あらすじ
天帝に人の罪を告げにゆく三尸の虫が飛びたつ庚申の日。死者に成仏するための“最後の晩餐”を提供する臘月宮で働く新米女官・林花のもとには、様々な死者がやってくる。のだが――なぜか死者ではないはずの皇帝・黄辛の姿が。
謀反による大火事から救われて以来、頻繁に訪ねて来るようになった黄辛から、林花は意見を求められる。それは彼の間諜が立て続けに変死を遂げたというもので――。
人ならざるものの邪悪な気配。古の因縁がもたらす禍が、臘月宮にも迫ろうとしていた。
=人物紹介=
◆林花/りんか◆
敵国のスパイとして処刑されかけたが、死霊を見る能力を買われ、臘月宮で働くことに。宮廷料理人だった父の腕を継いでいる。
◆黄辛/こうしん◆
武神と呼ばれた父帝の跡を継ぐ、民からも絶大に支持される若き皇帝。林花とは、浅からぬ縁があるようで――?
◆猛虎/もうこ◆
前世で黄辛の命を救い四品の位を賜った、帝の愛犬。林花に懐いている。
◆墨蘭/ぼくらん◆
臘月宮の女主。不思議な力を持ち、その一切が謎の不可侵な存在。