あらすじ
大国ドルマンの第一王女ジョジュは王位継承争いに敗れ、継母殺しを企てた悪女と汚名を着せられてしまう。さらに国を追放され、辺境の小国ロニーノへ嫁ぐことに。失意のジョジュを迎えたのは冷酷無慈悲と噂のエミリオン王だった。
「愛を求めるな」と言ったエミリオンだが、敵ばかりの祖国とは違いジョジュを公正に扱ってくれた。ジョジュは生来の聡明さを取り戻し、若き王に反発する者の陰謀が渦巻く王宮で味方を増やしていく。凛とした姿は頑ななエミリオンを変え、二人は次第に心を通わせるが、元王妃候補の令嬢が現れ――。
==人物紹介==
○ジョジュ
ドルマン王国第一王女。
将来女王となるべく学んできた。
王位継承権を奪われ絶望していたが、エミリオンと過ごすうちに気力を取り戻していく。
○エミリオン
前国王夫妻が事故死したため、若くしてロニーノの国王となった。
大国と渡り合う力をつけるために改革を推し進めており、「冷酷無慈悲」と恐れられている。
感情タグBEST3
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溺愛よりも国家運営
第3巻まで読み終え、完結のような終わり方だったので初巻にレビューしに来ました。
タイトルに「溺愛される」とありますが、溺愛ムーブの比重は軽やかでエロはなし、溺愛描写の多くは第3巻に収められていると思います。
それまでは陰謀、謀略、悪意、嫉妬、国際問題、社会情勢、権力と金に群がる有象無象、裏社会…とまるでタイトルに騙されたようなストーリーが目まぐるしく展開されます。
しかしむしろ、こちらの方が格段に面白い。
甘々シーンはもちろんありますが、それは関係性と絆が築かれていく様子を示すのに必要があったというのが大きな理由ではないかと勘ぐるほど。
とにかく問題に対処するヒロイン夫妻とその周辺のやりとりが本当に面白く、時には感動して涙するようなシーンもありました。
最後はヒロインをはじめとして理不尽な扱いを受けた人々は、それぞれの幸せを追い求められる境遇になれたのかも、と安堵し爽やかな読後感を味わうことができました。
漫画化もされているようですが、個人的には表紙絵が好きです。