【感想・ネタバレ】正しき地図の裏側よりのレビュー

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Posted by ブクログ

 逢崎遊さん、デビュー作!?とは思えないほどに、すごくよかったです。今後が楽しみな作家さんができました!

 主人公は定時制高校に通いながら、無職の父の生活をもアルバイトを掛け持ちしながら支えていた井口耕一郎…。必死で貯めこんだ8万円を使い込まれた上、当時付き合っていた彼女にも手を出したと告げられた時、カッとなり父を殴ってしまい、その日から耕一郎の逃亡生活が始まります。ホームレスから日雇い労働者になり、頼れる仲間と一緒に一念発起してたこ焼きを売る仕事を始めて…。

 それぞれの場所で、耕一郎のことを認めて手を差し伸べてくれる人たちがいました。辛い別れも経験しつつ、耕一郎は人間的にも成長していき、過去ともきちんと向き合います。序盤はちょっと長く感じましたが、ラストに近づくにつれて読むのがとまらなくなります。人とのつながりや優しさに加えて親子愛…心に響き、涙を誘います。

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2024年05月14日

Posted by ブクログ

第36回小説すばる新人賞受賞作。

1998年生まれの若い作家さんだが、デビュー作とは思えない抜群のリーダビリティで一気読み。

主人公は定時制高校に通いながら無職の父に代わりバイトに明け暮れる井口耕一郎。
ある事がきっかけで故郷を離れ、彼の逃亡生活が始まる。

わずか10代でホームレスとなった耕一郎。
過酷な日々を送る中で出逢った人々の情の深さと温かい交流に何度も涙が込み上げた。

いくつもの出会いと別れを繰り返し、意を決して帰郷した耕一郎を待ち受ける真実に胸が一杯になる。
そんな愛情表現があるなんて。

ラスト二頁で涙腺崩壊。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

素晴らしい新人作家と出会えました。
働かずパチンコに明け暮れる父と、二人で暮らす耕一郎。ある日、耕一郎が頑張って貯めた八万円が父に使われたことをきっかけに、二人は完全に袂を分かってしまう……。
最初は暗く不安な展開ですが、根は真面目な耕一郎のあきらめない心に共鳴するように、後半は段々と明るくなっていきます。
耕一郎が逃亡先で出会った人が、ほんと皆いい人で泣かせます。何回も涙するシーンがあり、最後まで一瞬でした。
これがデビュー作とは信じられません。
どちらかと言うと母と娘の関係が描かれやすい昨今、父と息子の関係なのも新鮮で好きでした。次回作にも期待です。

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

他の方の感想や、宮部さんと村山さんの帯に誘われて買いました。
読み始めたらまさに帯の通り「ぐいぐいと読まされてしまい」一気読みでした。新人とは思えない筆力と、感動の展開で、今年最も読んで良かった一冊です。
特に相葉さんと出会ってからのストーリーでは何度も泣かされました。
本当に買わないのがもったいないと思います。

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2024年03月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2024年、今のところ読んでいちばんよかった小説(2月末ですが)。
小野寺史宜さんの「まち」とか好きな人にはハマりそう

父親を殺してしまったかもしれない(その理由も同情を禁じ得ないもの)少年が、街から逃げてホームレスとして生活→日雇い生活の中で出会った「おっちゃん」とたこ焼き屋を始めて生活を再建し、おっちゃんを看取ったあとに最後故郷に帰る話。
十二国記じゃないけど前半が苦しくて重い分、後半最後まで読んでよかった、と思えたお話。

最初に出会って腕時計を売却してしまった三浦さんが似た時計を送ってくれるのも、それを簡易宿泊所のおばちゃんが特別に預かってくれるのも、浜さんの最後も(ごめんな)、おっちゃんとのたこ焼き屋さん、スナック、雪ちゃん、そこで出会う人たち、とにかくすべてが暖かくてよかった。

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2024年03月02日

Posted by ブクログ

父親を殴って放置し、逃げた。逃げた先でホームレスとなり、その日暮らしの生活を送る主人公耕一郎。転落具合が凄まじい。
理不尽にシマを荒らしたと責められたり、苦労して購入した時計をカツアゲされたりと、他にも普通一生したくないような苦労が耕一郎に押し寄せる。
段々とどうにかこの状況が変わらないか、耕一郎が少しでも幸せを感じることはないのかと同情する気持ちになってくる。

しかし、世の中捨てたものではなく、いや、耕一郎の真面目な性格が良かったからか、耕一郎は周囲の人に気に入られ、一時は屋台まで出せるようになる。
人との出会い、別れ、身近な人の死と、目まぐるしく訪れる耕一郎の人生に目を奪われる。

最後、父親の消息についてはほぼ予想通りだったものの、父親がどういう気持ちだったのかを考えると何だか泣きたい気持ちになった。
父も息子も、地図がぼろぼろになるまで道を歩き、自分の人生を生きた。
楽な道ではないが、絶望だけの道でもなかったように思う。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

父親にアルバイトで稼いだ金を取られ、彼女に酷いことをされ、逃げた場所でもリンチを受けてなけなしの全財産を取られて、と不幸続きの主人公に、もう酷いことが起きませんようにと、祈りながら読み続けました。酷い父親の元から逃げ出したけれど、行く先々で人の縁に恵まれて、人として成長して最後に父親の気持ちを理解することができたという、悲惨で悲しくもなぜか心が穏やかになる作品でした。

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2024年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

雪の中、父親を置き去りにして、家を出るまだ高校生の主人公。無計画ながら案外器用でしっかりしているため、浮浪者になり日雇い労働者になり最後はたこ焼き屋までやって、そのバイタリティに驚く。グイグイ引き込まれながら最後まで読むが、殺したと思った父親が生きていたことを知って後悔するが、こんなに底力のある主人公のどかか抜けているところが、残念だった。

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2024年05月09日

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