あらすじ
俳優だった双子の弟が遺書もなく自殺した。一卵性双生児の兄が遺品のスマホを見つけて顔認証を突破すると、メールには礼文島行きの航空券があった。旅に出ようとしていたのに、なぜ弟は自死してしまったのか。遺骨と喪失感を抱え、弟の死の答えを探すため、兄は旅に出る。マルタ島、台湾、ロンドン、NY、南米、東京――。青春小説の名手が紡ぐ「喪失と克服」の感動長編!
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Posted by ブクログ
俳優であり、双子の弟でもある尚斗の自殺の報道始まる物語。遺された片割れ 貴斗の、尚人の苦悩に気づいてやれなかったという苦しみと後悔、絶望に胸が締め付けられた。
弟の死後に届いた、1通の飛行機の予約メール。それをきっかけに北海道、マルタ、台中、ロンドン、ワシントンDC、ニューヨーク…と旅をしていくが、どの景色にも尚斗を感じられた。ずっと心のどこかが欠けているはずなのに、どの景色も色彩に満ちていて香りが瑞々しくて、貴斗と一緒に旅をしている気分になった。実際に行ったことのある場所は自分の記憶と照らし合わせながら、行ったことのない場所は貴斗を通じて一緒にその地に降り立った感覚を味わえた。ボリビアの墓地は、日本とは異なる捉え方をしている「死」を現地に足を伸ばして見てみたい。
遺された貴人の喪失感は一生消えることはないけど、尚斗が死を選んだ理由を白黒ハッキリさせるのではなく、わからないままでいいのだと彼の中でケリをつけた時、『綺麗だ』という言葉が溢れた時に涙が溢れた。そして貴斗の最期も。
普段、小説が原作の映画化はあまり期待しないし鑑賞もしないけど、この作品は映画化したらとても綺麗だろうなだと思った。
2024年に読んだ本の中で1番好きだった。