あらすじ
ルヴァンヌ王国第三王子で五歳のリュカは、ちょっとしたことですぐにかんしゃくを起こし行儀作法も知らない問題児。持て余した国王から、友好国であるベルーサ王国で一年間遊学し見識を広めてくるようにと命じられてしまった。そんなリュカの従者に選ばれたのは厳格な寄宿学校を出て教師を目指していた、いとこに当たる青年・レネ。二人は海を渡り、「太陽と海の国」と呼ばれるベルーサ王国の王宮で貴賓として世話になることになった。世話係は第二王子のアレッサンドロ――褐色の肌と豊かな黒髪、野性的な美を放つ彼は気さくで少々破天荒なところがあり、いきなり二人を港町に案内するという王族らしくない振る舞いも。だが気遣いもできる男で、リュカが周囲と馴染めるよう頑張るレネを傍でしっかり支えてくれたりもする。こうして初めはレネ以外とは打ち解けず反抗的だったリュカも少しずつ王太子の子どもたちと仲良くなっていき、それとともにアレッサンドロとレネの距離も近づいて…。
...続きを読む感情タグBEST3
親の愛とは
子供らしい子供であるが故に両親から愛されなかったリュカ王子が健気で泣けます。そして主人公のレネもまた普通の子であるが故に両親から愛されなかった過去を持ちます。
リュカ王子の問題行動は健気さの裏返しでもあり涙を誘うものがありますが、レネの行動はもはや呪縛。一人前の大人になって、もう親の庇護など必要ないのにまだ親に縛られているレネが痛々しいです。
親子間の愛情に関する内容が濃いめの作品なので、恋愛の甘さや切なさは薄めなように感じます。その辺りはちょっと物足りなさを感じました。