あらすじ
【鴨志田 一完全監修】 咲太の妹である梓川かえで視点のコミカライズ第2巻(完結巻)。家でずっと「おるすばん」をしていたかえでは、「今年の目標」を達成するために、徐々に外出に挑戦するが――。
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Posted by ブクログ
殆どのシーンをかえでか花楓視点で進行しているため、原作とは異なる進行となっているシーンも幾つか見られるのだけど、その分だけ彼女は如何にしてあの時間を過ごしていたのかという点が見られる形になっているのは良いね
花楓の知り合いとの遭遇により、より学校へ行く事を焦り始めたかえでの在り様は少し怖いけれど、それ以上に進む覚悟を持ち始めた姿は応援したくなるもの
ただ、そんな覚悟の源泉がもうすぐ自分が消えてしまうかもしれないという恐れに起因しているのが何ともね…
危うさを感じさせながら前に進むかえでに関し、咲太が傍で支え続ける構図は本当に良いね
かえではお兄ちゃんの為に学校に通えるようになりたい。お兄ちゃんはそんな妹の頑張りを叶えてやりたい
二人暮らしの兄妹が見せる絆に感銘を覚えるよ
けれど、気持ちとは裏腹に通学チャレンジは簡単な話ではないわけで
気持ちに反して一歩も動けなかった彼女の姿はあまりに悲しい…
そのような状態だったからこそ、応援する立場の咲太が多少の搦手を用いた上で学校へ連れて行くシーンは本当に良いね
妹の願いをなんてこと無いように叶えてしまう最高の兄ですよ
咲太のような兄が居るからかえでも学校へ行ける予感が高まる、幸福感に浸れる
それはかえでにとってきっと最高の1日で
だからこそ、その瞬間が区切りとなってしまったんだろうなぁ……
驚きだったのが花楓に戻ってからも彼女視点の構成を変えなかった事かな
原作5巻では様々なシーンが心を揺さぶってくるのだけど、その一つである咲太の慟哭が描かれるシーンを本コミカライズでは描いていないのだから
でも、それってかえででも花楓でもなく、咲太の物語だから描かれたものとなる訳で
また、花楓はそれを知らない事で兄のイメージを崩さずに済んだとも言える
そもそも花楓が戻って来た辺りでの咲太の対応って本当に素晴らしく感じられる。かえでに花楓を押し付けなかったように、花楓にかえでへと戻るよう要求もしない。唯一パンダを見に行こうと誘ったくらい
その心中にどれだけの悲しみがあったとしても、それは咲太とかえでの間の思い出なわけで
だから花楓に手渡されたかえでのノートは咲太からの押しつけではなく、花楓が直前2年間を「空白」と感じない為の措置と言えるのかもしれない
花楓にとっては見ず知らずの他人。けれど、似たような立場で学校へ行こうと奮闘していた少女の記録。そして彼女が幸福を感じられた為か自分は戻って来られた
だからこそ、花楓のこれからしたい事が「学校に行きたい」になったのだろうしね
結構良いコミカライズと感じられたのでこの調子で『おでかけシスター』もコミカライズしてくれたら嬉しいけれど、流石にそれは我が儘かな…