あらすじ
――【最強ランキング】。
その順位により人々の強さが序列づけられる異世界に、高校教師・楠木重人は生徒とともに転移した。
生徒達がチート能力を得る一方、貧弱な能力の重人は順位も遥か下位。
生徒に馬鹿にされつつも、異世界の神官・ミレーに支えられながら、異世界に馴染もうとする中、
教え子・君島結月が魔物群がる生還不能の遺跡へ送られてしまう。
生徒のためにただ一人立ち上がった重人も結月を追って死地へ赴く。
絶望の中、唯一残った武器、転移前から鍛えていた剣術がここでは規格外の力を秘めていて――
「私のために自分を犠牲に……そんな先生のこと、私……」
自分を慕う結月を護って敵を斬り続ける内に、いつしか重人の順位は桁違いの高みに至り、世界中にその名が轟き始める。
――それは、モブ教師が剣一本で異世界を無双し、剣聖へ至る物語。
感情タグBEST3
タイトルが悪いだけ
1巻だけ読んだ感想です。
主人公がアラサーな学園集団転移異世界バトルファンタジーで戦闘描写重視です。
「最強ランキング」という地雷臭漂うワードが目を引きますが, そこまでめちゃくちゃな作品ではないというのが私の持った印象。
というのは, 本作品における「最強ランキング」は主人公の自己顕示欲を満たす場ではなく, 主人公に災厄をもたらす仕掛けになっているからです。割と単純な構成といえますが, だからこそわかりやすい作品になっています。ストーリーのスタートが単純な分, 純粋なラノベのうまみに集中できるでしょう。
ちなみに語り口は常に主人公の一人称で統一してくれていて, この安定感も個人的にはプラスです。ランキングのほかレベルというバーチャル要素があります。世界観は生きるか死ぬかでシビア。
そんなわけで, 端的にお勧めできる読者層を伝えると「アラサーの男性に自分を投影できる人」「異世界で冒険をしてみたい人」となります。どちらかといえばライト層に向いていそうですが, 2巻以降の展開次第という感じはあります。
バトルについて一歩踏み込んだ解説。主人公は相当強いですが尖った能力持ちです。危ない場面が多々ありますが, 立ち回りやひらめき, 仲間との連携で乗り切ります。王道ですね。
1巻のストーリーはどちらかといえばモンスター相手のサバイバルですが, 今後は対人戦が多くなってくる予感がします。謀略もあるかもしれません。
主人公は優しくて実直な男性。自信のなさも目につき, 人間らしい弱さを見せるときもありますが, しかるべき時にはかっこつけてくれるので高評価。良識と常識もちゃんと持ち合わせているのでご安心を。ヒロインには押されっぱなしですね。
ヒロインはちょっと重めな女の子。経緯を考えれば理解できます。物事を真正面からとらえようとする芯の強さと驚くべき行動力を持ち合わせており, よく主人公が丸め込まれています。彼女を主人公としてストーリーを描いても違和感ないでしょう。
先ほど書いた通り, 敵は人間になっていく可能性が高いでしょう。将来ぶつかりそうな難敵の顔出しもなされているのが評価できます。次の巻に期待を持たせてくれます。
偏見を持たれがちなジャンル, というかどう考えても作品タイトルが悪いのですがおそらく無能な編集者によるものでしょう。それを乗り越えてこの作品を読めた人には比較的いい印象を持ってもらえるのではないかと思います。