あらすじ
爆発的な進化を遂げた「生成AI」。それにより、人類の未来はどう変わるのか。歴史・インターネット・AIに精通する著者だから書けた20万年前から今日までの壮大な歴史巻物。
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Posted by ブクログ
人の未来はそんなに悲観するものでもないんだろうなと前向きになった。環境や技術に適応できる能力と集合知を操れる。人ってなかなか捨てたもんじゃないなと思う。ハーバーボッシュ法がインパクトあった。食料生産効率を上げるとんでもない技術だけど、あまり知られてない。世界にはすごい、知らない技術がたくさんあって、それを考え出す素晴らしい人々が大勢いる。読んでてワクワクした。
Posted by ブクログ
人類が発明ともに突き進む過程をより深く理解できました。長距離走だけが取り柄だったひよわな人類が、火の利用により脳の巨大化に成功し、石刃や弓矢を発明しました。そして、そのうち人類は、植物を品種改良し、動物を飼い慣らすようになり、およそ8000年前から農耕を始めました。人類は、日々の営みの中で生み出された技術や知識、そして思想を、文字を通じて伝達するようになり、やがてそれは、印刷技術と結びつき、科学と人権思想というものに発展しました。産業革命後の人類文明は「発明が発明を呼ぶ」という状態になりました。人類は、わずか数百年ほどで、それまでは想像もできなかった世界を実現しました。それは飢えよりも肥満が社会問題となる世界です。数え切れないほどの人間が、鳥よりも高速で飛び回る世界です。生まれた赤ん坊1000人のうち2人ほどしか死なない世界です。致命的な疫病を、ワクチンで予防できる世界です。すべての子供が教育を受け、地球は太陽の周りを回っていると知っている世界です。すべての大人が読み書きを覚え、四則計算に困らない世界です。地球の裏側と、言葉の壁すら超えてリアルタイムでに会議ができる世界です。ただし、これは個々の人類が他の生き物と比べて「賢い」からではなく、人類全体の集合知を上手く利用できたからなしえたことです。そして現在、人類は自分たちより圧倒的に賢いAIというものを発明しました。AIが人類にとって脅威となるか否かは、今のところ不明です。しかし、もともと人類がそれほど賢くないのであれば、人類よりも圧倒的に賢いAIが存在したとしても、それほど悲観的にとらえなくてもいいのではないかと思いました。
Posted by ブクログ
7つの発明について概観し論じている。読み進めていくと、著者が「AIは敵か?」という問いに答えるべくまとめたものであることが明らかになっていく。
とはいえ、AIの議論抜きにしても、それまでの発明の歴史をよくまとめてあり読み応えがあるし、文章は読みやすいので大いに学びになった。
1章火の発明、2章文明の発明、3章活版印刷の発明、4章科学の発明、5章鉄道の発明、6章コンピューターの発明、7章インターネットの発明、終章AIは敵か?、という構成。
やや細かいところだが、5章冒頭の「世界を変えた印刷物5選」が大変興味深かった。
一冊目『スムマ』。世界初の複式簿記の教科書。それによる商業の発達が株式会社の発展を呼びヨーロッパの覇権に繋がっていく。
二冊目『95ヶ条の論題』。ルターによる(本人の意図せぬ)宗教改革の狼煙。30年戦争を経てウェストファリア条約での「主権国家」の概念に結実。
三冊目ニュートンの『プリンキピア』。コペルニクス、ブラーエ、ケプラー、そしてガリレオとバトンが渡され、禁忌であった地動説が「常識」がとなっていく。そしてニュートンが万有引力の概念で理論化する。プリンキピアはまさにその成果の結実の書。
四冊目『パミラ、あるいは淑徳の報い』。書簡体小説(手紙の形式で書かれた小説)ブームの火付け役。この形態の小説を通じ人々の他者への共感能力が育まれ、残虐な身体刑が減少。さらにはフランス革命の人権宣言に結びつく。
五冊目「種の起源」。ダーウィンの自然選択説が「機械論」(対立する概念は「生気論」。生命には何か超自然的な力が関わっているはずだと言う考え方)を打ち出し、神学を中心に据えた中世に終止符を打った。
多くの発明を概観することで、かなり示唆深い内容。とてもよい一冊。