ

あらしの夜、五つの木箱が無人島に流れついた。中にはどれも新品のロボットが一体ずつ入っていたが、こわれずに無事だったのは一体だけだった。偶然スイッチが入り起動したロボット=ロズは、島で生きぬくために、野生動物たちを観察することでサバイバル術を学んでいく。はじめはロズを怪物よばわりしていた動物たちだったが、ひょんなことからガンの赤ちゃんの母親がわりとなったロズが子育てに孤軍奮闘する姿を見て、しだいに心をひらいていく。すっかり野生のロボットとなったロズのもとに、ある日、不気味な飛行船がやってきた……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

AIで野生の生活を学ぶロボット。心も持ち、最後は人間を利用する事も考える。
最初は島の動物たちと仲良くなる事ができないが、がんの子を助けた事で交流が生まれやがては島になくてはならない存在になってゆくという話。いろいろ考えさせられる。、

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2024年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画が面白かったので、原作を読み始め。
章が細かく分かれていて、読み聞かせがしやすい。
動物たちと絆を深めていくプロセスが映画よりも丁寧に描かれている気がした。
本作は、ロズが自ずからの意思で、修理をしてもらうために島を離れるところで終わっている。
映画はキラリの成長にスポットを当てているが、
オリジナルは、ほかのロボットとは違う、「野生」というところを強調し、
自然や他の動物たちと関係を結びならがら生き抜いていくというところがテーマになっている気がする。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 仕事で使ったので一度丁寧に読んでみようと思った次第。少し前に映画化された模様。アニメーション映えしそうだったので機会があれば映画も観てみたい。

 なんといっても読みやすい。本文は全部で八十の章に分かれており、ご丁寧にそれぞれ副題も付いているが、一つ一つが短めで中には一ページ以下の長さのものもある。細かく章が分かれているおかげで場面や視点の転換が分かりやすく、中断・再開にも心理的負荷が少ない。短時間でいくつもの章を読み進めることができるので達成感もある。本書のターゲット層は小学校中学年から一般まで、であるからして、上記のようなメリットは意図的に設計されたものだろう。

 細かな設定は内容にも通ずる。表紙の袖にあるあらすじを読んだ限りでは、「児童書あるあるファンタジーで動物も当然のように喋るんだろうな」と漠然と思っていたものが、なんと序盤は全く喋らない。人間にとっての動物らしく、キーキーと鳴くばかりである。人工知能を携えたロボットのロズが、野生動物たちを細かく細かく観察するにつれて動物言語を獲得していき、段々と意思疎通が叶うようになっていくのである。
 また、「明け方協定」というような可愛らしい設定はあるものの、野生動物たちがお互いに狩って狩られて生活する様子や、冬の厳しさに耐えられず死んでいくさまは自然そのものであるし、その中で知恵のあるロズが無双するわけでもない(役立ちはするが)。
 言語にしても生活にしても、コミュニケーションの難しさや自然の厳しさを大前提に「ロボットが野生化したらどうなるか」を思考実験した結果が本書なのだと、作者の拘りを感じた。

 個人の感想か企業の紹介文か忘れたが、「人間の自然破壊についても考えさせられる」というような文章を見た。確かに「冬はますます寒くなり、夏はますます暑くなる」という言葉や、海面上昇についての話題も出てくる。しかし、本書の主題はやはり、ロズがどう生き延びて野生動物たちとどう信頼関係を築いていくか、その過程を背景に「生きること」を問い直す、これに尽きると思う。ロズが自然や命と真摯に向き合う姿には学ぶべきものがある。

 本書には人間が登場しない。キラリの回想で語られるだけである。しかし、ロズがどのようにして生まれたのか、レコを送り込んできたのは誰なのか、その存在は随所に感じられ、不吉とまでは言わずとも濃い影を落とす。故郷を守るために旅立つロズがいずれ出会う人間たちは、果たしてどのような形で登場するのか。その人間の在り方によって、本書の見方も大いに変わる予感がする。今から続編が楽しみだ。

 それにしてもロズはいつの間に感情を獲得した(ように見えるだけ?)のか。レコも最後に忠告してくれるあたりささやかな感情を有していたように思う。こういうロボットものは大抵「人間的」になっていくのがセオリーだけど、それが我々人間のロマンなのかなあ。

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2025年08月13日

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