【感想・ネタバレ】中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事のレビュー

あらすじ

「効率を優先する現代社会で、働くことの意味を考えさせてくれる一冊」出口治明(「朝日新聞・書評欄」)

生きているうちに完成をみない仕事にやりがいを感じられますか?
英国で言葉を紡ぎ生きる人々の生き方を通じて文化の豊かな価値を提示し、効率重視の社会に生きる私たちの働き方を問うノンフィクション。

法の支配を定め、民主主義の基本となった「マグナ・カルタ」を正確に読み解くために必要なのが、中世ラテン語辞書。
英国は二〇一三年末、準国家プロジェクトとして『英国古文献における中世ラテン語辞書』を完成。
プロジェクト始動は第一次世界大戦が始まる前年の一九一三年。辞書の完成までに費やされた時間は百年。

新聞社の海外特派員記者として英国駐在した機会を活かし、著者は本書を書き上げた。
ラテン語の言葉の豊かさと歴史、現代日本で辞書を編んで生きる学者や編集者へのインタビューを通じて文化的活動の価値までを描き出すノンフィクション。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「一旦ラテン語学ぼうかな」
「効率化や利益がなくても価値ある生活とは?」

⚫︎英国人の文化と誇りをかけた中世ラテン語辞書について。日本で言う漢文=ラテン語、共通言語とした会話言葉はなくとも読み書き言葉として利用され続けてきたという点が面白い!日本ではアイヌ語が絶滅の危機にあるというが、日本のアイデンティティの確立(言語は元の言語がなくなってしまうとそのアイデンティティを喪失する?)という点で考え直すべきなのか
⚫︎結局は全てギリシャ文化が1番であり、それを理解する為、かつローマ帝国拡大により普及せざるを得なかったラテン語の存在は面白く、これだけ言われるとぜひ学びたくなる
⚫︎本書では利益や効率化を優先しない生き方を辞書づくりを通じてなぞらえている。”論語と算盤”のような考え方も増えてきているが、いちひと1人の生き方で考えるともっと文化を楽しみ、一見意味のないものに対して価値を見出すことが広まると良いと思う。今ではなく、未来や歴史をつくる、という観点でもう少し人生を考え直したいと思う。
⚫︎ 巨人の肩の上にのる矮人、謙虚に学ぶ姿勢

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2023年05月17日

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