あらすじ
これは数年前に行った旅で、帰ってからすぐに原稿にまとめたのですが、なぜかすぐに発表する気持ちになれず、そのままパソコンの中に寝かせていました。
それが今年の春、突然、あのインドの本を出したい!という思いがわき起こってきて、改めて原稿を読み返し、今の視点の解釈をところどころに追加して完成させました。
なんというかたぶん、外に出していい時期が来たというか、旅の持つ活動的な感情が収まった後の、そーっと浮かび上がってくるものを書き残したいという思いが私にあったのではないかと思います。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
銀色夏生さんのインドの聖地への瞑想ツアー旅日記。
まず、インドには北東部に細長いセブンシスターズと呼ばれる7つの州があることを初めて知りました。
そんなチベット文化圏への旅。
食事、環境、整備されてない道路、長時間の移動、高山地帯‥
どれをとってもハードそうで私は絶対行かれそうにないので、そういう旅の様子の体験記って貴重で、とっても楽しい。
悪路の様子は読んでいるだけで乗り物酔いしそうだし、高山で頭が痛くなりそうだし、虫いっぱいで発狂しそうだけど、そんな旅をクールにこなす銀色夏生さん。
写真もたくさんでとてもよかったです。
銀色夏生さんのおかげで、知らない世界を知ることができました。
Posted by ブクログ
「これもすべておなじ一日」の銀色夏生さんのエッセイ。
2017年に行ったインド・タワンの瞑想ツアーについてのエッセイ。
好奇心旺盛な夏生さん、文章も絵もゆるくて読みやすい。感想も率直。
旅行記はハラハラドキドキものも面白いけど、こういうのんびりと知らない世界を覗ける文体のものも好きだ。
旅行を振り返ると、「あれは夢の中みたいな出来事だったなあ」と後から思う時があるけれど、夏生さんも同じことを書いていた。
夢の中へ。私も海外に行きたくなった。
Posted by ブクログ
写真も多く、つらつらとたのしく読めた。
瞑想ツアー、というタイトルだけど、銀色さん的にあまり瞑想については深堀りしていない感じ。だけどさらっとしててそれが逆に読み心地がよかった。
気になった箇所
ボロボロのタワン僧院に行ったので、もう部屋の窓からきれいにそこが見えないことを悔しく思わなくなった。あの屋根は黄金ではなくペンキだとわかったから。あの建物は豪華ですごい世界ではないとわかったから(でも違う意味ですごいところもあるのだろうけど。お堂やダライ・ラマ14世の部屋はよかった)。とにかく最初に想像したものとは違って内部を知って勝手な憧れや幻想がなくなったというか。よかった。憧れとはそういうものかもしれない。
寺院の入り口に花壇があって花が咲いていた。薄いピンク色のダリアと紫陽花。常連ご夫婦の旦那さんの方が「この違いがわからないんだよね~。同じ花で大きさが違うだけかと思った」と言った。ニコニコしながらさわやかに。「こっちが紫陽花で、こっちがダリアですよ」と説明しながら、私は美しい衝撃を受けた。花好きの私にとってはまったく違うものなのに、興味のない人にとってはこれほどまでにわからないとは。なんだ、だったらなにも気にしなくていいんじゃないか、という解放感を覚え、なぜだかスーッと癒されたような気持ちになった。癒しの神髄って、こういうことかも!気にするほどのことじゃないって、気づくこと。
若夫婦とミニくんが話しているのが聞こえてきた。食事について。ミニ「一日一食ぐらいしか食べない。ハラへってるのが好きなんですよ。ハラへってるな~って、すごいハラへってから食うのが。だから今は食べすぎてますよ。普段こんな食べない」
なるほど、インドで一か月修行してただけのことはある。今は地元でヨガを教えてるヨガの先生なんだよね。
「ハラへってるのが好きなんですよ。ハラへってるな~って、すごいハラへってから食うのが」を聞いて、なぜか私もだんぜんそうしたくなった。
なんかいいと思った。
ミニくんの淡々とした話し方、ひょうひょうとした存在感、そういうのすべて含め、時々、カッと目を見開いている不思議さのある人ではあるが。
本当にそう思って言ってたから。
本当にそう思って言ってる人の言葉は「お守り」になる。この言葉を忘れないようにしよう。
無意識にものを食べ始めたら、思い出そう。ハラへるのがいいことみたいな気にさせる。ハラへるのが怖くない。私も早くハラへりたいってまで思った。
ハラへることが強迫観念みたいになってて、ただの習慣で、12時になったらお昼食べなきゃとか、夜になったらご飯食べなきゃとか、ご飯を食べ損ねた時に変にイライラしたり、原因となったものごとを恨んだり、無意識に思ってた気がする。
でも別に、食べなくてもいいんだよね。ハラへるって、異常なことじゃない。悲しいことじゃない。それが好きって思えれば、ハラがへっても怖くない。ハラがへるのはネガティブなことじゃないと気づかせてくれた。
ミニくんは本当にそう思って言ってるんだけど、もっと範囲を広げて、この言葉、他のことにも応用できないだろうか?人にどうこう言われたくない時に、ストップをかけるために。
例えば・・
「金ないのが好きなんですよ。金ないな~って、すごい金ないまま生きているのが」
いいね。
「恋人がいないのが好きなんですよ。彼(彼女)いないなあ~って、すごい、ひとりのままで生きているのが」
いい。
「◎◎が好きなんですよ。◎◎だな~って、すごい◎◎のまま生きているのが」
一般的にネガティブだといわれていることを、なんでも◎◎に入れればいい。
「人気ないのが好きなんですよ。人気ないな~って、すごい、人気ないまま生きているのが」
そうサッパリと明るく言えれば、それでその話題は終わる。本当は好きと思えなくてもとりあえず言い切ることができればいい。自分でそう明るく言えれば人は何も言えなくなる。ここにもまた解放感を覚えないだろうか。
あとがき
この旅は移動が多かったせいで、車の中などでいろいろなことをたくさん考えることができました。特に帰りの車の中では、ひどいガタガタ道だったけど、新たな気づきもありました。それが何だったかは覚えていませんが、その頃に考えていたことのひとつの指針、心境の変化が起こったような感じです。非言語の会話じゃないけど、意識した体験以外の意識下の体験も多かったのではと思います。そちら方が重要かも。
Posted by ブクログ
銀色夏生さんの物事をとらえる感覚が好きで、エッセイや旅行記をよく読む。インドの聖地タワンはなかなか行けない秘境ということで、幻想的な世界を一緒に旅した気分になった。