【感想・ネタバレ】トゥモロー・ネヴァー・ノウズのレビュー

あらすじ

「私」は娘を凌辱して殺害した、犯人の男を許すことができなかった。少年法の庇護対象内の年齢であったために、極刑にもならず、いまものうのうと生きている……あの男。私は人生を棒に振っても良かった。娘のいない人生など耐えられない、意味がない。だから、男の部屋に包丁を持って飛び込み、めった刺しにして……。気がつくと「私」は、復讐を決意した最初の瞬間にまでループしていた。何度殺しても、何度も殺しても、「私」の時計は先へ進まない……どうして。復讐者が、高校生が、世界王者が、全人類が「今日」という一日をループする。これは、SF的な日常を送ることを宿命づけられた、私たちの未来の物語。

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Posted by ブクログ

娘さんを殺されてしまった母親が犯人に復讐を果たすも、翌朝は訪れず、また復讐の日の朝に戻ってしまい、繰り返しのループ世界へ、、というお話(?)。

ループの記憶を残したまま、次の日がやってこないと人間はどうするのか、人それぞれ。

最初に(?)ループ世界に入った人間から、周囲でループ人間が増えていき、世界中でループが当たり前となっていく。

登場人物それぞれの考え方があって、楽しかったです。
広げたまま畳まない形もいいですが、翌日が来てしまった形の終わらせ方があってもよかったかと。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

ループものは一通り出尽くして、パロディの材料にも使われ、ループものと聞くだけで読む気が失せる程度には氾濫してしまったが、ここにきて真正面から堂々と「ループものです!」と言われると逆に読みたくなってくる。読んだ。

ループものは、1人ないし2人、とにかく少数の人間がおなじ時間を繰り返す。そこから脱出しようとしたりしなかったりなわけだが、本書ではおなじ1日を繰り返す。違うのは人数と行動原理で、ループする対象は全人類であり、行動原理も非日常的でありながらもぎりぎり日常の範疇におさまるものだ。少なくともSF的な行動はしない。

一読して誰でも思うのは、先のコロナ禍をヒントにして書かれたものであろうということ。本作では、ループする人間(ループしていることを自覚する人間)は感染するかのように増えていく。
ループ初期は無秩序になり、その後ループ自体はなにも解決していないにもかかわらず、世界が秩序だっていく。

コロナ禍を題材にした小説なり映画なりは、あまり出ないと思う。行動制限、人との接触を遠ざけるものだったコロナ禍は題材にしにくい。
本書が100年後にも読まれてるかといえば、まず読まれていないだろうし、仮に読む人間がいたとしてもコロナ禍のことなんて頭に浮かんで読まないだろうけれど、コロナ禍を翻案した小説としては今のところいちばんだと思う。

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2023年06月09日

Posted by ブクログ

ある一日が永遠にループするようになった世界で生きる人々の物語。
登場人物の視点が切り替わりながら話が進み、構成や設定が面白かった。
SFはあまり読まないので新鮮だった。

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2024年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本作『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』の感想を書く前に注意事項ですが、本作は過激な描写がしばしあるため、苦手な方はご注意下さい。

皆さんは意図せず、『今日』が『毎日』繰り返されたら、どんな日常を過ごすと想像しますか?

本作は、とある日を起点に一日をタイムリープする人が世界的に増えていった世の中を5話の短編で繋いでいるSF小説になります。
作品の世界観はSFですが、どちらかというと、そんな世界で人は何を感じて、どう行動することが本質的なのか?という哲学的なメッセージも感じました。

作中の引用(第三話)ですが、
「明日が来る世界でも、(中略)。後悔しないためには夢中になれるものを全力でやればいい。」
の言葉は痺れましたね。

この作品の面白いところは、各話で登場する人物の印象が途中でガラッと変わる点でしたね。著者の宮野優さんのデビュー作ですが、次回作にも注目してみようと思います!!

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2023年05月07日

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