あらすじ
2022年、仙台育英が東北勢で初めて夏の甲子園を制し、深紅の大優勝旗がついに白河の関を越えた。
太田幸司、田村隆寿、大越基、ダルビッシュ有、菊池雄星、大谷翔平、吉田輝星、佐々木朗希……
彼らでも成しえなかった東北の夢をいかにして叶えたのか。挑み続けた歴史とともに振り返る。
元・東北球児の著者が60名以上の当事者たちの証言をもとに紡ぎ出す、東北野球の結実。
【目次】
はじめに 1989年8月21日
第一章 秋田 ~草の根の野球熱~
第二章 宮城 ~竹田利秋の挑戦~
第三章 東北福祉大の台頭
第四章 青森 ~ミックス~
第五章 楽天イーグルスの誕生
第六章 福島 ~いわき型総合野球クラブ~
第七章 山形 ~強攻~
第八章 岩手 ~心を変える~
第九章 仙台育英と須江航
おわりに 2022年8月22日
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Posted by ブクログ
東北地方の高校野球が強くなっていくまでの歴史を振り返った、ルポルタージュです。
私がとくに印象に残ったのは、岩手県『花巻東高校』の佐々木洋監督のエピソード。佐々木監督は、あの大谷翔平や菊池雄星を育てた方です。
佐々木監督は、野球部の生徒に「野球は助けてくれないよ」ということをお話しするそうです。野球が終わってからの方が人生は長いから……ということを生徒たちに伝えます。(本書の257ページに掲載されているエピソードより)
「一般社会に出てからは、野球をやっていたとか関係なくなる。野球が自分を助けてくれなくなるから、人としてしっかり生きていけるようになりなさい」と佐々木監督は選手たちに伝えるのです。
高校で野球を終わらせる選手もいるため、先の人生のことまで考え指導する監督の思いやりに感動させられます。教育者としても素晴らしい方なのだな、とこのエピソードを読んで感じました。
また佐々木監督自身、読書が好きで、野球部員にも読書を課していたのだそう。その成果か、大谷選手、菊池選手も読書好きとして知られています。花巻高校では、現在は野球部のみならず全校で読書に取り組んでいるそうです。
岩手県の項では花巻東高校の佐々木監督にクローズアップしていますが、各県ごとに名物監督のエピソードが深掘りされているこの本。
高校野球好きの方にとっては、とても興味深い1冊でしょう。