【感想・ネタバレ】答えのない世界を生きるのレビュー

あらすじ

常識から目を覚ますために。大いなる知性が紡ぐ「考えるための道しるべ」

本書は、2003年に現代書館から上梓した『異邦人のまなざし』の改訂版である。出版から15年近く経ち、学問や大学に対する私の思いは少なからず変化した。新たに考えたことを加筆し、私のフランス生活を再び反省してみた。そして自伝的性格の強かった原著の内容を一般化して、考えるための道しるべとして書き直した。異邦人や少数派が果たす役割をより掘り下げ、開かれた社会の意味を考察する。(「はじめに」より)

今日の異端者は明日の救世主かもしれない
中世の宗教裁判や魔女狩り、ナチス・ドイツ、ソ連、中国の文化大革命、カンボジアのポル・ポト率いるクメール・ルージュ、そして大政翼賛会や特別高等警察も、正しい世界を作ろうとした事実を忘れてはならない。正しい世界の構想を誤ったのではない。普遍的真理や正しい生き方がどこかに存在するという信念自体が危険なのだ。(本文より)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

やはり小坂井敏晶宇治の本は好きだ。
「社会心理学講義」と重複する箇所も多いが、それだけに理解が促進される。研究者はもちろん、研究者を志す人にも、現代社会を生きながらも苦しさを感じている人にも勧めたい一冊である。
これまでの価値観が揺すぶられ、未来を見据える礎の一部となるに違いない。
裁判についての記載は「社会心理学講義」にもあったが、ふと「中東 世界の中心の歴史 395年から現代まで」を思い出した。太古の昔から、人間が人間を支配するために、依拠するべき「真実」の存在が必要不可欠だった。今は違うが、中東においても新たなる支配者は「我に正義あり」と、外在的な存在を示すしかなかった。それは本書だけでなく、全くの別人が書いた歴史書からも伺い知れることだった。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「世の中のあらゆることに、絶対的な正解などありはしない」と教える本です。半分は著者の自伝でもあります。

 第一章「知識とは何か」、第二章「自分の頭で考えるために」まではまだ大人しいのですが、第三章「文化系学問は役に立つのか」の辺りから過激になっていきます。「大切なのは知識を積むことではない。教育の本質は常識の破壊にある(p92)」、「開かれた社会とは、社会内に生まれる逸脱者の正否を当該社会の論理では決められないという意味である。〔中略〕キリストもガンジーも社会秩序に反抗する逸脱者だった。対してヒトラーやスターリンは当初、国民の多くに支持された(p136)」、「犯罪と創造はどちらも多様性の同義語である(p138)」等々。

 早稲田大学在学中にアルジェリアに渡り、その後フランスの大学で社会心理学を教えるようになった波乱万丈の経歴について語る第四~五章(「フランスへの道のり」~「フランス大学事情」)は、まるで小説みたいに面白いです。常識的な世界観に楔を打ち込み続ける著者の本の楽屋裏を覗くようでもあります。フランスの大学制度や大学人に向けられる批判も痛烈です。

 これまでに読んだ著作(「人が人を裁くということ」、「責任という虚構」、「増補 民族という虚構」)から、小坂井敏晶さんに対して国際的な舞台でスマートに活躍する洗練された学者というイメージを私は勝手に作り上げていました。でも、この本を読んでそのイメージがすっかり壊されました。第六章「何がしたいのか、何ができるのか、何をすべきか」で明かされるとおり、著者は反骨精神旺盛で組織に馴染めず、学会の主流派からも距離を置いて、挫折したり悩んだり迷ったりしながら、でも自分のやりたいことをやってこられた人なのですね。

「国際人という言葉がある。〔中略〕私が目指したのは、その逆だ。フランスでも日本でも自然に生きられる国際人ではなく、どこに居ても周囲に常に違和感を覚える異邦人。グローバル人材の反対に位置する社会不適合者、非常識人間である(p253)」 ── この心意気は素晴らしい。大学で学ぶ人は、学ぶことの意味について考えるためにも、ぜひこの本を一度読めばいいと思います。普通の人が著者の生き方に憧れそのまねをしたら、きっと酷い目に遭うでしょうけど……

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2019年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第一章に記された「自分の頭で考えるためには、どうしたらよいか。専門用語を避けて平易な言葉で語る。これが第一歩だ。」という一文、
また第二章の「思考枠を感情が変える」の内容全体、
これらが、日常の忙しさにかまけて、早く(安易に)回答を知りたがる自分にとって、とても印象深いメッセージになりました。「うむ、読んで良かった!」という実感です。

ただし、構成には少し戸惑いました。
後半の第四章以降は、前半とはがらりと変わって著者の自叙伝のような内容。
私はこの本を手に取った動機が「筆者の主張を論理的に系統たてて読み解こう」であったので後半に入った時に退屈さを感じてしまいました。
しかし、その後半も読み進めていくと、筆者のアルジェリアとフランスでの実体験や心の動きが臨場感を持って感じられ、徐々に引き込まれて興味深く読むことができました。

大変僭越ながら、読み方としては、最初に後半の第四章以降から読み始めて、作者の「異邦人」としての思考を追いかけつつ、その後に第一章から第三章で、表題でもある「答えのない世界を生きる」ための切り口や考え方を発見していくと、より深く考えることができるのかなあと感じました。

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2021年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

根本論の話であり、非常に興味深く面白い一冊。

メモ
・勉強は知識の蓄積ではなく、壊すことの方が大切。慣れた思考枠を見直す。
・異質なぶつかり合いを通して矛盾に気づく。矛盾との格闘から新しい着想が生まれる。矛盾や対立がなければ常識を見直す躍動は起きない。
☆他人との比較で考えている時点で、そもそも独創的でない。
・答えでなく、問いを学ぶ。考え方自体を学ぶ。哲学や社会科学では。答えをすぐに出そうとすると現実を正視せず、根本的な問題から逃げてしまっていることがしばしば。
・自分の頭で考えるには、専門用語を避けて平易な言葉で語る。基礎的な事柄ほど難しい。
・型こそが自由な思考を可能にする。認識枠が共有されなければ、解釈は他者に伝達できない。
・わかるとは、理解とは、未知の事項や現象を既知の枠組みに取り込む行為。
・本から内容だけを読み取るのは消費者の発想。自ら生産する意思を持つものの眼には型が見える。学び方をメタレベルで学ぶということ
・枠組みを共有するからこそ、冒険に駆られ自由になれる。
・考えることの意味を問い直す。人間の原理的な限界に気づく。

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2021年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どうして自分にとってという志向・思考がそこまで重要になるのかがわかるように書いてくれるとありがたいんだが。こりゃ生きずらい話になりそうで、しんどい。

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2019年03月23日

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