【感想・ネタバレ】まじめにエイリアンの姿を想像してみたのレビュー

あらすじ

エイリアンと聞けば、何を想像するでしょうか。いちばん多いのは映画に出てくる緑色で目の大きなヒト型の生き物という人も多いのでは。そこまで明確でなくても細菌のような微小な生き物ならいるかもねと考えるかもしれません。いずれにしても誰でももしエイリアンに会えたなら、きっとこんな生き物だと想像したことはあるのではないでしょうか。エイリアンはわれわれより科学技術が進んでいて、地球に侵略してくるヤツらだとか、友好的で私たちの未来を明るいものにしてくれるとか、映画でもさまざまな姿が描かれています。
でも、しょせんは想像の世界と片づけていませんか。もちろん今の私たちが本当にエイリアンに出会える可能性は低いでしょう。人類が無線を使えるようになってから150年もたっていません。つまり、人類がいることをエイリアンが地球からの電波によって知ったとしても、150光年しか離れていない場所にいる場合のみとなります。宇宙の広さからしてもなんと狭い範囲でしょうか。もちろんそこからやってくるにしても、光の速度で150年かかるわけですから、われわれが会えないことは当然といえます。
本書では、物理学や化学の法則は宇宙でも変わらないことを前提に、生物学の見方を元に、もし生き物が地球外に生まれた場合、液体、気体、固体の中の生活スタイルを考えながら、どのような姿形になるか、どのように行動を選ぶか、どのように発展をしていくかを、進化論やゲーム理論をベースにして、地球の動物たちの進化の過程を参考に、エイリアンにもあてはめて考えてみた結果をまとめています。
エイリアンを考えることは、結果としてわれわれ地球上の動物とは何かを考えることにもつながっていることも明らかにしていきます。

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Posted by ブクログ

 小学5年生か6年生の夏に、ハインラインの『赤い惑星の少年』を読んだ(年がわかるが、すでにそのときこの物語は古典に近かったはず!)。話はまったく覚えていないけれど、解説の中に“もし火星人がいるとしたらどんな姿か”という項目があって、火星は地球より重力が小さいから地球人より背が高いだろう、火星は地球より気温が低いから全身に毛が生えているだろうと、雪男みたいなイラストが添えられていた。幼い私は感動した。これが科学か。私は夏休みの自由研究に火星についてまとめた(火星人について書きたかっただけ)。担任は花丸をくれて「将来は天文学者ですね」と書き添えてあった(先生、残念ながらその能力はありませんでした)。

 で、この『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』は、あの火星人解説の高級大人版である。いや、最初はお笑い本だと思って読み始めたのだよ。著者自身「おそらく、みなさんがいちばん知りたかったのは、彼らが緑色なのかどうかだろう」なんて言っているように。

 しかしこれはまじでまじなまじめな科学本だった。著者が「みなさんは、本書が地球外生命体についてのみ書かれた本だと思っていたかもしれないが、実際には生命一般、つまり最も基本的な意味におけるあらゆる生命に関する本であり、ほかの惑星の生命に負けず劣らず、地球の生命について扱っている。」と言っているように。これが科学だ!って思ったよ、再び。

 物理法則。自然選択。ゲーム理論。このような地球人類の発見が、(少なくとも)この観測可能な宇宙においては普遍の法則なんですな。すごくないですか?

 中学や高校において、この本をネタにそれぞれの専門分野を学ぶというのはどうか? (私のような理系がダメな生徒でも)好奇心を持って学べるのではないか。

 著者は動物学者でこのエイリアンについてはNASAの研究の一環のようだけど、ほんと NASAってやってんなぁ。
 いやーワクワクした本でした。

 おまけ。自然選択についてのお気に入りのお言葉。「自然選択には“設計図(デザイン)”もなければ“設計者(デザイナー)”もいない/突然変異にメリットがあるのは、ひとえに進化には先見の明がないからだ!」。

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2024年08月30日

Posted by ブクログ

宇宙に知的生命体が存在するとしたら、どのような特徴を持っているのだろうか?エイリアンの色や形はわかるはずもないけど、言語や抽象的思考を可能とする知能、個体間のコミュニケーション能力、血縁、社会性に基づく協力関係などは、ある程度普遍的に持っているはずというのが、本書の主張です。これらを前提としてファーストコンタクトを想像するのも楽しいかも。SF小説の三体のようにはならないことを祈ります。

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2024年06月15日

Posted by ブクログ

【目次】
第1章 はじめに
第2章 形態vs機能──すべての惑星に共通するものとは? 
第3章 動物とは何か、地球外生命体とは何か
第4章 運動──宇宙を走り、滑空する
第5章 コミュニケーションのチャネル
第6章 知能(それが何であれ)
第7章 社会性──協力、競争、ティータイム
第8章 情報──太古からある商品
第9章 言語──唯一無二のスキル
第10章 人工知能──宇宙はロボットだらけ?
第11章 私たちが知る人間性
第12章 エピローグ

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2024年06月08日

Posted by ブクログ

各種成分は異なっても、物理的制約や自然選択といった基本ルールは異星でも同等=案外地球生命に類似した形になるのでは? という観点からの本
宇宙生命の形を考察しつつ、地球生命の多様な形態・生態を宇宙生命のようにも感じられるようになる

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

基本的には、まだ見ぬ地球外生命体を想像するにあたって、地球上の生命の発展からヒントを得て合理的に可能性を絞って考えようという方向性。
コミュニケーションは光と音どちらを使うとどういう良さがあるのか、性はなぜあるのか、生命はなぜ死ぬのか。
人間や様々な動物を丁寧に観察して歴史を紐解きつつ、エイリアンの存在を想像する。欲を言えば、存在確率が高いエイリアンの特徴を大胆に2~3詳細に述べてくれるとさらに面白かっただろう。(体はこういう物質で構成されており、大きさはこれくらい、脳はあるないなど)

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

宇宙生物学って面白いですね。

ちょっと邦題はふざけてると感じるかもしれませんが、中身はがっつり生物学でした。途中用語が難しくて飛ばしたりしました。
地球外生命体を考えるために、今地球上の生き物の本質をちゃんと紐解いて説明してくれている(原題も「動物学者による宇宙の案内」みたいな感じです)。

途中ちょっと難しい部分があって飛ばしてしまいましたが、面白い部分が多く、毎ページ楽しめました。

難しい部分は「言語」「人間性」あたりでした。そこの分野はそこの分野で勉強してからまた読み直したいですね。

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

動物学者が、エイリアンの姿を考えてみた。

色々と類書はあるが、物理学者でも宇宙の専門家でもないところが味噌で、どういう条件なら生命が発生して社会が発展して、それはどういうものかという考察は、ほぼほぼない。

前提条件は、物理法則が我々と同じで、実際宇宙船を作って、我々とランデブー出来る宇宙人がいるとしたら、どんなんでっしゃろ。

地球上でも収斂進化があるように、環境が似ていれば、姿見は似てくる。環境が要請する機能面から考察しようじゃないのという試み。

面白かったな。
社会性とか言語、人工知能に至るまで考察していて、想像できる限り、想像をそう大きく超えることはないんじゃないかって。

これはこれで面白い。

思考実験であり、そもそも人間とは何であるのかと言う考察でもある。

確かに、我々の想像を全く超えたものに遭遇した時に、それを、生命体というのかどうかって難しいな。ある意味、この本の主題は、言葉の定義なのかもしれない。

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2024年07月19日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  はじめに
第2章  形態vs機能~すべての惑星に共通するものとは?
第3章  動物とは何か、地球外生命体とは何か
第4章  運動~宇宙を走り、滑空する
第5章  コミュニケーションのチャネル
第6章  知能(それが何であれ)
第7章  社会性~協力、競争、ティータイム
第8章  情報~太古からある商品
第9章  言語~唯一無二のスキル
第10章  人工知能~宇宙はロボットだらけ?
第11章  私たちが知る人間性
第12章  エピローグ

<内容>
タイトルに惹かれて購入。しかし当たり前ながら難しい本だった。要するに生き物として、宇宙共通のものを考える。その前提は生物学や物理学、化学と言った学問の積み重ねで、それをSFではなく、科学的に冷静に分析していき、いわゆる宇宙人の実在性(これはいるとしている)とその形態や知性などを分析している至極真面目な本である。外国の本の典型として、しつこいほど証拠を並べていくので、本は厚くなる。動物学を(著者は動物のコミュニケーションなどを主に研究する学者)専門とする。その知的蓄積がここへの興味を持ったのであろう。

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2024年07月15日

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