【感想・ネタバレ】聖女と悪魔の終身契約のレビュー

あらすじ

当代随一の退魔師《聖女》エマには秘密がある。それは、魔を祓う身でありながら、強力な魔物・クロエと「契約」していること。
幼い頃魔物に襲われたエマは、クロエを召喚し生き延びた。以来、自分を「姫さま」と呼んで嬉々として世話を焼くクロエと、いびつな主従関係を築いてきた。孤独なエマにとって、クロエの重く深い愛は、時に魅惑的な毒のようだ。
人々を襲う黒い魔獣、死を呼ぶ葬送のワルツ、母の腹に宿ったまま生まれない赤子。エマは今日もクロエを従えて退魔に向かう――消えた妹を捜し求めて。

==登場人物==

エマ

《聖女》と名高い、当代随一の退魔師。
クロエと「契約」し、その力を使って魔を祓っている。

「いつも言っているけど、余計なことは何もするな」

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クロエ

千年を生きる高位の魔物。
エマを溺愛し、身の回りの世話を焼いている。

「憎らしくてとってもかわいい僕の姫さま」

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Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭の6歳らしからぬ会話に違和感はあったが、タネが割れてみると納得した部分もあり。
他にも何故あの場に退魔師がいたのかも、今から考えていると既に伏線は張られていたのだなと驚く。

千年を生きる魔物と契約をし、彼の力を退魔師として使う元王女のエマ。
目的は、消えてしまった妹を探すため。
傷を負うことなく魔を祓う聖女として担ぎ上げられている彼女だが、彼クロエに大部分の魔力を常に食われているため虚弱体質。
男性っぽい喋りをするくせに、下手すると何日も寝込んでいるようなキャラで、そのギャップが愛おしかった。

一方のクロエ。
エマのことを甘やかしているようで、言うことは聞かなかったりする。
それでいて変に律儀な部分もあったり。
なかなか読めないキャラ。
「はあい」って返事するところは可愛いんだけども。
エマに執着しているというより、エマの魂に執着している。
何しろ初代の彼女が強烈すぎたから……怖いよ、オフィーリア。
そりゃ忘れられまい。

登場するどのキャラもキャラ立ちしているので、読んでいて面白かった。
個人的には情報屋のカササギさん推し。
後半はあまり出番なかったので、もう少し出番欲しかった。
エマの妹の件、てっきり今後も追いかけていく展開になるのかと思いきや、この1冊で片が付いたことには驚いた。
この妹の件は前述通り、割と初期から伏線が張られていて、そう来たかと本当にびっくりした。
本編中の他の事件は分かりやすいくらい露骨だったのに、伏線。

分かりやすい伏線がある一方で、エマとクロエの関係性は読み終えても一言では説明できないなと。
契約主とその下僕という単純なものではない。
恋愛関係のような、家族愛のような、信用しているようでしていないような、でも唯一無二の相手というか。
ただ見ていて飽きない、コントのような二人の会話が好きなので、これからもそんな会話を繰り返しながら、単純ではない関係性を深めていってほしいと思う。
願わくば、自ら命を散らすことのないように。
他の歴代の「彼女」たちと同じようにはならないようにと。

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2023年05月13日

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