あらすじ
アサは文字書きの仕事にあこがれ大奥へやってきた優秀な新人女中。一方、同期のカメは仕事が不得意で先輩にいじめられてばかり。アサは彼女のお世話に追われるが、それでもカメといるときはからっぽな自分の中に何か豊かなものを感じることができるのだった。大奥では集団に染まるために、大切にしてきたものを捨てろという。自分の想いを殺すこと、それでも捨ててはいけないもの……。少女たちは悩み、そして――事件は起こる。様々な過去を背負い大奥にやってきた女中たち。大奥を舞台に繰り広げられる、彼女たちの情念がモノノ怪を生みだす――。そこに現れるのは、謎めいた薬売り。形、真、理が揃ったとき、薬売りの退魔の剣がモノノ怪を斬る!
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Posted by ブクログ
そうそう、こんな『モノノ怪』が薬売りさんが読みたかったんだと思いながら、最初から最後まで楽しく読ませていただきました。
薬売りさんのイケメンさと胡散臭さが両立していてよかった。
性格は最初の方の『化け猫』の頃の彼の雰囲気がしたかなあ。
より人を揶揄って遊んでいる感じの。
大奥で起きたある事件のことを、新入りの女中、大奥の関係者たち、そして「表」から来た若侍たちの視点から追っていく。
薬売りさんの視点での描写はほぼないので、第三者から見た彼は大抵怪しい人かイケメンに書かれてる……いや、ほぼ怪しい人描写かな。
天秤も退魔の剣もハイパーさん(作中は別名)も登場と定番ネタはちゃんと描かれていて満足。
また少しずつ謎が明かされていくミステリ仕立てもよかったし(この表現は定番といえば定番か)過去と現代のキャラたちの思わぬ共通点が絡み合うのもよかった。
脳内で声優さんの声を再現しつつ読むのも楽しい楽しい。
これが映像化されるとどうなるのか、今から楽しみ。
唯一の不満点は、伏線を少しだけ残した点。
ツダケンさんキャラは何だったのだ……次回作への布石、か?