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Posted by ブクログ
帯に一気読み必至!とかあったので、またまたーとか思いつつ読み出したらマジで止まらない事止まらない事。大変良かったです。
育児放棄の末、児童養護施設で育った翔太は、半グレ組織が運営するバーで女の子を風俗に沈める仕事をするうち同僚の海斗と意気投合。ツーマンセルで成績トップを取るものの風向きがおかしくなり…という導入から破滅、2人が分かれてからのそれぞれの人生を、その当時の時事ネタを絡みつつ描いているのですが、さまざまな挫折や失敗を経験しつつひょんな事から読書にハマる翔太の姿は本当に尊いし沙季の「面白いから読書する」という思想をプライドにしている様は読んでいるこちらの気持ちを鼓舞してくれるようで、辛いシーンも多いものの基本的に心が温まる翔太パートは読んでいて心地よかったです。
反面海斗パートは作中にもある様に「昭和何年?」という価値観にある彼氏が、聞き覚えのある社風の一流広告代理店でその価値観を増幅し色んな人に一目を置かれつつ活躍する様がメインなんですが、サラリーマン小説の様で犯罪小説でもある作りになっているところが痺れます。特に逢摩産業設立に至る話し合いの場面は読んでてゾクゾクしました。
そんな海斗は自分の異常さに最後まで理解できないのがなんとも。人間はみな真っ白に生まれてきますけど、生きているとどんどん黒くなりその黒みを意識しているかしていないか、黒にならないにはどうすれば良いかを苦悩する人間もいれば、自分の黒さに自覚無く他人を黒く染めてしまう人間もいるから、せめて自分は苦悩する人でいようと思った次第です。
Posted by ブクログ
意識向上系のホストクラブで知り合った翔太と海斗はコンビで女性たちを捕まえては徹底的に搾り取る悪行を続け、ついには逮捕される。海斗たち多くのホストは起訴猶予を得るものの、翔太は逮捕され服役、そこまでが序盤で、その後の翔太と海斗の人生を描く。
翔太の罪を背負いつつ前向きに生きようとする人生と、海斗の罪が分からず悪の海に沈んでいく人生の対比は面白いのだが…。
ぶっちゃけて言うと、こういう小説は新堂冬樹が描いていれば十分で、月村氏にはこういうのじゃなく、缶コーヒー好きのおっさんやらが竜騎兵に乗って世界を股に戦う物語の続編を書いてほしいのだが。ウクライナやガザ…今こそ機龍のタイミングやと思うぞ!
Posted by ブクログ
堅気とヤクザの中間であるグレーな存在「半グレ」は、堅気の世界で悪行をしても法律で取り締まることができない分、邪悪な存在であると語る本書。
裏と表の世界で暗躍する半グレの存在を、ホスト、電通、東京オリンピックなど、時事ネタを絡めながら、浮き彫りにしていく。
ノンフィクションと見紛うほど迫力があった。ボリュームはあるが、大変読みやすく、ガッツリハマって予想外に一気読みしてしまった。