あらすじ
塩味、甘味、酸味、苦味に続く第五の味覚「うま味」は日本で発見された。かつお節や昆布のうま味を抽出した「だし」をとるのは和食の伝統とされ、今や「UMAMI」は世界共通言語になっている。しかし、うま味の発見者が開発した「味の素」は、なぜ国民から敬遠されたのか? 食糧難から高度成長、バブル崩壊、格差の拡大へ――。世相とともに日本人の味の嗜好も揺れ動いてきた。基本五味に辛味、脂肪味を加えた味覚の変遷をたどれば、新たな「戦後ニッポン」が見えてくる!
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Posted by ブクログ
あじパンダの帯に惹かれて。
わたしにとった味の素といえば、もはや食卓から消えた後に生まれた世代のため、本や漫画などで「化学調味料」と呼ばれ「体に良くないもの」との刷り込みがあったが…
この刷り込みができるまでの近い過去の歴史を振り返る。
人間の五つの味覚(うま味、塩味、甘味、酸味、苦味)と辛味、脂肪味の7つ味覚(とそれに近いもの)の戦後史をたどっていくのだが、各章のまとめが秀逸だった。
大衆がメディアや一部の意見に簡単に迎合し、正しく知らないままに時代の波を作っていく様が興味深い。何も食に限ったことではないにせよ。
澁川さんの文章はとても読みやすく、新聞を読んでいるみたいだった。
Posted by ブクログ
どんな味を美味しいと思うか、何を身体にいいと思って食べるかは、自分の好み以上に、時代背景を反映しているようだ。思っている以上に、社会の影響を受けているんだと思う。
私たちの子どもの頃の美味しいと、今の美味しいは違う。それは自分の舌が大人になったのだと勝手に思っていたけれど、どうやら違うらしい。それももちろんあるけれど、美味しいものの社会の中での基準が変わり続けているようだ。
Posted by ブクログ
「昭和生まれの私には、もはやついていけない味なのだろうか」
はじまり、の冒頭にあるこの文章のインパクトに吸い寄せられて読んでみた。(とんこつラーメンのことです。一定の年代以上には親近感のわくお話)
単なるエッセイかと思いきや、実際は、基本五味とされる「うま味」「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」に加えて「辛味」「脂肪味」の7味について、戦後の生活や文化の変遷と共に語る内容。
うんうん、いろいろ面白い。
Posted by ブクログ
日本人を取り巻く味覚の歴史について、うま味、塩味、甘味、酸味、苦味、辛味、脂肪味という7つの味をそれぞれ解説している。とくに戦後の物資不足のときには調味料が貴重な娯楽の一部になっていた面もあり、現在では敬遠されがちな糖質や脂質といったカロリー源を積極的に摂取していた。様々な意味で我々の嗜好も時代とともに変化していっている。
たとえばコーヒーは、1960年代までは砂糖をたくさん入れるのが贅沢であり流行っていた。戦後に南洋の製糖農園を失った日本にとっては、砂糖は貴重品であり多くの人々にとって憧れの調味料だったのだ。それが健康志向や肥満忌避といった風潮が高まるにつれて、ブラックコーヒーを飲む割合が高まっていったのは興味深い。
また苦味や辛味といった、本来は人間に対して危険アラートを伝える刺激についても、嗜好が増えてきているのは面白い。カラメルやビール、激辛メニューといったトレンドをみるにつけ、平和な世の中で良かったと感じられる。
Posted by ブクログ
酸味と苦味こそ人の味覚の複雑さ、面白さというあとがきの一文にはとても共感。
特に酸味好きな自分としては甘くない時代のトマトにどうしたら出会えるのかとふと考えてしまう。
脂肪味についてもこれからどんどん解明されていくんだろうなと思う。
Posted by ブクログ
毎日、何かを飲み食いしている。
様々な味覚があるが、今回は「味覚」に注目した珍しい本。
塩味、甘味、酸味、苦味、うま味は知っているが、第6の味覚として最有力候補があった。
それは「脂肪味」だった。
2019年に九州大学の研究グループが発表したマウスの実験結果が注目されるきっかけとなった。
脂肪酸の味を伝える神経が、他の味とは独立して存在することを発見した。
脂肪味の話は初めて聞いた。
果たして第6の味覚になるか気になるなあ。
食にまつわるだけに話題になれな色々なことを言う人が出てくる。
メディアもワーワー騒ぐ。
味をめぐる様々な話が乗っていて興味深いなあ。