あらすじ
著者の企みに舌を巻く! 哀しみと可笑しみの令和ミステリー
小学生のときは女男と指をさされ、母親からはあなたの代わりは誰にもつとまらない、胸を張れと言われる。
平穏を求めて入学資格に性別条項のない私立の中高一貫校に入るが、いじめはさらにエスカレートし、みじめな姿がSNSで世界中にさらされていく。
それは僕の名前が太郎だから――(「彼の名は」)
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Posted by ブクログ
歌野晶の短編集。タイトル通り、未来から見れば「令和っぽいねぇ」と言われそうな社会背景に描かれるミステリー。どれもこれも社会提議を問いかけるような背景をもつ。
のだが、どれもこれも結末が想像を超えてくる。え、そこに着地させるの?という意外性は「葉桜の季節…」の歌野節である。ひっかけられる快感・醍醐味を存分に味わえて楽しい。
そういう特徴なのでネタバレ回避のため、細かくは書けない。でも騙されたと思って…いや、騙されることが好きな人にこそ是非読んでもらいたい。エエ方向にしか騙されないので。
Posted by ブクログ
彼の名は
有情無情
わたしが告発する!
君は認知障害で
死にゆく母にできること
無実が二人を分かつまで
彼女の煙が晴れるとき
花火大会
Posted by ブクログ
歌野晶午さん、気になっていたもののこれで初めましての作品。
短編集とは思えないほど読み応えがあった。
後からひっくり返る展開も無理がなく、途中で察せられるものもあったけど、驚くものもあり、面白かった。
特に2作目の、老齢男性と地域の子どもとの関係性については、主人公目線の気持ちと、幼い子を持つ母としての気持ちが真逆になるので、心にズシンと来てしんどかった。
読後嫌な気持ちになる作品も多かったけど、7作目は気持ち良かったな。
他の歌野晶午さん作品も読みたいと思った。
Posted by ブクログ
「彼の名は」太郎なのになんで女扱いされていたのか不思議だったが、読みがはなこだったと最後に判明して謎が解けた。この名前がリトマス試験紙になってるという母の言い分は理解できなかった。
「有情無情」そんなつもりは一切なかったのに小児性愛者だと決めつけられて行き場を失ったお爺さん。たとえ危険な目に遭っている子供だとしても自分が助けようとするとまた勘違いされてしまうため助けることはできないと悟って自死してしまう結末は悲しかった。
「わたしが告発する!」両親が事故に遭って2人とも他界したあと、引きこもりの姉と実家や遺産はどうするかと揉める話。死産なのか自分で殺したのかは不明だが、子供を天井裏に隠してずっと自分もそこに住み続けようとしていた姉の心情が気になる。主人公の弟の彼女が印象的で、弟が、両親じゃなくて姉が死ねばよかったのにという発言に「人生うまくいかないわね」と返すところ、カッとして姉を殺してしまった後、淡々とその後の段取りについて考えるところ、そんな状況で弟からのプロポーズを受けるところなどちょっと常人離れしてる性格が面白かった。
「君は認知症で」外に出て移動することで次々と現れるゾンビを倒すアプリゲームにハマった留年中の大学生が、あるきっかけによって認知症のおばあさんの殺害容疑をかけられる話。田舎の父が優しすぎて感動した。
「死にゆく母にできること」母をこの手で殺すことで母へ抗議したというオチはなんとなく察せた。
「彼女の煙が晴れるとき」てっきり主婦だと思って読んでたから小学生で驚いた。ヤングケアラーの話だった。
Posted by ブクログ
7編の短編と1編のショートショート。
イヤミスでスタートし徐々に暗くやりきれない話題ばかりが続くが最後の叙述トリック物の「彼女の煙が晴れるとき」で気分が逆転する構成はよかった。
だがどれも令和ならではの話題とは言えず本の題名とのつながりはよくわからない。
Posted by ブクログ
主に叙述トリックメインの短編集。
今の時代だからこその生きづらさ、窮屈さの描写がすごくリアルだった。
引きこもり、外国人の不法滞在、ブラックバイト、ヤングケアラーなど題材も令和の世の中を反映している。
本来は悪くないはずの人間がいつの間にか当事者になり追い詰められていく様は見ていて苦しい…。
どの話も、最後まで読めばそういうことだったかと納得できるオチがあるのですっきりする。
とはいえ後味が悪いというか、善人が善人でいられないのが令和の時代なのかな…暗い話が多くて気持ちは沈む。
「花火大会」だけは、え?それだけ?と拍子抜け。
わざわざこの短編集のラストにあるのは何か意味があるのでしょうか…?
それとも、ただこのトリック?を見せたかったのか。
もしかして「佐倉」って他の話に出てきてて何らかの繋がりがあるのかな?と最後だけモヤモヤしてしまった。
Posted by ブクログ
令和の時代(かな?平成からあることかもしれないけど)の生きづらさを描いた8つの短編集。
○ジェンダーを意識した名前を付けられたばかりに苦労する太郎の話。「彼の名は」
○昭和の感覚でよその子に接したら、強制わいせつを疑われてしまった話。「有情無情」
○引きこもりの姉がいる弟が、両親が亡くなった後、何とかしようとするがならなかった話「わたしが告発する!」
○いなかから自由を求めて都会に出たのはいいものの楽を求めていくうちに廃人になり、あげくに殺人の罪をきせられる話。1番主人公がダメなヤツと思った割には、つけてもらった弁護士が優秀で、意外に最後ホロッとさせられてよかった。「君は認知障害で」
○親の呪縛から逃れられずにずっと縛られて生きてきた主人公が自分を振り返って母にしたいと思ったこと「死にゆく母にできること」
○炊き出しで知り合った人の話。そんな生活をするのには理由がある「無実が二人を分かつまで」
○隠れケアラーがどんどん増えている令和をまさに反映してると思った「彼女の煙が晴れるとき」
○ショートショート。短いながらこの本で1番明るい話かも。「花火大会」
こう振り返ったら、前半のよく人が死ぬし暗い。というイメージから、今の令和の生きづらさをうまく伝えてるなと思った。読みながらあるあると読んでいき、時にはラストの人間関係になるほどと感心した。
Posted by ブクログ
ぼんやり読んでいると取り残されてひっくり返される。
年齢や性別など、古典的な叙述トリックばかりだけど、さすが大御所。安定している。だけどベタでイヤミスなのかお涙頂戴ものなのか判然としない。どんな反応取ればいいのか戸惑うとこも含めて、その薄さが令和のことなのかもしれない。